ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

奨学金は自己責任だろ

狂った日本の奨学金制度:大学卒業のために「720万円の借金(利子付き)」を背負うのは自己責任?」をたまたま読む機会があり、今までも何度か同じ考えを持ったことがあったので私の考えを記しておく。
私の考えにはいつも保険を残しておくが、この考えは奨学金を実際に受けたことのない私が自分の感覚で書いている。なので、誤りがある部分があるかもしれない。それについては指摘していただけると嬉しい。また、簡潔にするために以下の文章は少しデフォルメを入れている箇所がある。私の考えには影響がない部分のみ加工している。


まずは私の現在までの経歴を書く。経歴に興味がない方は次の見出しまで飛ばしていただくのがいいかと思う。かなり長い。

私の経歴

私は大学を出ていない。大学には正直進学して見たいと思うところもあった。だが、私の家庭がそれを許さなかった。まず、高校の入学からそうだった。大勢の人は滑り止めに私立高校を受け、もし公立に落ちたら私立に通うのかと思う。私の周りにもその保険をかけ実際に私立に通った人もいた。だが私はそれが出来なかった。金銭的な都合でそんな選択肢はなかったのだ。高校も工業高校に行きたかったので、なんとか近隣の工業高校に通った。交通費の事情もあり、より優秀な高校にはいけず、交通費が安いという理由でそこになった。高校が学力にあっていなかったので、成績は入学した時点でトップだった。
バイトして交通費を稼げばいいと思うかもしれないがそんなことは考えていた。だが、バイト代を少しでも多く家に入れないといけないのでそんな選択は出来なかった。すぐにバイトするつもりではいたが、高校入学から数日後に親父には「働いてくれ」と頭を下げられたのも記憶に残っている。

親は自営業のため月収10万円ほど。歳の近い兄弟が二人いるので、家族5人でその額では生活できるわけでもなく、親父は夜中にバイトもしていた。それでも足りずに借金が8桁はあったかと思う(自営業に使っている土地の借金なども含む)。朝10時から22時までが自営業で働き、22時半から翌朝5時までバイトをする親に対して、これ以上負担を強いる考えはない。むしろ、年齢的にもきついバイトを辞めさせたいという思いしか無かった。


高校入学の時点でもこういった事情だったので、高校2年の時だったかの進学調査にも「進学の考えなし」とするしかなかった。学力が上で合ったことや、先生方にも良くして頂いてたこともあり、阪大で研究助手をしながら、その給与で夜間大学に進む道もあると推薦して頂き説明会にも参加したが、研究助手は月10万円の給料だという事だった。この額では大学の費用を考えると家に入れるお金が無いため無理だという事はわかった。とにかく家にお金を入れて借金を返さなければならない。

そんなこんなで大学に入るという選択肢はなかった。もし家に借金がなく、家族全員が最低限生活が出来る給料があれば奨学金等を受けて自分で借金をして大学に入るという選択肢もあったかもしれないが、借金があり、それが膨らんでいく以上それを考えることは出来なかった。
大学は何歳でも入ることが出来ると知っていたので、高校を卒業して働き、借金を返してからそれでも大学に行きたければ行けばいいと考えるようになった。そもそも、大学で勉強したいとは思っていたが、私の周りには大学を出た人で優秀だと思える人がいなかったので、大学の必要性すら疑問に考えていた部分もある。


そして私は高校を卒業し就職した。金型製造工場に入社した。就職の際も難儀した。私は設計をしたかったのだが、軽度の色弱異常を持っている。設計をしたいことを伝えているのだが、高校の就職支援の先生から「設計は受けれない」と言う事を何度も言われた。理由がわからずに何度か聞いていると「求人票に書くわけにはいかないが、設計では色弱は無理だ」と突っぱねられてしまっていたのだ。だが、その高校ではかなり優秀な就職先を紹介してもらえ、そこに入社することが出来た。私はプログラミングの勉強をしておりNCプログラムが書けたため、「NCを書き製造が出来れば設計にも回れるはず」という先生の助言もありそこに就職することにした。
だが3ヶ月で辞めた。全く説明と食い違っていた。説明会や面接の際には「最低でも1年は全体を周り工程を理解する」ということだったのだが、入社3週間目でNCプログラムの再構築をさせられ、その1週間後には工作機器を1台任された。どの部品を作っているのかもわからない状態でNCプログラムが書けるという理由だけで配置された。しかも周りからは「これは○億の仕事だから失敗するな」と言われ続けた。まぁ、それが嫌で辞めた。人間関係は大事。

