ブラック会社の従業員がブラック社会を繁栄させている
上の部署のちょっと偉めの人と会うたびに「ブラックですね」、「ブラックですね」と言われる。私が定時に帰っているところを見たことがなく、毎日毎日数時間の残業を行なっているからというのがおそらくその理由だ。
あまりにも会うたびに言われるので、私も気の利いた返事を返さないといけないと思い「色があるだけいいですよ」と返したのだが、あまり笑ってもらえなかった。
それから数ヶ月経過した今となっても、理解してもらえているのかが気になる。
そんなこんなで、社会ではブラック企業という言葉があるようだ。
そして、ブラック企業で働いている人たちを見ても、企業を通報するわけでも、その人を説得して会社を辞めさせるわけでもなく、「ブラックですね」と笑い話にするのが慣例的な様子。
ブラック企業で働く従業員と聞くと、その人たちが被害者であると思っているようだが、社会からすれば被害者という側面もあるのかもしれないが、加害者とする側面もあることに気づいているだろうか。
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まず、いわゆるブラック企業に誤って入社したとすれば、その企業をやめるか、労基署にでも通報するべきであるし、それが会社から封じ込められているのであれば、その録音でも取得し、警察に行けば済む話である。
それをしないということは、それを受け入れている、容認しているのと同じで、受け入れているのであれば文句を言うべきではない。そして、それを受け入れたと言うことは、自分の問題だけではなく、社会にいわゆるブラック企業を増やす一因となっているということも理解しなければならない。
被害者ヅラして構って欲しいのかもしれないが、自分が社会の仕組みを破壊する側にいると言うことだ。
なぜなら、清純潔白(ホワイト)な企業とブラック企業が同じ製品、同じサービスを提供しているとする。清純潔白な企業は福利厚生も給与も、残業をすれば残業代も全て従業員に支払う。労働環境にも気を使い、快適な環境であるべく会社の清掃を行い、機器の保守点検もきちっと行なっている。かたや、ブラック企業は製品が作られれば良いだけなので、福利厚生などと不必要なものはなく給与は最低限、残業代などなく、ノルマを達成するまで働かせる。労働環境などどうでもよく、安全対策もなければ、機器が故障していても、動けばそのまま使い続ける。
この二つの企業、もちろん、コストがかかるのは前者であり、コストがかかると言うことは、製品にそのコストが乗っかかることになる。ブラック企業は人件費を極限まで下げているので安くできる。
消費者からすれば、同じ製品、サービスがあるとすれば、価格の安い方に飛びつくのが当然であるので、ホワイト企業の製品ではなく、ブラック企業の製品を買うことになる。そうなればブラック企業の利益が上がる。人件費を削っている分、多少安く売ったところで利益率は高くなる。会社が儲かれば大きくなり、どんどんと人を安く雇い、規模の経済でさらに安く作ることができるようになる。そうしているうちに、競争に負けたホワイト企業は倒産し、ブラック企業の売り上げはさらに伸びる。
長期的に見ればブラックは潰れ、ホワイトが生き残ると勘違いするかもしれないが、ホワイト企業はコストがかかるので長期戦でブラック企業には勝てない。ブラック企業が潰れる前にホワイト企業が潰れてしまっている。
そのブラック企業と戦う企業が出てくるとすれば、さらなるブラック企業だろう。ブラック企業と戦えるのはさらなるブラック企業しかなく、ホワイト企業は参入の隙がない。
ブラック企業と戦うダーク企業はブラックよりも待遇が悪く、ブラックがもはやホワイトと思えるレベルになり、そのブラックも倒産する。このように悪貨が良貨を駆逐する社会になる。
そして、世の中ブラック企業のみが生き残る社会となってしまう。
だからこそ日本企業は人件費の安い中国に慢性的に仕事を奪われた。
ブラック企業の中に甘んじて働くと言うことは、このように、社会全体を壊すことに他ならない。自分は被害者ではなく、加害者であると言うことを理解し、是非とも声をあげて欲しい。
もちろんこれは、日本人同士だけの問題ではない。日本は移民を受け入れるらしいが、移民を受け入れれば、日本人が働く隙すらも無くなってしまうだろう。
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