ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

なぜ仕事するの? 松永 真理(著)

ここ2週間ほど風邪だかなんだかわからない病で寝込んでいたので、2週間ぶりくらいにまともに本を読んだ。やはり本はいい。久しぶりに読むととりかかりに躊躇してしまったが読み始めると面白い。本はいいものだ。

本書はタイトルの通り「なぜ仕事をするの?」という自分へ問いかけ続けてきた著者の経験が書かれている。著者は21歳の時にこの内容について悩んだようだが、私は28歳になった今現在も悩んでいる。
高校に入ってからのこの8年間はそれを悩むまでもなく「働かなければ」と思い働き続けてきた。親の借金を返すため、妹の学費を払うため、家族がご飯を食べるため。さまざまな理由が連続し、それぞれを解決するために働かなければならなかった。

だが、数年前からその必要もなくなり、自分の為に働くことを考えなければならなくなった。だが未だにその答えを探している。


親父はよくこう言っていた。

「借金がなければ働く気にならない」

今ならこれがわかる気がする。働く理由がなければ働く気になれないのかもしれない。

なぜ仕事するの? (角川文庫)

なぜ仕事するの? (角川文庫)


私はそんな親父を見てきたので借金はしないし、ローンだけではなく分割払いも嫌いになる。明日働いているかどうかもわからない自分が、来月や半年先までもお金をはらいつづける契約なんて怖くてできない。

親父は「借金」を糧に働いてきたようだが、それを返すと親父は新たに借金をし始めた。一度は完済したため後は親父の好きに借金して親父の責任において返済すればいいかと思う。私が実家にいる間にした借金は私や家族が生活するためにした借金であるかと思うが、それ以後にした借金まで私は面倒を見るつもりはない。

親父のその「働く糧」がいいかどうかはわからないが、働く目標はあるべきかと思う。その働く目標が無いが故に私は今「なぜ仕事するのか」について悩んでいる。


以前働いていた会社は残業が多かった。休日出勤も日常。月の就業時間は350時間を超える。給与は30万円ほどと、20歳の私には高額であったのかもしれないが、それは「生きるために働く」ではなく、「働くために生きる」ような日常であった。家で寝るために帰り、起きれば仕事に出る。これの繰り返しであった。この仕事をしているときに思ったのだが、「金なんてあっても仕方がない」と言う事だ。それは綺麗事だという人が多いかもしれないが、私はそれを実感した。
月の給料が50万あったとしても、それを使う時間がないのであれば働くことが無駄になる。毎日26時まで働き、休日出勤までして50万貰っても仕方がないのだ。それであれば月に20万の給与で定時で帰れたほうが充実した人生を健康的におくれる。私はそう気がついた。そしてその仕事を辞めた。

それ以降、働く目的、目標について悩んでいる。ただ「生きるために働く」のでもいいかもしれないが、その「働くこと」に目的や目標があった方が面白い。面白くないよりは面白いほうがいいに決まっている。だからこそ探している。
「好きなことを仕事にすればいい」と言う人がいるが、それは間違いだと思っている。「好きなこと」なんて変化する可能性が十二分にある。そうすれば、その考え方すると、転職を続けなければならない。だからこそ「好きなことを仕事にする」ではなく、「その仕事をしている自分が好き」と思える仕事をしたい。


話は逸れまくったが、本書はこのようなことを思い出させてくれた、考えなおさせてくれた書籍になる。

P13.
ココ・シャネルは、「なぜ仕事するの?」と聞かれて、こう答えた。
「私に退屈してなさい、とでも言いたいの?」

こう言える人生を歩みたい。世間では「仕事は嫌なもの、辛いもの」と認識している方が多いようだが、それこそなんの目標や目的もなく働いている人たちの考えに当てはまるかと思う。仕事にも目標や目的を持てば嫌なことも辛いことも乗り越えてそれを達成する努力を出来るようになる。

「ベーシックインカムで生活が保証されれば誰も働かなくなる」と言っている人を見るがかわいそうに思えてならない。それ程に目的や目標も無く生きているのは、それ自体が辛いことなのかもしれない。

P23.
それは、退屈するかしないかの違いは、どうもプロかアマチュアかの違いではないかという事です。
ここでいうプロとは、お金をもらっているかどうかではありません。やることを自分で見つけて、もっとこうしたいという気持ちをもてるかどうか。しかも、それを持続できるかどうか。これがプロの条件なのではないかと思います。
よって、主婦のプロだって当然います。

前職の会社に入る際に秘書的な人から質問された。

「プロとは何か?」

何かのテレビ番組で行われている質問らしいが私の回答は検討違いな内容で合ったらしい。それらのテレビ番組では「ものすごく深い」と思えることを皆さん答えるようだが、そんな事は知ったことではない。私がどう考えているかを質問されたからそれを答えただけだ。

私は「その事柄について追求し、自己を向上させ、それを持続させることができるか」と答えた。まさに著者と同じ考えかと思う。「お金を貰ったらその時点でプロだ」と言っている人を見るがそれは大きな間違いかと思っている。お金を貰うだけでプロなのであれば、それを始めた初日でもプロになりえる。行動の責任を取る覚悟もない人間がプロとなり得る。

この考えを持ち私はプロとして生きていきたい。


このように短い文章の中でもかなり考えさせられる内容を含んでいた。だから読書は止められない。著者が20年かけて経験してきた内容を1時間で教えてくれるのだ。感謝したい。


また、「仕事」と言う内容以外にも、「仕事」に向きあう女の考えも書かれていて非常に面白い。私は女に向かって持論をぶつけて非難されるのだが、女の著者が真っ向から同じ事を書いている。得に、P84からの「なぜ結婚したいの?」や「日本女性の結婚好きはどこからくるのか」は研究者からの意見も交えられていて非常に面白い。

仕事に不満を言っている女、結婚したいと言っている女、それらを見ている男、には是非とも読んでいただきたい内容になる。

P90.
そもそも結婚とは愛情で結ばれるものだと思っていたら、この国では経済関係で成り立っていることに気づいたことで、いくらかの疑問がとけてきたというのです。

私が非難を浴びる内容を女の立場から言ってもらえるのはありがたい。今後この話をする時はこの書籍の引用が役に立つ。この内容についてもそのうち記事にしたいと思う。非難を浴びるかもしれないが……。


なぜ仕事するの? (角川文庫)

なぜ仕事するの? (角川文庫)

仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか (幻冬舎新書)

仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか (幻冬舎新書)

なぜ、もったいない働き方をするのか?

なぜ、もったいない働き方をするのか?