話は脱線したが、そこから色々な職を点々とした。そして自分でも転売などで利益を上げるようになっていた。それらを合わせて2年半で700万円ほど貯蓄した。これだけあれば大学に行けるとも考えたが、その当時には大学に行くことを考えることはなかった。高校生の時にも思っていが、大卒の人間に優秀だと思える人がいなかった。
21歳で長崎に来たのだが、そこでさらに大学の無駄さを経験した。私は長崎に来てしばらくWebサイト制作の会社にお世話になっていたのだが、そこはプログラミングや基本情報処理試験の講座を行なっていた。その延長で大学で基本情報処理試験の講座をすることになった。私はその講座をするということで、基本情報処理試験を受けた。そして合格した。大学は県立大や国立大になるのだが、まず講座を受けに来る人のレベルが低すぎた。2年生が主になったのだが、すでに1年以上情報処理を勉強しているにも関わらず、内容を全く理解していない。学長からは「去年は○人(一桁)合格したので、今年は○人合格させたい」と相談されるレベルだった。大学がどのような授業をしているかわからないが、地元でも難しいとされているそれらの大学で1年以上勉強しても「その程度のレベル」と言う事知った。
確かに私はWebサイト制作の仕事をしていたが、その仕事を初めて1年ほどだ。しかも生徒は同い年か年上になる。

そして、大学には興味がなくなり、次は専門学校の興味になった。専門学校には職業訓練で潜り込めるという事を知って潜り込んだ。レベルは最低だった。それより下を見たことがない程度の最低だった。HTMLの授業でも講師が「Pタグの中にULタグを挿入し、CSSが効かない」と数時間悩んだ結果、「ブラウザのバグ」と勝手に決め込み生徒に嘘を教えていた。HTMLの仕様すら理解していない上に、デベロッパーツールなどを使うことも知らなかった。これで専門学校に入るという事も選択肢から消えた。

現在は28歳になった。だが、今はまた「大学に行ってみたい」と思うようになった。だが逆に「何歳でも行けるなら定年後でもいいか」とも思うようになった。「類は友を呼ぶ」と言うが正しくそうだった。私のレベルが低かったゆえに、レベルの低い人間ばかり集まってきていた。プログラミングを始めると私とは「雲泥の差」、いや「比較にもならない」くらい優秀な人たちを見るようになった。その人達から話を聞くと「大学ではなく独学で勉強した」とのことなので、孫が出来るくらいまでは独学で勉強して働き、孫が出来てから「大学とはどんなものかを知りに」大学に入りたい。

奨学金について思うこと

色々と書いたが、結局言いたいことは「奨学金は自己責任」だと私は考える。奨学金は契約時点で支払額や利息などがわかっている。大学を卒業してから金額を勝手に決めつけられるわけではない。その時点でその金額を理解しているのに文句を言うのはおかしい。
大学に行くというのも自分で決めたことで、奨学金を受けると決めたのも自分のはずだ。これを自己責任と言わずに何というのかわからない。

まず、私のように親の年収が低い場合は大学によっては学費の免除措置がある。例えば日本国内最高学府と言われている東京大学でも世帯年収が400万円以下であれば授業料が全額免除される(授業料等の免除)。そのように自分の状況にあった大学を選択することが出来るはずだ。

「東大なんて自分の学力じゃ無理」という方がいるとすれば、ならなぜ大学に入る必要があるのか?多くの人が自分の学力に合わせて大学を選ぶようだがそれがわからない。大学に行って何をしたいのか?大学に行って勉強し学力を伸ばすのであれば、より学力が伸びる高難易度の大学を選ばない手はない。レベルの低い大学を選んでまで入る理由は何なのか? 文部科学省の「平成25年度学校基本調査(速報値)の公表について」によると、大学、短大への進学率が53%を超えている。専門学校を合わせると70%以上になる。2人に1人以上が大学に進学している。そんな「みんなが行く大学」に行ったとしてどんな意味があるのか。

これは決して僻みではない。私も大学への入学は憧れていたフシがある。だが自分で考えて進学を辞めた。そして、大学の知的レベルの低さも知った。確かに私は英語や数学はかなり劣るかもしれない。だが、同じ年齢の大卒よりも上司にいた事などもある。社会に出れば技量で昇進できるのだ。確かに東大や京大ともなるとテレビでもちやほやされる程なのかもしれない。昇進しやすいのかもしれない。だが、それ以下の大学であれば同じではないのか。学歴差別をしたいのではない。学歴差別をされてきた側の人間からの意見だ。
4年制の大学にまで行って学力が上がらないのであれば進学はむしろデメリットになると私は考えている。18歳から就職して4年間実務で得た知識は学力には代えがたいものがある。いくら学力があったとしても、それが実務に使えることでなければ意味がない。どんな優れたプログラミングの設計手法を知っているより、その会社の設計手法を知っている方が業務は進む。業務を進めることが出来れば給与も上がり昇進もする。

