ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

2ちゃんねるの転載禁止で職を失った人の話

私は本日連絡を受けるまで知らなかったのだが、2ちゃんねるの特定の板の内容が転載禁止になっているようだ。これに伴い現在各まとめサイトが混乱の騒動にある様子(くわしくはこちら「2ch「ニュー速VIP」「なんJ」転載禁止の影響・拘束力とは 方針転換する大手サイトも続々、他板にも飛び火か」)。

この「連絡を受けるまで」とは、私の知人にも「まとめサイト」を運営しているものがおり、その知人から今後の方針について相談を受けたことによってこの騒動を知った。私自身はまとめサイト2ちゃんねるも見ていないし、過去には私の連絡先が公開されるという「炎上」という恩赦も受けているので未来永劫関わりを持たないことに決めている。

だがこの知人には昔、2ちゃんねるまとめサイトを運営するためのツールを作ってあげたことがあり、私も忘れていたそのツールを利用して今現在までまとめサイトを運営したという事であった。そして現在はそのまとめサイトの収入から生活しており、「この騒動で生活が出来なくなる。救けてくれ。」という連絡であった。

まぁ私はそいつの収入がなくなっても知ったこっちゃないが、まとめサイト自体が過去から叩かれているという事を知り、「叩いている連中は頭が悪いのではないか」ということを思ったので話を聞いてみようと相談を受けたまでになる。

僕が2ちゃんねるを捨てた理由 (扶桑社新書 54)

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この記事は長い、そして意味も殆ど無い。単なる私の思い出話だ。読んで不満を言うなら読まないでおいて欲しい。


そいつの話は後に回すとして、まず、なぜ、「まとめサイトの運営が叩かれる」のかがわからない。これはルールに則ったきちんとしたWebサイトであり、需要もあり、その需要を満たすために運営し、その労務に応じた収入をもらっているまでになる。いくつかのまとめサイトを見てみると確かに「広告が多い」と思うこともあるが、それがそのサイトの運営形態であり、第三者が人の商売に文句をつけることではない。

閲覧者という「客」が「見づらい」という改善要求を出すのであればまだしも、「楽をして稼いでいる」や「俺達の書き込みを利用して商売している」と文句をいうのは筋違いになる。楽をしているかどうかはわからないが、「楽で儲けている」と不平を言うのであればお前もそのまとめサイトを運営すればいいだけで、それをやらない自分を棚にあげて文句を言うのは筋違いになる。

本当に楽な商売であったとしてもそれが商売として成り立っている以上問題はない。楽だろうが難しかろうがどれだけ儲けようが労働者と言う観点からは同じで関係が無いことだ。本当に楽な商売であればすぐに競合が起こり楽ではなくなるのは必然だ。だからこそまとめサイトにも儲かっているサイトと儲かっていないサイトがあり、儲かっているサイトは需要を満たす情報を提供しており、儲かっていないサイトは閲覧者の需要を満たしていないだけという話だ。

絵にしても、著名な画家がキャンバスに一本の線を引いただけで数千万の価値があるが、私が一本の線を引いた所で画材の無駄以外の何物でもない。需要と供給とはそういうもので、楽かどうかは関係がない。NTTにダイナミックループという名前の理科の教科書に載っている電球の絵みたいなロゴがあるが、あのデザインを考えたのは亀倉雄策になり、デザイン料は数千万円となっている。
あのデザインを思い浮かべば同じような図をイラストに起こすのは1分もあれば十分である。だがこれは楽な商売なのだろうか?これが楽な商売だと思うのであればあなたもデザイナになり、10枚ほどのロゴを書いて一生遊んで暮らせばいい。そのデザインを思い浮かべる発想力が必要で、それはそれまでの努力の賜物である。


まとめサイトも同じだ。どのようなまとめサイトを作るか考え、そのまとめサイトの目的にあったスレッドを探し、そのスレッドの数千の書き込みから転載する書き込みを取捨選択しなければならない。このスレッドの選択や、取捨選択にはセンスが必要が。なにも適当な書き込みを転載すればいいだけではない。このセンスの良し悪しがまとめサイトの品質を左右し、その品質がいいものにアクセスが集まる。まさにデザイナと同じような商売になる。

