上り坂と下り坂の数が同じってどういうこと
かなり昔にこのような問題を聞いたことがある。
日本では上り坂と下り坂、どちらのほうが多いでしょうか。
一度考えていただきたい。問題の意味は置いておいて自分なりに解釈して考えていただきたい。
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この問題の答えは、「同じ」ということらしい。
理由は単純で「坂は登るときは上り坂、下るときは下り坂」となり、よって、坂は単一で「上り坂」と「下り坂」の双方が成り立つ。よって、「同じ」と言うのだ。
この問題を聞いた時は、「問題を考えた人があまり頭が良くないか子供のなぞなぞの類なんだろうな。」と思っていたが、最近にちょっとしたところでこれと同じ問題を出している人が居た。そして解答も理由も同じであった。
ここで問題があった。その問題を出したのがちょっとした権威がある人で、ちょっとした人のちょっとした集まりであったことだ。そのちょっとした集まりでこの問題を出していたものだから、深い意味があるのかと考えてみたが理解が出来なかったので質問してみた。
だが解答はないまま黙りこみ、最終的には屁理屈見ないた事を言われてしまった。
このように私の質問が黙殺されることはよくあるのだが、こんな単純なことを疑問視せずにどうどうと発表する人間と、それを納得してしまう人たちに疑問を持ったので記事にする。
私の考えが間違っているのであれば問題ない。あっているにしても問題ない。屁理屈だとしても問題ない。だが、その問題を議論せずに黙殺することが問題だ。
まず、この問題の問題点は3つある。
どちらの方が多いか
まず、これが屁理屈と言われた点かもしれないが、この問題と解答は成り立っていない。
例えばこの問題と解答が以下であれば問題ない。
問題:
日本での上り坂と下り坂の比率はいくらか。解答:
1:1
この違いがわかるだろうか。
言葉刈りや揚げ足取りではないが、「どちらのほうが多いか」と言う質問である以上、「どちらかが多い」と言う前提にはならないか。
例えばこれを択一問題にするのであればこうなる。
問題:
日本では上り坂と下り坂、どちらのほうが多いでしょうか。
A: 上り坂 B: 下り坂
この問題であれば「同じ」と言う選択肢はないのでどちらかを選択する必要がある。そもそもその「どちらか」を選択する問題である故、両方を選択しないことや、両方選択するという選択肢はない。よって、「同じ」と言う答えは成り立たなくなる。
もし「同じ」と答えを当てはめるのであれば以下のようにしなければならない。
問題:
日本では上り坂と下り坂の関係はどうか。
A: 上り坂が多い B: 下り坂が多い C: 同じ
これは択一問題の問題点であり、自由解答では問題ないと思われるかもしれないが「どちらが多い」と「どちら」と指定しているのにその答えはおかしい。
坂とはなにか
次にこの問題の疑問点として「坂とはなにか」ということになる。問題には「坂」の定義がされておらず、あわせて「上り坂」と「下り坂」の定義もない。そして「坂」の定義だけではなく、「多い」の定義もない。何が多いのか。「数」なのか、「距離」なのか。
そもそも坂とは傾斜に対して人間が付けた名称になり、それに対して登る場合は「上り坂」、下る場合は「下り坂」となる。例えばフラットな地形に生まれ育った民族は「坂」と言う言葉を持たないことが想像できる。海がない土地に生まれた民族には「海」が、雪がふらない地域に住んでいる民族には「雪」と言う言葉がないのと同じだ。
よって、ここで説明できるのは「坂」は人間が定義したものであり、「坂」に対して「上り坂」と「下り坂」と定義するのは人間であるということ。
そうするとここで問題になるのは「上り坂」と「下り坂」は同じにならないということ。
例えば車両通行帯(車線)がある。高速道路や高架道路ではその移動方向に対して高架橋が独立していることがある。道路は逆走することは考えないので、坂があるとすると、それは車線に対して上り坂、下り坂になる。
そうすると同じ勾配であったとしても、車線に応じて内側、外側があり、それぞれで距離が異なる。これによって「多い」の対象が距離であった場合は「異なる」となる。
そしてさらに、同じ勾配であってもその立地によって車線に応じて坂が二段階に分けられている道路もある。他にも、トンネルが車線に対して独立している場合では、位置関係によって方車線のみ下り(上り)坂がある場合もある。
更に簡単には、一つの上り坂に対して、下り坂が2つにわかれているものもある。これはジェットコースターを考えてもらえばわかりやすいだろう。最初は大きな上り坂を一気に運びあげるが、その後の下り坂はいくつかにわかれている。
このように「多い」の対象が「数」であったとしても、上り坂の数と下り坂の数が異なることになる。
最終的に全てを数えた結果が「同じ」ではないと言う確認はしていないが、数えた結果が「同じ」であったとしてもその根拠が異なっている。先の理由付けはおかしいことになる。
片方向のみ機能させるための坂はある
坂には「上り限定」の坂がある。これは例えとして都会の駅の階段を想像していただけるとわかるだろう。
駅の階段は、左右で上りと下りを分けているものもあれば、「上り線用」としている階段もある。これはビジネス街の駅に多いが、通勤ラッシュ時の混雑を避けるために上りを多くしていると言う理由になる(地下鉄など)。
この場合、駅単位で上り階段と下り階段では上り階段が多いことになる。
例えば上り専用坂と下り専用坂の例としては、登山道を考えても、上り経路は坂で、下り経路は階段、またはその逆も多々ある。
これは滑り台の様な構造だ。上りは階段で、下りは坂、これは傾斜の都合や立地の都合で付けられる物になるが、この結果上り坂と下り坂の距離、数共に異なるものになる。
このように、単純に考えても「数、距離共に異なる」と言う結果になり、それはその単純な問題からは計量できないものになるためざっと回答できる問題ではない。その問題に対して単一的に解答を説明し、それを鵜呑みにする人の思考の理解に苦しむ。
例えばこれが、問題解決の考え方のように、「視点を変えれば簡単になる」のような話の例え話であれば問題ないのであるが、先に書いたようにちょっとした集まりでの話であったためにその問題は適切ではなかった。
世の中に対して、もう少し思考をめぐらして欲しい。
問題:
10センチ四方の空間がある空容器があり、そこに1センチ四方の立方体を一つづつ入れていくとする。この場合、空の容器に対していくつの立方体を入れることが出来るか。
考えて欲しい。