ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

UNIXという考え方―その設計思想と哲学 Mike Gancarz(著), 芳尾 桂(翻訳)

本書は平成13年に初版が発行されている。おそらく本書が出版されてすぐに購入したと記憶している。

私は今までに本書を様々な人に進めてきた。GNU/Linuxを使おうとしている方、プログラミングを勉強しようとしている方、Excelを使っている方。本当に様々だ。

だが本書はそれほどに多種多様な方が読めるほどに基本的なことが書かれており、そして、それほど多種多様な人が読むべきことが書かれている。

UNIXという考え方―その設計思想と哲学

UNIXという考え方―その設計思想と哲学


私は本書があったおかげでプログラミングの方法がわかったと考えているし、プログラミングを人に教える時、オブジェクト指向を人に教える時、本書の内容は常に参考になる。

現在ではエクストリームプログラミングスクラム開発などと言ったわけのわからないものが多々あるが、本書はそれらの源流でもあると考えられる。源流故に、それらの開発など無視し、本書の内容を参考にすれば十分だ。

「できるだけ速く試作を作成する」と言う内容も決してプロトタイピングモデルだけと言えるものではなく、様々な手法のベースとして考えることが出来るだろう。

本書は是非とも、これからプログラミングを学ぼうとする方々に読んで欲しい。そうすればプログラミングをする際に、まず最初にどう考えればいいかわかるはずだ。

オブジェクト指向についてもクラスをどの程度分解すればいいのか、どの程度独立させればいいのか、これらにはほぼすべての人が悩むはずだ。本書にはそれについて考える道標が書かれている。

プログラミングをはじめて15年ほどしたが、私は現在でもたまに本書を読み返す。そしてその前回読んだ時の知識では理解できなかったことが理解できることが常に訪れる。考え方とはそういうものだ。

本書は「プログラミング技術」や手法が書かれているものではない。タイトル通りに「考え方」だ。考え方は時代が変わってもそう変わるものではない。だからこそ本書を読んで基礎となる「考え方」を知って欲しい。