さらに例えると検索サイトと同じだ。あなたはGoogleやbing、Baiduを楽な商売だと思うだろうか?そして、楽な商売だと思うなら同じように叩いているのだろうか?Google等の検索サイトもまとめサイトと同じように、今ある情報を集め、それから取捨選択し、閲覧者に情報を提供しているだけになる。クリエイティブな要素としてはいかに検索後にマッチした結果を返すか、検索者の過去の履歴からどの情報がマッチするかを判断し提供するかだけになる。検索サイトが生み出している情報は何もない。取捨選択しているだけだ。


そして最も重要なのが「ルールを守っているか」と言う事になる。もし、まとめサイトがルールを破り運営されているのであればそれは批判の的になっても仕方がない。批判する暇があれば法に訴えるべきだ。だがまとめサイトは「今まで」はルールに則り運営されていた。2ちゃんねるの規約として「出版」等の除外項目を除いてWebサイトには転載が許されていた。だからこそそのルールに許された従いまとめサイト運営者は転載していたに他ならない。

ルールに則りまとめサイトを運営しているのである以上それを批判する必要はない。出来るわけがない。身の回りの商売にしても「法律」に触れないから商売できているのに他ならない。どれだけ崇高で需要がある商売であったとしても法律に触れては商売することはできない。

もしこの「転載」が気に食わないのであればそれはまとめサイトの運営者ではなく、2ちゃんねるに文句を言うべきなのである。2ちゃんねるが許可している以上それは止めることができない。まとめサイトに不満をいい、そのまとめサイトが転載を辞めたとしても、それがルールとして認められている以上他にまとめサイトが立ち上がっていくだけになる。


だがこの頃このルールが変わり、「転載禁止」なる条項が特定の板に設定された。これはルールが変わったのだ。だからこそまとめサイトはこれに従い「転載禁止」となっていない板で運営を続けるか、別の路線で運営を続けるしか無い。この「転載禁止」に不満があるのであればそれは2ちゃんねるに訴える事象であり、閲覧者に文句を言うことでもない。ルールに則り商売していた以上、そのルールが変わればそれを素直に受け入れて商売していくしか無い。

このルールに不満を言うのであればそれは今まで「まとめサイト」に文句を言っていた人と同じだ。お門違いになる。


閑話休題


私にはそもそもこのような考えがあったので私は2ちゃんねるから離れていたものの、私の身の回りの人たちが2ちゃんねるを嗜み、2ちゃんねるまとめサイトを読んでいたとしても何も思うことはなかった。


冒頭の知人の話に戻ると、そいつ(以後J君と呼ぶ)は前職で私が管理していたプログラミング講座の生徒になる。J君は当時で30歳ほどであり、それまではパチプロと派遣社員を兼業していたが派遣切りに会い、今後の仕事を考えている中でパソコンが好きなのでその講座に参加したとのことであった。話を聞いているとねっからの2ちゃんねる好きであり、大勢の前で自分はVipperだと宣言する痛い人であった。

そのプログラミング講座は3ヶ月だったのだが、J君は授業中も2ちゃんねるを見るという離れ業を繰り広げていたため理解が悪く、その講座終了後も半年のプログラミング講座に参加した。だが、性格の問題なのか理解力の問題なのか合計9ヶ月の講座でもまともなコードを書くことが出来ないでいた。そこで私が管理していない別の講座なども紹介し、合計で2年弱講座に参加していたようだ。


だがその2年でプログラミング技術も身につかず、就職先も見つからなかったという事であった。長いこと講座に参加していたのでいろいろと相談を受けるようになったのだが、そのなかで「まとめサイトを作りたい」ということを聞き、その為に今はプログラミングを勉強しているという事であった。

まとめサイトを作りだけであればプログラミングは関係ないと思ったのだが、「数千の書き込みから有用な書き込みをピックアップする」ということはかなり時間が掛かることのようで、簡単には「数文字以下のコメントは除外」、さらには「アンカー(>>1とか言うの)が多いコメントは優先度を上げる」という処理が出来ると、書き込みを探す時間が大幅に短縮できるようになるという事であった。

