ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

元素はどうしてできたのか 櫻井博儀(著)

すばらしい。私は今までに多種多様な本を読んできたが、その根幹となるものが「原子(元素)」になる。本にしても結局は原子の集まりであるし、それを考えている人間の体も脳も原子の集まりだ。

だがほとんどの人はその原子について理解していない。昨今の原子力問題にしても、その原因となるのは放射能になるかと思う。だがそれらを批判する人は放射能について正しい知識を持っていない、そもそも放射能放射性物質の違いとその関係も理解していない方が半数以上いるのではないだろうか。

そういった方は是非とも本書を読み、そもそもに「原子とはなにか」と言うところから勉強してほしい。


私は今までに反原発派の皆様に文句を言うような立場をとってきたが、それは「放射能(放射性物質)」について正しい知識を持ってほしいという理由からだ。確かに放射能というものは危険なものであるし、原発問題は人類の生活に危機的状況をもたらすものになる。

だがそれについて正しい知識を持っていないにも関わらずそれを批判するという行為が私は最もバカバカしいものだと思っている。正しい知識を持っていないということは、それは先入観や思い込みが原動力となっており、それを原動力とするものはいずれ暴走する。その暴走はやがて人を殺すことにつながるだろう。それでは「放射能で人の命が危険にさらされる(人を殺したくない)」のか「放射能問題のために人を殺す」のかどちらかわからなくなってしまう。

その暴走をしてほしくないがゆえに原子力について正しい知識を持ってほしくそれらの行為を私は批判しているのだ。



例えば私は原発に反対でも賛成でもどちらでもない。人間が便利に生活をしていく上では原子力は仕方がないものだとも思うし、その失敗による影響範囲がでかいのではないかとも思っている。だがこれは、灯油ストーブにしてもそのストーブに起因する火事で焼死する人々や、車で事故を起こして死ぬ人々と同じように、人類が利便性を追求する上で危険なものに手を出した結果にほかならないと思っている。

もし原発に反対するのであれば、そもそものその電力を使うべきではないというのが私の結論だ。火力発電所にしても水力発電所にしても事故で死人は出るし、風力発電にしろソーラー発電にしろそれを建設する上で多量の資源を使うのだ。そして何より、現在使われている化石燃料は埋蔵量はまだ数十年の需要に答れるにしてもいつかはなくなる。

原子力を考えると、天然ウラン(235)1グラムで石油2000トンと同じ発熱量に相当する。原子力を使うと未来の地球を破壊することになるというが、石油も同じで現在流行の温暖化問題にもつながるとされているし、そもそも未来の石油を全て使い果たすことになってしまう。どちらにしても地球を汚染していることには代わりはないのだ。であれば原子力だけを批判するのではなく、全ての資源の消費と地球環境の汚染を批判するべきではないだろうか。



少々話題がズレたが、是非とも原発賛成派も反対派も本書を読みまずは原子というものの知識を付けて欲しい。原子の知識がなければ放射線については何もわからないだろう。

またもちろん、原発問題についてではなく、単に原子というものに興味を持った方にもおすすめできる書籍だ。本書を読めば原子というものがどういうものかわかり、元素をどのように作り出しているのかもわかる。原子について網羅的な書籍になるだろう。

少々難しいと思われるかも知れないが、非常に平易な文で書かれており読み物としても読めるくらいの内容になる。

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