ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

仕事がないなんて嘘だ

前から何度も「働き口が無いなんて嘘だ」と言う事を書いてきたが、私の主観からだけではなく資料からもその内容を判断できた。

今回示す資料だが、ハローワークが開催している雇用保険の受給説明会で配布された資料になる。インターネット上で当該の資料を見つけることが出来なかったが、「長崎県の雇用失業情勢(平成25年8月分)について」が当該の資料に近くなる。
この資料は「長崎県」となっているが、手元の資料と求人数が違うため今回の資料は「長崎市」か「長崎 公共職業安定所」の管轄での数値になるかと思う。資料にその範囲の記載がないため、範囲は私の判断でしか無い。

なぜ仕事するの? (角川文庫)

なぜ仕事するの? (角川文庫)


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まず、この資料に掲載されている数値を表とグラフに起こすと以下になる。

一般常用

求人数 求職者数
管理的職業 9 38
専門的・技術的職業 1342 1291
事務的職業 505 2666
販売の職業 503 901
サービスの職業 1051 1136
保安の職業 184 40
農林漁業の職業 14 36
生産工程の職業 635 607
輸送・機械運転の職業 435 287
建設・採掘の職業 321 194
運搬・清掃等の職業 189 1251
分類不能の職業 0 191

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パート常用

求人数 求職者数
管理的職業 0 2
専門的・技術的職業 525 383
事務的職業 285 1066
販売の職業 245 370
サービスの職業 1207 589
保安の職業 47 15
農林漁業の職業 0 13
生産工程の職業 97 114
輸送・機械運転の職業 33 39
建設・採掘の職業 9 9
運搬・清掃等の職業 516 833
分類不能の職業 0 110

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これをパッと見てもらえればわかるかと思うが、際立って目立つのが「事務的職業」の飽和状態。一般常用では求職者が求職数の5.3倍となり求職者が2161人も上回っており、パート常用でも3.7倍となり781人も上回っている。

一般的に「事務的職業」とは資料の整理や資料の打ち込みなど、いわゆる「誰にでも出来る作業」と言う認識になるかと思う。今現在ハローワークインターネットサービスにて「事務的職業」の求人情報を見ると、仕事内容に「パソコン入力」、「電話(メール)対応」、「文書(レポート)作成」と書かれているものが多い。Microsoft Officeを使うにしてもVBAやマクロを書くような求人は非常に少ない。長崎の求人では見つからなかった。


「誰にでも出来る作業」と書いたが、「特殊な知識がなくても作業可能」と言う意味での「誰にでも出来る」であって、決して「事務的職業」を馬鹿にしているわけではない。会社に事務作業は必須であるため、資料整理などは重要な職業であると認識もしている。

だが、その「事務的職業」を本当に「誰にでも出来る仕事」として応募している人が非常に多い。前職でその「事務的職業」の従業員を募集したことがあったが、まさにそのような認識で応募してくる人ばかりであった。

社会が生産性とか効率を望んでいなかった話」でも似たような話を書いたが、事務作業をするにしてもその業務に使う知識がある人と無い人とでは10倍や20倍の話ではなく、100倍やそれ以上の作業効率が違う。
前職で請求書の発行を依頼していた事務員は、全ての請求書に手入力で金額や請求先を入力していた。特段に請求書の枚数が多いわけではないのだが、作成に丸一日かけていたこともあり、さらに手入力であるため入力ミスがあることもあった。Officeを使って請求書を作成するのであれば、差し込み印刷機能を使えば一度の入力で請求書の作成が行えるし、データベース化しておけば入力の確認は一度だけでいい。
請求書の作成に時間をかけた所で1円の利益が増えるわけではないので、それを気にしないで作業しているのであれば、そもそものコスト意識が欠落してしまっている。


このように「事務的職業」でも知識さえあれば効率化も生産性の向上へも貢献することができるし、さらにはデータベース化することで自ら新しい仕事へもつなげることが出来るようになる。だが、その知識を新たにつけて「事務的職業」に挑んでいる人がいくらほどいるのか。MOSに意味があるとは思えないが、MOSに挑もうとしている人はまだましである。だが、取得してそこで終わったら質が悪い。さらに次の知識をつけようと勉強をしなければ同じである。

本当に知識をつけて仕事につこうとしているのであれば、「事務的職業」だけでなく「専門的・技術的職業」も選択肢に入るし、他のものも同様に選択肢に入る。VBAを勉強していたらOfficeアプリが作れるようになり、そこからプログラマを目指すという選択肢も増えてくる。知識をつけることで選択肢が増えるのだが、その知識を付けずに「仕事がない」と叫ぶのはおかしな話だ。知識を増やそうとせずに、今ある知識だけで働こうとするのは選択肢がどんどん減っていく中で争う他無い。そうであれば、その時点で向上していないあなたが選択されないのは当たり前になる。

仕事を探しているかもしれないが、仕事につく努力をしていないと言える。


そもそも、「専門的・技術的職業」は求人数が求職者数を上回っており、それでも求職者数が減らない。常に同じ求人がある。これは、求人が要求している知識と応募した求職者の知識がマッチしないと言う事にほかならない。
「事務的職業」を選択している人間は過剰かと思うが、「専門的・技術的職業」を選択している人間も自分の知識が足りないことを自覚して学習に努めなければならない。


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