今の時代はインターネットを使い自分の学費をサポートしてくれる人も探すことも出来る。実際に私も学費ではないが、高校生にコンピュータなどのハードウェアを購入してやったことが何度かある。フリーソフトウェアコミュニティに参加し、自分をアピールし、その必要性を説明できれば多少の資金であれば簡単に得ることが出来る。そのように、自分が大学に行くことの有用性を説明できれば支援してくれる人も現れるはずだ。現在はフリーソフトウェアコミュニティのイベントなどでも学生無料や交通費支給など、大きなイベントであれば学生向けのサポートがされることが多い。


このように、大学進学についてもいろいろなことを考えることが出来、それらを考えた結果「進学する」と決めたのであれば進学すればいいかと思う。そして進学時に奨学金が必要なのであれば奨学金を申しこめばいい。もちろんそれらの費用に納得した上で。そして、納得したのであれば文句を言わずに返さなければならない。
「借金が怖い」というのであれば、一度就職をしてお金をためてから大学に進めばいい。若いうちに大学に進みたいのであれば、進学を支援してくれる企業に就職すればいい。昼は学校に通い、夜に仕事をさせてくれる企業などもある。そういったことを発想できない、調べることがきでない方は大学に進む意味があるのかと問いたい。

奨学金が返せない理由に「就職できない」「働く場所がない」と言われているようだが、例えばプログラマなら大手でも年中募集している。人材が足りていないのだ。趣味の知識でも出来るような中小のWebサイト制作業者であれば誰でも入ることができるので、人材は既にパンク状態かもしれない。だが、「優秀な人間」を求めている大手であれば常に人材が足りていない状態だ。そのような企業に就職すればいい。就職できないのであれば君の学力、知識に問題がある。大学で何を学んできたのか。真面目に勉強してきたのかを問いたい。


私が「奨学金を返せない」と言う人を見ると、返す努力もしていないように見える。「奨学金が返せない」と不平を言う前に、その間も勉強を続ければいい。勉強をし就職できる努力をしなければならない。その努力もせずに文句だけを言い免れようとする。それは、「大学生が高級車を買ったもののローンが払えない。」と言っている状態と同じようにしか見えない。自分に相応なローンを組むことを想定できない自分が悪い。

「奨学金を返せない」と言っている方のインタビューを見たが、手取りが18万円で奨学金の4万円強が返せないと言っていた。いや、高卒であれば手取りが14万を切ることなどザラにある。それでも貯蓄をしていたりしている。さらにインタビューを見ると「好きな服も買えない」との発言。借金を抱えている状態で贅沢できないのは当たり前だ。むしろ、贅沢をしようと考えている方がおかしい。全ての人ではないかもしれないが、奨学金を受けた人にはこういった感覚がずれている人が多いのかもしれない。


これらの奨学金を批判する際に学費が無料な国などを出すようだが、日本の保険料を批判するときには医療費が無料の国を出すなど、すべて都合がいい国のみを都合がいい場面でのみ出すが、そりゃあ、都合がいい場面のみ出せばいい面しか無いのは当たり前だ。消費税がない国を例に出しても、その国の所得税が50%ならば、そちらのほうが高額になるという事は説明しない。

例えばよく日本と比較されるアメリカを例に出す。アメリカは日本とは比較にならな学歴社会だ。アメリカは実力主義だというが、大学に入ることがその「実力」に含まれているのだ。大学をでなければ、マクドナルドなどで時給600円以下でアルバイトをするしか無い。いい大学に入らなければいい企業からは声がかからない。その良い大学は日本とはずば抜けて学費が違う。4年で1000万以上の大学などザラにあり、2000万近い大学もある。いい企業に入るためにそれらの大学に入り、20年の学費ローンを抱えて生活するのだ。その借金を返すためにがむしゃらに働く。そんなアメリカに比べると日本は学歴社会なんて言えるものは少ないし学費ローン(奨学金)も安い。



ほとんどが奨学金からは脱線して大学進学への考えになったが、大学への進学を考えている方には「当たり前に大学に進む」のではなく、「大学に進まない選択肢」も考えて欲しい。勉強したいのであれば特殊な機器が必要な場合以外は自分一人でも教科書を買って勉強できる。勉強したいという考えがあるのであれば就職してからも常に勉強し続けることが出来るはずだ。

今一度考えて欲しい。

そして、奨学金を借りるのであればそれをきちんと返す覚悟を持って返して欲しい。


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