食料自給率より燃料自給率を上げろ
昨日の記事にJAが農業の品質を下げているという記事を書いた。
その最後に食料自給率についても少し触れたのでついでに書いておくと、日本で食料自給率「だけ」をあげることは意味がない。
食料自給率をあげることは、輸入食品に頼らずに食料がまかなえることになり、国際問題等で食料の輸入がストップしてしまう事態になった際に国民の飢えを凌げると思っているかもしれないが、それは大きな間違いだ。
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日本は食糧だけではなくあらゆる産業を輸入に頼っている。それは島国という事情もあれば、石油のように、日本で採掘を行うとあらゆる圧力がかかることを考えた結果採掘を行わないということもある。
石炭の採掘も安い海外製品に押されているとあるが、安い海外製品に頼るのではなく食料自給率をあげるというのであれば、安い海外製燃料に頼るのではなく燃料自給率も上げなければならない。
なぜなら、日本の食料自給率が100%になったところで、その食料の生産は、田舎の農村部で行うことになる。例えば米なら新潟、りんごなら青森と言ったように、それぞれの土地土地の名産品があり、その名産品というブランドという理由での生産もあれば、気候がその品種の栽培に適している理由というのもある。
例えば、コーヒーが日本のごく一部でしか栽培されておらず、北海道は寒冷地のためコーヒーの栽培には向かないと言った理由と同じになる。
ということは、例え米を国民全ての生命を賄えるほど生産したとしても、その地域から、人口が多い首都圏の人間が食するには輸送を行わなければならない。
現在の日本では輸送手段としてトラックが物流量のトップがであるが、そのトラックは軽油、船は重油が必要になる。電車は電気で走るが、その発電は石油、石炭、原子力に頼っている。どれもこれも、外国から輸入している燃料だ。
どれだけ国内で農作物を作ったところで、燃料がなければそれを運び、食べさせる事ができない。戦争になったとして、人道的に食べ物の輸入は何とかできたとしても、戦争の道具になる燃料の輸入は食べ物より格段に難しい。
実際の経済制裁を見ればその状況は分かりやすいが、北朝鮮への燃料の輸出が厳しく制限されているのも、兵器利用が可能という理由からだ。
有事の際には食べ物よりも燃料の方が輸入が難しいのだから、食べ物よりも燃料を国内生産する事が最優先ではないだろうか。
たとえ少ない食料だったとしても、燃料が有り余っている方が、隅々の人間まで食料を届ける事ができる。
食料自給率をあげるよりも、燃料自給率をあげる事が優先ではないだろうか。
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