ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

史上最大の難問が解けた!―ミズIQの「フェルマー最終定理の証明」事件簿 マリリン ヴォス・サヴァント(著), 河野 至恩(翻訳), 吉永 良正(翻訳)

前に「論理思考力トレーニング法」を読んでサヴァントの書籍が面白かったので購入。

本書は「フェルマーの最終定理」がどのような背景で証明されたかと言う内容になるが、前半はそもそもに数学とはどんなもので、それを証明するとはどういうことか、そもそもに証明とは何かという「数学」を解説している側面が強い。

本書はワイルズの最初の証明時点の内容になるようだが、その証明方法に則った解説がされているわけではないのでそれは関係ないだろう。

史上最大の難問が解けた!―ミズIQの「フェルマー最終定理の証明」事件簿

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論理思考力トレーニング法―気がつかなかった数字の罠

論理思考力トレーニング法―気がつかなかった数字の罠


前書も殆どを読み飛ばしたが、本書も大半を読み飛ばした。

フェルマーの最終定理の証明部分はほぼ読んでおらず、これもサヴァントの解説が知りたいと前半の「証明について」や「どういうものか」というてんのみ読んだ。それでも面白かったので「フェルマーの最終定理」に興味のない人でも面白く読めるかと思う。

前書のように目を覚まされるような数学的発想の間違いについては書かれていないが、そもそもの数学的視点について考えるための書籍かと思う。



フェルマーの最終定理についてもそもそもそれを証明することで何か意味があるものでもないが、なぜそれに数学者が必死になるのかということも知っておくのは面白い。

これはアルジュナで桜井先生が言っていた。

地球少女アルジュナ 第6話

x^n+y^n=z^n

nが2より大きい時、任意の自然数X,Y,Zは解を持たない
知ってるか?フェルマーの最終定理だ!!

単純で力強い公式だ
しかしフェルマーは1665年、その証明を書くことなく死んでしまった

それから330年、数学者はこの式と格闘をし続け
遂に1994年、プリンストン大学のアンドリュー=ワイルズによって
これが正しいことが証明された

何故人々がその証明に血道を上げたか分かるか?!

これが美しいからだ!!
だからこそみんなそれを理解したがったんだ

数学は美しいんだよ
美しさの裏には必ず数学がある

美術で習ったろ?黄金比。あれも数学だ
オウムガイは数学的な螺旋を描き
全ての花弁はフィボナッチ数列で表すことが出来る

そして細胞も木々も山も雲も大地も、銀河も、広大な宇宙さえも
この宇宙全体がフラクタルな構造をもって存在している

俺がお前達に伝えたいことはそれなんだ!

数学がどういうものかわかっていない方にはコレがわからないかも知れない。だが数学とはこういうものだ。不確定性原理というものもあるが、それさえも数学で表すことが出来る。万物は数学で表すことが出来るのだ。



先に言った通りフェルマーの最終定理を解くことには何の意味もない。リーマン予想を解くことに比べれば本当に意味のないものだ。だがそれが意味のないことであったとしても真なのか偽なのか証明したいというのが数学者の考え方だ。

小説を読む人がその続きが気になるようなものと同じ感覚だろう。

本書はそういった数学者の考えが少し理解できるようになる書籍だろう。