ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

日本人は勤勉なのか

どこが勤勉なんだよ。戦後すぐや高度成長期と呼ばれる時代の日本人なら「勤勉」と言えたかもしれないが、少なくとも現代の日本人は勤勉ではない。勤勉どころかいかにサボろうか、いかに楽をしようかとしか考えていない。権利だ何だのと騒いで働くことを避けようとしかしない。

なぜか中国人や韓国人を「真面目に働かない」と思っている人間がいるようだが、私が知る限りではよっぽど中国人のほうが真面目で勤勉に働く。仕事中にギャーギャーと関係のない話をしたり、サボりに行ったりもしない。

勤務時間中にきちんと働き、退勤時間になれば帰宅する。これを「残業しない」と評価するバカがいるが、バカで無能なのはそんなお前たちだ。勤務時間中にサボっているから残業をしないといけない、業務効率が悪いから残業する必要がでるのだ。そもそも残業とは望まれるものではなく、法的にも契約がなければ違法な行為になる。

会社からすれば中国人の方がよっぽど働いてくれる優秀な人材だ。だからこそ私も中国人を雇う。だがそうすると世間からは「日本人を雇わない」「外人を安く雇っている」「在日ではないのか」とわけのわからない風評を流される。そんな馬鹿な日本人たちだから雇いたくないという考えはわからないのだろうか。


日本人は最近「会社以外で仕事をしない」と言うのが当たり前らしい。そしてそれが素晴らしいと評価されるようだ。どこが勤勉なのか。勤勉とは何なのか。そもそも会社でも働いていないのに、会社以外で仕事をしないとなるとどこで働いているのか。そいつはそもそもに「働いている」のかどうかすら疑問だ。

例えばアメリカ人を例に考える。日本人はアメリカ人のことを「権利があるから会社以外では働かない。残業しない。」と考えている人間が多いようだ。馬鹿かと。何を根拠にそんな発想が出るのか。事実を見ないで、知ろうとしないで、調べないからこそそいつらは馬鹿で無能で仕事が出来ないのだ。

アメリカ人は自宅でも仕事をする。そのために自宅に書斎を持つのだ。会社で仕事をして家でも仕事をする。それが平均的なアメリカのサラリーマンだ。


確かにアメリカ人は残業というものをしない。これは言葉尻は正しいが意味が全く違う。

アメリカ人は残業を「しない」のではなく、アメリカの社会システムに「残業」と言うものが基本的にないのだ。アメリカでは多くのサラリーマンが年棒制だ。1年間の定められた年棒について12ヶ月や2週間おきに分割で給与を貰う。どれだけ働いても1年間の給与は変わることはない。1日5時間しか働かなくても、1日20時間働いても給与は同じなのだ。1日にどれだけ働こうが「残業」など無い。それは自分の裁量で決めた勤務時間でしか無いのだ。それは「残業」ではなく「通常勤務」なのだ。

日本人がこのルールで働くと好きなだけ休み、好きなだけサボるだろう。1日20時間働く人間など皆無に等しいだろう。日本のルールでは会社に滞在する時間で給与が決まる。だからこそ仕事をサボり、自分の仕事を非効率にこなし、残業し給与を増やそうとするのだ。この考えであれば先の中国人がどれだけ歓迎すべき仕事をしているかわかるだろう。

だがアメリカ人はそんなルールに甘んじること無く必死に働く。本当に1日20時間働いたりもする。今を頑張らなければ来年の年棒が大幅に下がる。だから来年の年俸が上がるように日本人の言うところの「社畜」の用に働く。アメリカのサラリーマンは本当に上司の誕生日や上司の嫁ハンの誕生日、果ては夫婦の子供や、嫁ハンの両親の誕生日や記念日にまで花を送ったりプレゼントを渡す。それくらいに上司に媚びへつらい、自分の待遇が上がるように努力するのだ。

