陰謀論主張者の考えはほぼ間違っている
世間ではよく陰謀論が語られる。
代表的なものはアポロ計画で有人宇宙船が月に降り立っていないや、アメリカ同時多発テロ事件がアメリカ主導で行われた破壊工作というものだろう。
後者はまだ根拠のある論から語られることが多いし、その事件に「死者」が絡むために大々的に宣教しづらいのかわからないが日本では余り語られることが少ない。
だがこの日本では、前者のアポロ計画の月面着陸については飽きるほどに陰謀という話を聞く。陰謀論とまで語られなくても、「当時の技術で月に行けるわけがない」や「映像に矛盾がある」と言うことは非常に多く耳にする。
だがどれもこれも間違いだらけだ。これも誰に聞いたのかはわからないが、陰謀論者が間違って主張している内容をそのまま信じこみ、それを自分の意見として語っているだけになる。
これについては過去に何度も何度も書いてきたように阿呆な連中のヤバい思想になるが、このアポロ計画については簡単に否定できるために改めて書いておく。
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アポロ計画の否定で私が良く耳にするのは以下の3つだ。
- 当時のコンピュータで宇宙船を飛ばせるわけがない
- 月面に建てた旗がはためくわけがない
- 月面は温度が100度以上あるの銀塩フィルムで写真を撮れるわけがない
どれもこれも「頭大丈夫か?」と、その意見の反論ではなく、まずは発言者の思考能力を疑いたくなるようなものだろう。
もしあなたも陰謀論を信仰しているのであれば考えを改めるべきだ。自分が信じていた陰謀について金を出してでも実験して根拠を取るべきだ。そうしなければ生き恥を晒し続けるだけだ。
陰謀論の根拠とされるものは数多くあるようだが、よく耳にするこの3つだけ私の知識を元に反論しておこう。あくまでも私の知識をベースとしているために間違いがあるかも知れないが、陰謀論者の方はそれを反証してくれればわたしがその反証をしよう。
陰謀論の内容について多くは知らないが、私の知識でも陰謀論者の意見にほぼ反論できるかと思う。
当時のコンピュータで宇宙船を飛ばせるわけがない
まずここで大きな誤りがある。陰謀論は「有人月面着陸をしていない」であって、「宇宙船が存在しない」ではない。「宇宙船を飛ばせるわけがない」というのであれば、アポロ計画以前にロケット自体を否定することになるが、ロケットの発射映像はきちんと存在するし、そもそもに宇宙船が無くては月面映像や無重力映像など無いことになる。
そしてこれを「当時のコンピュータで有人月面着陸ができるわけがない」と言い換えても、その論理を展開している人間に「宇宙空間を飛行できる宇宙船が月面に着陸できないという根拠は?」と質問しても答えは返ってこない。
多くの人間はコレも聞きかじったままに「当時のコンピュータは現在の電卓以下の計算能力しか無い。それで宇宙を飛べるわけがない。」が定番の答えだ。
コレも先に書いた通り、まずは当時のその電卓以下の計算能力のコンピュータで宇宙船は飛んでいた。それを否定する人間はそもそも居ないだろう。
そして私の質問の通り、宇宙空間を飛ぶことと着陸が計算に及ぼす影響を返せる人間は少ない。だがちょっとした知識があればコレは全く違うことはわかるだろう。飛行機でも離陸してから気流に乗り飛び続けることと、離着陸するときでは難易度が全く違う。
簡単に言えば現状を維持し続けることと、状態が常に変化する中意図的に障害物と接触する行為の違いだからだ。安定飛行中は現状を維持し続けるだけでいいが、離着陸時は常に現状の変化に合わせて操縦を変化させる必要がある。これが計算量の違いだ。
だがこの計算は宇宙船は行っていない。すでにプログラミングされた状況に合わせてシナリオを切り替えるだけか、計算量が必要な内容は宇宙船のコンピュータではなく地球上の膨大なコンピュータで計算された結果を宇宙船が受信するようになっている。宇宙船はその計算結果の確認が出来れば十分であり、宇宙船のコンピュータは電卓レベルの計算で十分であったのだ。
これは現在の宇宙船や宇宙ステーションが最新のコンピュータを積んでいるわけでもないことでも理解できるだろう。今作られているロケットは今現在の最新のコンピュータが積まれているわけではない。何世代も前のコンピュータだ。
コレは先に書いた通り計算がそれで十分な理由でもあるし、最新の緻密なコンピュータを宇宙空間に持ち込めないという理由でもある。
最新のコンピュータは精密すぎ、宇宙空間の宇宙線が致命的なノイズとなる。例えば地上でも地上に届く宇宙線でコンピュータの計算結果に影響を受ける事は知られているが、宇宙空間ではそれにもろにさらされるためにそれに耐えうるコンピュータでなければならないのだ。
