ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

余った傘はありません 鳥居 みゆき(著)

前回の「夜にはずっと深い夜を」を書いてから日が経っている。てっきり感想文を書いたと思い込んでいたが、書いていなかったようなので思い出しだし書く。

本書は前著に引き続き2冊めの鳥居みゆきの著書となる。前回にも書いたが鳥居みゆきの頭の良さには感服する。

本書は雑誌の連載をまとめた書籍ということも有り、全ての話が繋がっているようだ。私は途中までそれに気づくことはなかったが、それを知った上でもう一度読みなおそうかと思う。それ程に鳥居みゆきの文章には魅力が感じられる。

また本書には「←ラブレター」のように文章にしかけがあるものもあるので、それに気がついていない方は何度か読みなおして欲しい。この仕掛けについてはストレートに気付いた方はどれくらいいるのだろうか。私も最初は気づかなかった。

余った傘はありません

余った傘はありません


本書は前著のようにショートショートショートベリーショートのようなものはないが、連載ということも有り、話の繋がりが長編的になっておりこちらも面白い。

タイトルの「余った傘はありません」と言うタイトルの意味は最後までわからない。連載時のタイトルは「4月1日」ということで、それからタイトルを変更したというのは最後になるまで種明かしをしないという考えがあるのか、そもそもエイプリルフールからタイトルを変えたのかはわからないが、そういった点についても鳥居みゆきの総合的な文才、思考に感動を覚える。


本書の出版から2年が経過しているがまだ新しい本は出ていない。今後出すのかもわからないが、著者には是非とも今後共に文章を書いていただきたい。

私が著者を選んで本を書いてほしいと思うのは鳥居みゆきが初めてかも知れない。それ程に「鳥居みゆき」として文章に魅力を感じている。


作家のファンとはこういうことなのだろうか。