日本でそんなことをしている会社があれば世間的にもバッシングされるだろう。だがそれ程にアメリカでは社会的地位が重要になるのだ。社会的地位が落ちてしまえば本当にホームレスになる。アメリカは主に年棒制とアワリーと呼ばれる時給制のアルバイトになるが、アワリーは日本の最低賃金の半額以下で働く。日本ではアルバイトでも生活が成り立つファーストフード店なんかでも時給4ドルだったりするのだ。

そして医療費の問題もあり、一度地に落ちると自力で這い上がることはほぼ不可能だ。テレビではホームレスから大企業の社長になった人間なんかを紹介するが、それは数千万人に一人くらいだ。日本の宝くじで6億当てるよりも儚い確率だ。アメリカのホームレスは人口のほぼ半分で、日本の人口とほぼ同じになる。だから数千万人に一人の確率でもホームレスの中から数人は成功者を出すほどに多くの人間がホームレスなのだ。


中国人もより多く給料を貰えるように、上に行けるようにと家に帰っても勉強する。アメリカや日本の大学に来てまで勉強する。

日本人は「大学に行って遊ぶ」と言う考えのようだが、中国人やアメリカ人は本当に勉強するために大学に行くのだ。むしろ大学に入って勉強をしなければ「退学させられる」。アメリカの大学は日本の言うところの課題が比べ物にならないくらい多いが、その一つでもかければ「やる気がない」とみなされて退学させられる。1年の1学期のうちに何割かの生徒が退学させられると言えばその凄さがわかるだろう。

日本の大学は筆記試験を行い「入学者」を選考して門戸を狭めるが、大学卒業までは試験にさえ通れば卒業でき、その間に成績が悪くても退学させられることはない。だがアメリカの大学は基本的に書類審査のみで入学でき、入学の門戸は盛大に広いものの卒業の門戸は狭い。ドンドンとふるい落とされていく。だからこそ必死に勉強してくらいついていかなければ卒業など出来ない。

アメリカは実力主義の国だというが、それは学歴が低評価され実力が評価されるというわけではない。この「大学を卒業する」と言うことも大きな実力として評価されるのだ。むしろ大学を出ていないものは先のアワリーと呼ばれるような仕事しか見つからない。その仕事が見つかるだけでも幸運なのだ。だからこそほとんどの人間は仕事に着くことが出来ずホームレスとなってしまう。

また、アメリカの大学は基本的に学費がクソ高い。州立大学等安いものもあるが、それらは実力として低く評価されてしまうので、有名なところで言うとハーバードやコーネル大学と言うところにいかなければ意味がないのだ。そのためには学費が2000万円ほど必要になる。これは日本で糞高いと言われる医大とほぼ同じ額だ。その代わりに良い大学に行くと、スポーツにしろ学力にしろ専門の施設を大学が持っているほどの専門性の高い教育を受けることが出来るのだ。例えばスポーツにしても、「体育館」のようなしょぼいものではなく、大学がスタジアムを所有していたりもすることでその格の違いがわかるだろう。

アメリカ人は自分の実力として大学に入り必死に勉強する。そのために2000万円の学費が必要になる。日本で言えば住宅ローンの価格だろう。だからこそアメリカ人は学生ローンで2000万円の学費を払うために20年のローンを自分に課すのだ。大学4年のために20年のローンを組む。日本人には理解できないだろうがそれ程に必死なのだ。日本の学生は学費ローンが払えないと批判しているが、結局それは自分が怠けた結果だ。ホームレスにでもなってから払えないというのであればわかるが、普通に雨風のしのげる場所に暮らしながらそれを払えないとは詐欺行為にしか言えない。


このような日本人がこれから先、必死に勉強して働く海外の人たちと戦っていけるわけがない。挑んでも勝てるわけがないのだ。

日本人にも優秀な人間はいるが、それらの人材は海外に行ってしまう。それは海外の会社が優秀なだけではなく、日本の会社がアホすぎるのが原因なのだ。先に書いたようなサボることを目的に働いている日本人と一緒に働いていこうと思うわけがない。日本は既に、勉強したい、働きたいと思う人間が目的を実現できる土壌ではなくなっているのだ。

ここは自国民が自国の成長を邪魔するという素晴らしい国だ。


これから先、日本という国はどうなっていくのだろうか。