ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

外来種を問題視する奴って馬鹿じゃないの

ブラックバス外来種の代表として問題視され、最近では植物に関しても外来種が問題視されているようだ。

その「外来種」を問題としている人たちは、日本の農業をどう思っているのだろうか。ブラックバス外来種という理由で「駆除しなければならい」と言っている人たちは、それより先に農家、農業を批判しなければならないのではないだろうか。日本で栽培されている多くの農作物は外来種だ。

日本人で食べたことがない人は居ないであろう、更に、日本の伝統料理(漬物)とも言われている「梅干し」、さらに梅は桜と並んで「日本」を代表する鑑賞対象であろう。花見も桜と梅が主になる。

その梅も外来種だ。梅は私の故郷大阪府の「府の花」となっており、更に大阪府は「府の木」をイチョウ(銀杏)としている。日本の首都である東京も「都の木」をイチョウとしており、東京都のシンボル旗もイチョウをかたどったものになっている。このイチョウも外来種だ。

日本の家に伝わっている家紋も梅やイチョウの植物紋は多数ある。

外来生物の生態学―進化する脅威とその対策 (種生物学研究)

外来生物の生態学―進化する脅威とその対策 (種生物学研究)


このように日本の「伝統」とされているものには外来生物(植物)を利用したものが多くある。逆に言えば日本の文化、伝統は外来種に依存した物が多い。

もっと古くに戻ると、稲(米)も麦も外来種になる。日本人はその外来種である米や麦のおかげで農耕を初め、狩猟中心の移住生活から離れ、定住生活が可能となった。日本人は外来種のおかげで現在の文化、生活があると言っても過言ではないだろう。米は現在も日本が世界に誇っている料理の基礎にもなっている。


現在日本で多くペットとされている猫や犬なんかも大半が外来種や外来の血統となっているし、日本で多く鑑賞目的で飼育されているコイや金魚、金魚のベースとなっている鮒も多くは外来種になる。多く食用にされ、更には日本の清流に住む魚として代表的なニジマスに至っては外来種にも関わらず能動的に放流がされている。

また、なぜか「日本が外来種に襲われている」と被害者側の立場でしか話を聞くことはないが、日本産の生物で海外で問題となっているものも多数ある。例えば日本では食べられているワカメも海外では食べられることもなく、繁殖力が高いため生態系に猛威を振るっている。また、日本ではそこら中に生えているススキもアメリカで問題となっており、タヌキやスズキ、コイ、ニホンジカなんかも海外では外来種として問題になっている。

特にコイは50センチ以上になると天敵がおらず、雑食で大食いであるためにブラックバスと同様に生態系を荒らす生物と指定されており、国際自然保護連合(IUCN)が定めた「本来の生育、生息地以外に侵入した外来種で生態系への影響が大きい生物のリスト」にオオクチバスやキャットフィッシュと合わせてコイが指定されている。

外来種を問題とするのであればこのように犬や猫、コイ、鮒、金魚も駆除すべきではないだろうか。


外来種を問題視する人の中には「ブラックバスのせいで日本古来の種が絶滅している」と言う人がいるが、その人に「具体的にブラックバスのせいで絶滅した種はなにか」と聞いても答えられたことはない。

イヤ、答えることが出来ないというのが正解だ。ブラックバスが原因で絶滅が確認された種は居ない。そもそも日本で魚類に限っては、外来生物が原因で絶滅した種は居ない。

これを疑う馬鹿な人間はレッドリストすら読んでいないのだろうか。レッドリストも読まずに絶滅などと言っているのは想定外だ。例えば日本の魚類のレッドリストを見て欲しい。

絶滅(EX)としてチョウザメ、スワモロコ、ミナミトミヨしか掲載されていない。以前まではクニマスもEXとなっていたが、さかなクンのおかげでクニマスの血統が見つかり、現在は野生絶滅(EW)に変更されている。

チョウザメが絶滅した原因は人為的な河川改修による河川環境の悪化による繁殖環境の減退が原因と考えられている。スワモロコは長野県の諏訪湖の固有種であったが、諏訪湖人為的ホンモロコを放流したことにより生存競争に負け絶滅。ミナミトミヨは京都府南西部の固有種であるが、河川上流への工場建設による水質悪化により絶滅。

このように全て外来生物によって絶滅に至ったわけではなく、全て人為的な産業行為が原因になる。先にクニマスが野生絶滅と書いたが、そのクニマス秋田県田沢湖の固有種であったが、田尻湖の湖水を利用した水力発電所の建造の際に別の河川から水を引いたことにより、急激なpH変化により田尻湖からの絶滅となった。

このように基本的に生物の絶滅は人為的な活動の責任となっている。


日本は先に書いたように外来種のおかげで発展し、さらに外来種を利用して発達して来た国である。ブラックバスが日本に来てから100年近く経つが、ブラックバスによって絶滅した種は居ないし、今後も考えづらい。

理由は単純で、湖の小魚もブラックバスも有限であり、湖の小魚が減ればそれを食べるブラックバスが飢え数が減る。ブラックバスの数が減れば小魚が増え、その結果それを食べるブラックバスが増える。と、生態系はバランスによって成り立っている。

ブラックバスを減らすと言って駆除をしているようだがほとんど意味がない。完全に根絶やしにしない限り、数ペアでも残っていれば結局また元の数に戻る。自然とはそういうものだ。

駆除など無駄な行為はせず、古来からの日本の文化のようにそれを利用して生きればいい。ブラックバスは食べられるので捕って食べればいいだけだ。アメリカでは実際にブラックバスは食べられているし、琵琶湖の周辺で食べられる食堂もある。


外来種の多くは人間の人為的な活動によって日本に入ってきた。そしてその人為的な活動が日本の生物を絶滅させる。駆除など人為的な活動をすることも結局は生態系に影響を与えている。人為的な活動をせず、自然に任せるのが自然の方法ではないだろうか。


決して外来種が自然に入り込むことは歓迎すべきことではないが、それが入ったことを受け入れ、それと共に歩んでいくことが大事なのではないだろうか。

外来生物クライシス (小学館101新書)

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移入・外来・侵入種―生物多様性を脅かすもの

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