編集者の仕事―本の魂は細部に宿る 柴田 光滋(著)
面白い。読書好きは読んでおいたほうが良い書籍だろう。
書籍を作る上で、編集者や出版社はどのように考えているのか、どのような理由からそうしているのかを知ることが出来る書籍だ。
例えば新書にしても各社によってサイズが違うし、そもそも新書や文庫、単行本などサイズが違う、カットの仕方が違う。字数が違う。
単に差別化のためにそうしているのではなく、きちんと理由がありそうしているのだ。普段読書の中で気が付かなかったことにも、本書を読めば気を使って読むことが出来る。
普段読みづらいと思う書籍にはそう感じる理由があるのだ。本書を読んだ後にそれを手に取れば、それがなぜ読みづらかったのか理解できるだろう。
著者は新潮社の社員であったようで少し新潮社にバイアスがかかっているように感じるが、どの出版社にしてもその工夫がわかる。
例えば栞のひもをつけるのにも、どのような工夫が必要なのか、なぜそれをつけている会社とつけていない会社があるのか、そもそもそれはなぜその長さなのか。ひも一つについてもそれがわかるし、そもそも編集者や校正者がどのような大変な仕事かということもわかる。
本を読む際にそれらの人々にも感謝していけるだろう。
もちろん作家が文章を書くが、出版社やそこではたらくそれぞれの役職の人がそれぞれの仕事をしなければそれは出版されない。Webの文章よりも書籍のほうが文章が読みやすいというのはわかるかとおもうが、それはなぜか。
同じ著者が書いていたとしてもなぜ読みやすさが違うのか。それはそれらの方々のおかげなのだ。
本、出版というものを知り、それに感謝し、読書自体を楽しめる知識がつく書籍になるだろう。読書好きならぜひ読んでほしい。