ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

技術の進化はユーザの不便を生み出した

私が思うに技術が進歩するに従ってユーザの不便が解消されるわけではなく、ほとんどの場合に置いて不便が増えているのように感じる。

私がこれを大きく感じるのはICレコーダを使う時だ。私はテープレコーダの時代からハンディーレコーダを利用しているが、テープレコーダからICレコーダに進化することで不便になった。そのせいで現在もカセットテープレコーダを卓上で使い、外ではマイクロカセットレコーダを使っている。最近はテープが手に入らないので外でもカセットテープレコーダを使う羽目になっているが。


一度ICレコーダを使ったことがある方なら、きっと一度は不便を感じたことがあるだろう。

ICレコーダは電源を入れてから数秒は起動処理のために使えないのだ。


私は今までに五台のICレコーダを使ってきたが、これはどれも同じであった。短い起動時間のものでも2秒ほどはまたされる。高機能な物になればなるほどこの起動時間は長くなる。

そのせいで高機能な機種から5000円ほどの安価なものに変更したが、それでも待機時間が我慢できないためにICレコードを使わなくなってしまった。


カセットテープレコーダなら、録音ボタンを押せば遅延なく録音が始まる。まさに録音したいと思った瞬間に録音が初められるのだ。

ICレコーダは録音したいと思っても、まず電源を入れて起動を待ち、起動を確認してから録音ボタンを押して録音を始める必要がある。

世間のニーズ的にはこれで問題ないのかもしれないが、私の使い方にはこれはマッチしない。技術が進みICレコーダが出てきたが、そのせいでパッと録音ということができなくなった。ICレコーダも出た直後のものならすぐに録音が開始できるタイプのものもあったが、そのタイプは外部ストレージに録音するわけではなく、内蔵ストレージオンリーで、それ単体で再生する必要もあり不便なものであった。

それを解消すべく外部ストレージに録音するタイプが生まれたが、そのせいでファイルシステムのチェックなど起動における処理が多くなり起動に時間がかかるようになってしまった。


HDDレコーダも同じだ。VHSレコーダやβレコーダから進み、DVDレコーダやBDレコーダとなり最近はHDDレコーダが一般的になり技術は進歩した。

だがこれもICレコーダと同じく起動に非常に時間がかかるようになってしまった。VHSが出た当初のVHSレコーダはカセットテープレコーダと同じように録画ボタンを押した瞬時に録画が開始された。

だがVHSレコーダも技術が進歩するに従って起動時間が必要になった。でもそれでも数秒のものだ。

カセットテープレコーダと違いVHSレコーダはテレビ番組の録画が目的となるため、この程度時間であれば問題にはならなかった。CM終了直前に録画ボタンを押しても、番組が始まると同時に録画は開始されている。

だがこれがDVDレコーダ、HDDレコーダとなるにしたがって起動時間がドンドンと長くなっていった。手元のHDDレコーダは起動に30秒近くも時間がかかってしまう。


録画するだけではなく、録画した番組を見ようとしても同じくらいに待たされる。更には録画した番組の一覧を表示するのにも、その番組の再生が始まるのにも数秒単位の時間がかっていく。一つの録画を見るのだけでも、合計にどれだけの時間待たされるのだろうか。

起動時間は一定でかかるので、DVDやBDをみようとしてもその時間がかかってしまう。

VHSの時代なら、HDDレコーダの起動の時間だけでVHSを棚から取り出し、箱から出し、それをデッキに突っ込んで再生が初められている時間にも余裕があるほどだ。

ゲームでもゲーム機の電源を入れてから起動するまでに時間がかかる。ファミコンなら電源入れてポンであるのに、PS4なんて起動にどれほど待たされ、さらにメニュー画面からゲームを開始するのにどれだけ時間がかかるのか。テトリスの9-5なら何度か死ねる時間だ。ディグダグ2なら何面かクリアが出来る。


技術が進歩するに従って本当に無駄な待機時間がドンドンと増えていく。その待ち時間で私はどんどんと老けていく。

誰もこれを不便に思わないのだろうか。


私は現在無職で次の仕事への準備時間だ。長くていいのはこの時間くらいではないだろうか。