知識が発想や学びの邪魔をする
先の記事「HTMLやCSSなんて1週間もあれば覚えられるだろ」でも勉強法の中で「前提知識を捨てろ」や「抗うな」と書いたが、要するには勉強するに当たり「自分の知識」がその勉強の邪魔をするという話。
これも私がよくする話なのでミニにタコな方もいるだろう。そういうかたはそもそもこの記事を読まなくていい。また口頭で話してやろう。何度でも。
40から7は何回引けるだろうか?
考えてから続きを呼んでほしい。
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多くの方が5回と答えるのかと思う。さらには回数を聞いているのに少数以下まで答える方もいるかも知れない。
答えは「1回」だ。40から一度でも7を引いたらそれはすでに40では無くなっている。よってそれは「40から7を引く」では無くなっているために、40から7は一度しか引くことができない。これを「頓智だ」とか「引っ掛け問題」などという人たちもいるが、それが言いたいことなのである。
先の5回や小数点以下の答えを出した人は「割り算」という計算方法を知識としてつけていたために「40から7を引く」ということを割り算と考えてしまったのだ。一つづつ引き算をすれば一回であることは回答できたかと思う。
これが「知識が邪魔をする」ということで、その知識があるからこそ複雑に考えてしまう。単純なことでも複雑に考えてしまうことでより複雑な問題に繋がってしまう。「問題は単純に考えろ」とはよく言うが、これはこのことを示しているのかと私は勝手に解釈している。
例えば以前にも書いたが、下の図形を見てほしい。
この4つの図形から仲間はずれを探し、その理由を考えてほしい。
もう一度解説をすると、Cを選んだ人が多いかと思う。あなたは正解です。Cは左右対称でない唯一の図形なため仲間はずれです。Aを選んだ人もいるって?あなたももちろん正解です。Aは角を持たない唯一の図形です。B?Bを選んだ人もいるって?あなたも正解ですよ。唯一直線のみで書かれた図形です。ああ、もちろんDを選んだ人も正解ですよ。Dは曲線と直線が使われた唯一の図形です。
これも「答えは一つ」と言っていないにも関わらず、あなたは一つしか答えを探さず、答えを一つ探した時点で答えを探すことを辞めてしまったはずだ。学校教育の中では答えを探すことを練習させられ、その答えは一つであると教えられてきたかと思う。学校教育は問題の中から一つの答えを探す方法を教え、その訓練をさせることで一つの回答を導き出す能力を付けさせる代わりに、考える力や想像力を欠落させているのだ。
また、チョークを黒板に叩きつけたとする。これが何に見えるかと質問をすると、20歳以上の100%の人間が「チョークの白い点」と答えたという。だが幼稚園児に質問をすると全員が異なる答えをいくつも発表した。「お月様」、「ハエ」……。十人十色、かつ一人ひとりが複数の答えを導き出す。これが人間が本来持っていたはずの自由な発想と想像力だ。誰もし持っていた力になる。
だがしかし、あなたは学校教育と、社会に出てからの「常識力」、さらには世間体というがんじがらめからその自由な発想をする能力を自ら押し殺してしまっているのだ。
どのような問題が目の前に起きたとしても、それを観察し自由な発想をしてほしい。
何かを勉強する時は他の知識や常識に惑わされず、その対象について考え素直に受け取って欲しい。
こぼれ話だが面白い話を聞いたことがある。「一 十 百 千 万 十万 百万 千万」と数えていると、「なぜ千万が二個もあるのか」と質問した人がいたという。この意味がわかるだろうか。「一十百"千万"十万百万"千万"」。確かに2回もある。字面にしていると区別できるかも知れないが、言葉で聞いていると同じ発音に聞こえるかも知れない。発音が異なったとしても「千万」という言葉が2回出たことは確かだ。
このように身の回りにも不思議に思うことが多々あるはずだ。リチャード・P・ファイマンもこう言っていた。
一番のルールは自分自身を欺かないことだ。
そして、一番欺きやすい人間はあなたである。
そう、あなたはあなた自身の考えを欺き、あなた自身の行動を制限しているのだ。あなたの知識の邪魔をしているのはあなた自身に他ならない。
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