ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

TRONで変わるコンピュータ 坂村 健(著)

久しぶりに読んだ。本書は1987年と、私がまだ言葉も喋れなかったであろうくらいに出た書籍だ。

その時代の本書を読みなおすとは稀有に思われるかも知れないが、本書、いや坂村健は素晴らしい技術者で「あった」と思う。現在の姿はこの時代の輝きを感じられないが、例えば本書読んでもらえばわかるように当時の坂村は非常に先見の明がある。

本書に記載されている多くのことが現代、いや、10年ほど前から実現されている。

TRONで変わるコンピュータ

TRONで変わるコンピュータ


例えば文房具としてのコンピュータなど、電卓をコンピュータに繋ぐという発想はしょうもないアイテムとしても商品化され、そもそもにカメラと文房具を繋ぐことなどは現在では当たり前の技術であろう。当時であればコンピュータの処理能力やデジタルカメラの商品化が追いついておらずその製品化は不可能となっていたが、技術が追いつけばそれが当たり前となったのだ。

この時代より少し前になれば「一人一台コンピュータ」と言うだけで笑いものであった時代だ。


文字コードの統一やOSインターフェイスの統一なども当時としては先進性のある考えだったかと思う。これも現在ではほぼ実現されているだろう。本書の発売からしばらくしないうちにTRONのスタンダード化は実現不可能と鳴ったが、それは現在GNU/Linuxや周辺のハードウェアとして実現されている。


この時代の坂村の考えを現在の技術が追いかけているとも考えることも出来るだろう。

私もそう思い、坂村の本をたまに読み返す。特にこの時代の書籍には色々な発見が有り、色々なアイデアを考えるきっかけにもなる。


温故知新とはよく言うが、コンピュータ業界もそれに当てはまるであろう。



超漢字なき現在に(B)TRONを触る機会は無くなったが、今後もTRONの再設計がされることがあれば私もまた興味を持つことがあるだろう。