ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

その後の世界最強の商人 オグ・マンディーノ(著), 山川 紘矢(その他), 山川 亜希子(その他)

先日に読んだ「世界最強の商人」の続編。翻訳は全書と本書で同時刊行されたが、実際には20年の間が空き出版されたものとなる。

  • The Greatests Salesman in the World 1968年
  • The Greatests Salesman in the World PartⅡThe End of the Story 1988年

本来であれば続編を出すつもりをなかったとのことだが、本書の前書きに書かれている理由から続編として本書を書かれたということだ。その理由は本書と合わせて読むからに意味があるために是非確認して欲しい。

その後の世界最強の商人 (角川文庫)

その後の世界最強の商人 (角川文庫)


私は前書を読み、その日に本書を注文した。そして翌日に届いたのだが、それが待ち遠しくて仕方がない。本をこれほど楽しみにしていたのは初めてではなかっただろうか。それ程に前書が面白く、私に影響を与えていた。昨日は前書にしたがい巻物一巻を読んだ。もちろん本日もそうしている。明日もそうするだろう。良い習慣の奴隷になるまで。



それほど楽しみにして本書を読んだのだが。本書は少々微妙な感想である。

確かに前作は著者オグ・マンディーノの処女作であったので、内容も少々荒削りかつ、表現もさっぱりとしたものであった。だが本作はそれから20年の歳月と7冊の著作を記すことで、その表現方法がかなり柔軟に成り、ブランコの細工についても言及するなど細かな情景まで思いかべられるほどになっている。

まず本書はそこが前作と違い、物語性よりも表現性にかなりの割合が割かれていると感じる。それ故に、前作よりも内容としては分厚いものになるが、前作よりも物語の変化が少ない。

また、本書は前作で完結し、著者もそう考えたものの続編となるため、物語としては繋がりを持つが、前作で完成したものを延長したようにしか感じることが出来ない。物語としても「必要か?」と思うようなものになる。どうも前作からキリスト教としての舞台を展開したかったように感じられる。

前書では巻物は印のあるものに受け継がれてきたものになるが、本書の要点はその巻物を新たに創りだすという物になり、前作の焼き直し的な物になる。批判的な意味ではないが、新たな巻物は出版の1988年という時代に押されて書きなおされたもののようにも感じる。それを証拠に、全書の巻物は1巻30日づつ読むことになっていたが、本書の巻物は一巻7日づつと大幅に短縮されている。さらに内容も前回のものを簡単に口語に起こしたものとなっている。



読み物としては前書と本書で繋がりがあるため続けて読むことは面白いが、自己啓発や、前書の感想に書いたようにアファメーションの語りかけとしては前書の内容が十分かつ適切になる。

私は全書の巻物は繰り返し読むが、本書の巻物を読むことはしない。



もし誤って本書から読み始めた方は是非とも前書を読んで欲しい。前書を読み、本書を読むか悩んでいるという方は、まずは全書の内容を1年続けて実行して欲しい。そして本書を読めばいいだろう。

実際に出版としても20年の間が空いているのであるから、それ以上の間を開けて実践してもいいように書かれているはずだ。