J君は自分でプログラミングはできないがそういった「まとめサイトを運営するノウハウ」は持っていると考えたので、私はJ君が言っている機能をプログラムで作成しJ君にプレゼントした。それが冒頭の「まとめサイトを運営するツール」になる。現在ではどのような機能を作ったかは忘れたが、datファイルから条件でフィルタリングした仮想的な掲示板を作り、その中からキーボードショートカットで書き込みを移動していき"j"で「転載」、"h"で「強調転載」、"l"で「アンカーに従い表示順序をソートして転載」のような機能を持ったものであった。これでキーボード操作の連打と「書き込みを選ぶセンス」だけでまとめサイトを運営できると言うようなものである。

このツールをプレゼントするとJ君は非常に喜び、仕事を探しながらこれで収入を得て生活すると宣言した。最初の3ヶ月ほどはプログラムの修正や、Web技術の相談などで私に連絡をしてきていたが半年もすると連絡が来なくなっていた。2ヶ月に一度は一緒にご飯を食べに行くことはあったが、てっきり就職して忙しくなったのかと思い、さらにはJ君から仕事の話はして来なくなったので私からすることでもないと仕事の話は一切せずに、Web技術や読書の話をする程度になっていた。


そして、そのツールをプレゼントして3年ほど経った今日、久しぶりにJ君から連絡があった。これが冒頭の「助けてくれ」という連絡で会った。私はてっきり就職したと考えていたので何のことか分からなかったが、話を聞いてみると「まとめサイト」の運営で生活していた様子である。具体的な金額は聞いていないが、パチプロからも足を洗い生活していたようなので少なくとも20万円程度の収入はあるのかと思う。

まとめサイトの他にもアフィリエイトやFXにも手を出したとのことだが、FXでは500万円の貯金が飛んだので辞め、アフィリエイトなどのサイトも月に数万円の収入はあるとのことだが、まとめサイトに比べるとアフィリエイトサイトはワンオーダーで手間が掛かるためまとめサイトに依存してしまっているとのことだった。

そして、「これからまとめサイトをどうすればいいか」という相談であったが、上に私の考えを書いたように「今までお前は生かされていた。ルールが変わるのは時代の流れだ。お前もずっとまとめサイトで生活できると思っていたわけじゃないのでアフィリエイトにも手を出したのだろう。そのルールの変化が今起きただけだ。抗わずに別の仕事を考えろ」と切り捨てた。私は本当にこう思っている。私も今現在までWebの仕事をやってきたが、いつまでこの仕事があるかわからない。
今までも時代の流れでなくなってきた職業など数えられないほどある。一つの仕事で生涯生活できることなど無い。今現在は車産業が儲かっているが、この車もどこでもドアが発明されたら産業として淘汰されてしまう。時代とは発明と淘汰の歴史だ。

ということで、J君はまた無職になった。今はもう35歳程なのでさらに就職は難しくなっているだろう。今ではこれまでに就職しなかったことに後悔しているかも知れない。だが全ては自己責任だ。流行り物に手を出す身には仕方が無いことだ。一旦は儲けが大きいが、それはいつまで続くかわからない。これはスマートフォンアプリの業者と同じだ。iモードと共に死んでいった産業のように時代に合わせて変化していかなければならない。


こうしてJ君は転載禁止と共に職を失った。今現在運営しているまとめサイトも暫くは利益が維持できるだろう。だがそれも長くない。私は金を借りて生活しているというのに、楽をしてまとめサイトで生活している奴が悪い。自業自得だ。儲かっている時に声をかけてくれればよかったものの、産業の幕が引かれてから声をかけてきたので打つ手はない。


私の返事の後にJ君はこう相談してきた。

これからの時代はアフィリエイトドロップシッピングだ。またツールを作ってくれ。


J君は心が強い。同じ失敗を繰り返すつもりだ。だが全ては自己責任だ。J君がそう言うなら私は喜んでツールを作ろうぞ。



ということで、J君もそのコードを使わなくなったので公開しようと思ったがすでに私の手許にそのコードはなくなっていた。見つけることが出来ればそのうち公開しようと思うが、Gitリポジトリに無いという事は多分既に消去済みになるのかと思う。

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