ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

超・超面白くて眠れなくなる数学 桜井進(著)

先に書いた「面白くて眠れなくなる数学」と連続で読んだ。シリーズとして3作出ているようだが、2作目がなかったので飛ばして3作目の本作。

1作目が売れたのかわからないが、もともとはシリーズとして構成されていなかったものを無理やり同じような内容で出した用に思う。

それ程に内容が薄い。そしてネタがないのか1作目と重なる部分も有る。

 

面白くて眠れなくなる数学

面白くて眠れなくなる数学

 

 

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構成にしても1作目と同じで、手品のような計算方法が例示されているがその仕組みの説明は簡単なものだ。これだと他のパターンが可能かどうなのかわからないだろう。

前作の感想にも書いたが、数学の面白さとは「結果」よりも「理屈」になるだろう。

 

例えば46^2と問題を出されたパッと「2116」と言われて面白いだろうか。それは手品と同じようなもので、なにか仕組みが有るのだろうとは思うがそれがわからなければ「へー、すごーい」と思う程度のことだ。

その仕組みがわかってやっとそれが理解できる。特に数学とは結果なんてものはどうでもよくて、その過程を表すための学問だ。

例えば先の問題であれば、「50周辺の数字の二乗は簡単に求める方法が有る」と説明し、「50との差を100倍したものを2500に足し、その差分を二乗したものをさらに足す」と説明すれば簡単には解けるようになる。

例えば「47の二乗」であれば、50と47の差分である-3を100倍した-300を2500に足して2200。そして-3を二乗した9を足して2209となる。同じように「55の二乗」であれば、500を足して3000で、25を足して3025になる。

こう言われてもなにか面白いだろうか。確かにちょっとした話のネタにはなるかも知れないが、何故そうなるか理解していないと全く意味はないだろう。

例えば問題が「88の二乗」としても同じように解くことができる。差の38を100倍した3800と38を二乗した1444を足して7744だ。だが途中で38の二乗と同じように計算する必要の数字が出てきて、それを特にも12の二乗が必要になる。

これは例えば50ではなく100のほうが近いので、100をベースに考える方法があればそれを使ったほうが速いだろう。

このように何故そうなるかということがわかっていなければ「特定の場面」でしか使えない意味のないものになる。例えば0.3^{0.3}はどのようにして考えるだろうか。

これも乗数が整数である場合の方法しか知らない人には考え方すらわかないだろう。

 

数学とは「結果」や「やり方」ではなく、「理屈」が大事なのだ。

数学の面白さを伝えたいのであれば是非ともそのような書籍を出してほしい。