そして計算が早くできる事よりも耐久性が高いこと、壊れにくいことが要求されるのは考えなくてもわかるだろう。
よって、電卓レベルのコンピュータでも問題なく宇宙飛行も着陸も可能なのだ。
月面に建てた旗がはためくわけがない
これは何を根拠に語られているのかわからない。宇宙空間で旗がはためくことが許されないのであれば、どのような形状を維持していれば問題ないのであろうか。
この論のベースは「空気がないのに旗が揺れるわけがない」というものであろうが、拡張すれば「重力が少ない月面で旗が垂れるわけがない」とも言えるだろう。
少しでも「摩擦」や「抵抗」と言う意味を理解していればわかるかと思うが、空気がないということは「空気抵抗がない」と言うことはわかるだろう。ということは、空気のない月面では「旗はより大きくはためく」ということは理解できるだろう。
地上では一度はためいても空気抵抗と重力で旗は垂直に垂れようとする、だが月面では空気がなく重力が薄いためにその力は小さくなり、はたの揺れは地球上よりも収まりづらい。
この論を語る方からすれば、月面上では旗は形状を維持し続けなければならないのだろうか。例えば旗を折り曲げれば重力を無視してその形状を維持し続けなければならないのだろうか。
この論は反論をするまでもなく、その主張の意味がわからない。ぜひ一度この論を説明していただきたい。
月面は温度が100度以上あるの銀塩フィルムで写真を撮れるわけがない
これも旗と同じだ。なぜこのような考えに至るのかがわからない。コレも「熱」や「伝導」がわかれば簡単に解決できる話である。
例えばコレを唱えている方も宇宙空間では「音」が伝わらないことはわかっているだろう。「音」とは空気の振動であるので、空気のない宇宙空間では振動し伝播しないために音が伝わらない。
これは実際には人間における可聴領域における振動が無いというだけで実際には空気以外の分子がその振動を伝播するが今回はそんな話ではない(これは反論者がはしゃがないために付け加えておくだけだが)。
コレと同じように熱も空気が無いためにまず「対流」して伝播することはない。フィルム時代のカメラを使ったことがある方ならわかるかと思うが、フィルムの周りは空気なのでこの対流により熱が伝わらないということはわかるだろう。
熱の伝播には対流、伝導、放射の3つがあるが、これによって対流が消え、フィルムは吹き曝しでないために放射も消えるものとする。
伝導は媒体を通じて熱が伝わるので、もちろんカメラ内でも接触した部品同士であれば伝導が起こる。フィルムに「太陽からの放射熱」は直接当たることはないが、カメラのケースには放射熱は伝わる、そしてそれが伝導することも考えられるがそれは対流などに比べると遅いためにフィルムが破壊される前に冷ませば問題はない。
カバーからフィルムにも放射は起こるが、これもスペースや構造的にフィルムにまで届くには時間がかかる。そしてそもそもにNASAの人間も放射熱くらい理解しているのでその対策は十分にされている。
そもそもに月面は摂氏100度からマイナス100度以下と温度幅が大きいが、常に100度、マイナス100度というわけではなくその間を往復することになる。そのあいだのカメラが耐えられる温度の時間帯で撮影していればそもそもの熱伝導すら気にする必要はない。
これは「問題がある環境を前提にした」文句をつけるための論になるだろう。
このように、重力や摩擦、熱伝導など中学程度の知識でも考えれば解決できる問題すらわからない連中が騒いでいるのがアポロ計画の陰謀論だろう。
「○○なわけがない」と思うのであれば、まずそれに「なぜ?」と自分に問いかけるべきだ。その「わけがない」と信じこむ前に、「なぜそれができるわけがないのか」と考えればわかるだろう。もしその「なぜ?」が考えられないのであれば、それは自分が理解できていることではない。そうすればそれを自分が主張すべきでないことはわかるだろう。
この例でも「空気がなければ旗はゆれない」と思い込むのであれば、「なぜ空気がなければ旗が揺れないのか」と先に考えるべきだ。
そもそもに驚いたのは、アポロ計画自体がなにかわかっていない連中がアポロ計画を批判していることだ。
アポロ計画を批判する人の多くが、そもそも有人月面着陸が何度行われたかわかっていない。多くの人がニール・アームストロングが行った史上初の月面着陸の一回こっきりだと思い込んでいるようだ。月面着陸は6回成功している。アポロ13号の失敗は映画にもなり有名だが、何度もチャレンジして成功しているのだ。
コレも何度も書いているが、陰謀論だろうがなんだろうが信じるのはいいが、それを人に布教するのであればそれについてきちんと調べ根拠を持ってからそれを布教して欲しい。
あなたがやっていることは思い込みや先入観を人に押し付けようとしているだけだ。