ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

paizaの怪

以前に知り合いからpaizaと言う転職サイトを紹介された。

無職から職に付くという意味では転職になるが、当時はあまり転職サイトの活用に興味なかった。だが、paizaのWebサイトを見てみると、今までに見たことのある転職サイトとは少し違っていた。一般的な転職サイトは自分から自分に適合した企業を探して応募する形になるが、paizaは自分の能力に応じて応募できる企業が変わり、その能力はpaizaが公開している問題を解くことで判定(スキルチェック)できるということ。

要は完全なプログラマ向けの求人サイトで、実際のプログラミングスキルに応じて能力が判定さる求人サイトであるということ。

そのpaizaの特徴的なカジュアル面談というシステムに応募して悲惨な目にあったので記事にしておく。


paizaのスキルチェックでは問題がpaizaランクという形で分けられていて、ランクはDからSの5段階となっている。

そして、そのランクはpaiza的にはこのようになっているようだ(http://paiza.jp/member/guide#rankから引用)

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問題を解く前にこれを見るとSランクやAランクが難しい問題のように感じる。プログラマの中で上位2%となると、スーパープログラマレベルになる。いわゆるオープンソースコミュニティでもトップの人たちだ。そして、その下のAランクであっても上位8%なら1割の人間であるから、十分に知識を持った人々になる。会社や学校のプログラマのトップの人を考えてみればいい。その人たちだ。

そしてその上位レベルは私では難しそうとDランクから解いていったのだがどれも非常に簡単である。とりあえず初めにAランクまでの問題を解いたが難なく解くことが出来た。Aランクでは少々アルゴリズムを考えなければいけない問題もあったが、考えたらわかる問題である。Bランク以下の問題は考えずにワンパスでコードを書けるレベルの問題になる。

正直、Aランクでプログラミングの入門書を読み終わった程度の問題だ。この程度の問題も解けなければプログラマとして働くことは出来ない。私は職業訓練や大学、専門学校でプログラミングを教えたことがあるが、この程度のレベルでは就職できないレベルであると言える。

よって、Aランクの問題が解けてはじめてプログラマと名のれるレベルだ。世間では入門書の掲示板を作ってプログラマと名乗っている人間もいるということは実感しているので、それが2割いると見ても、私の所見ではAランクが解けて8割の人間(プログラマ)に入れるレベルかと思う。

先ほどの画像であれば、Dの人間がAランクの問題程度である。


そしてAランクを解いた状態でしばらく過ごしていると、いくつか「カジュアル面談のオファー」と言うメールが届くようになった。paizaランクに応じて、その登録内容から企業が選考して面談のオファーメールを送ってくるようだ。これはオファー内容から完全に自動選別か半自動選別になるかと思う。それくらいにオファー内容が私にマッチしていない。

しばらくはオファーメールを無視していたもののいくつか来るようになったので、世間から私が需要があるのかと勘違いして応募してみることにした。応募企業は遠隔地になるため、Skype面談というものを希望した。


カジュアル面談に応募すると希望日時を選択して連絡を待つのだが、その連絡からいきなり疑問に思った。

個人情報を極力だしたくないのですが。
A.
履歴書、職務経歴書はpaiza[パイザ]のコーディングスキルチェックを受けた後、求人企業と面接する際に持参していただく形なので、履歴書、職務経歴書のご登録は必須ではありません。

※求人応募時には本名、年齢等の基本情報の登録が必要です。

http://paiza.jp/guide/faqより引用

「よくある質問」にはこの様な記載があるので、てっきりカジュアル面談では履歴書も職務経歴書もいらないものだと思っていた。この「履歴書、職務経歴書を持参する」のは「求人企業と面接する際」になるので、カジュアル面談では必要ないと判断していた。

だが、実際にはカジュアル面談に応募すると履歴書と職務経歴書を求められた。しかも、それは応募先に提出するのではなく、paizaに送付するということになっている。「個人情報を極力出したくない」にはマッチしない運用である。


これは以下にあるカジュアル面談の説明とも食い違っている。

カジュアル面談とは何ですか?
A.
カジュアル面談とは、業務で忙しいプログラマ、エンジニアの方が転職活動をしやすいように、
次の事を求人企業に了承いただいた面談です。

1.スーツではなく、普段着での求人企業訪問。
 カジュアルな格好でリラックスして求人企業について知る事ができます。
2.まず求人企業側から事業内容、開発業務についての説明をしていただきます。
 志望理由をいきなり聞かれて戸惑う心配がありません。
 企業を理解する場&ご自身の人柄や志向を企業に知っていただく面談としております。

「企業を理解する場&ご自身の人柄や志向を企業に知っていただく面談としております。」ということなので、人柄や志向とは履歴や職務経歴とは関係ないはずである。

まぁ不満に思っていても仕方がなく、それらを提出しないと次に進めないようなので仕方なく概要をつくり提出した。


そして面談自体も説明と食い違う結果であった。

まず、「2.まず求人企業側から事業内容、開発業務についての説明をしていただきます。 志望理由をいきなり聞かれて戸惑う心配がありません。」とは真逆。担当者とつながると、挨拶を軽くした途端に「では職務経歴を説明して下さい」と一言。

paizaの説明とは全く違う。まず求人企業側からの説明がない。そして、職務経歴を話した後簡単な質問があり、次にまた「志望理由はなんですか」と言う、一般的な面接に相当する質問。paizaが説明している「志望理由をいきなり聞かれて戸惑う心配がありません」とは真逆だ。

面談と考えれば志望理由を聞かれることに戸惑うことはないが、paizaが「聞かれることはない」と宣言しているにも関わらず質問されたら戸惑ってしまう。paizaからの面談オファーメールでは「まずは話を聞いてみませんか」ということだったので志望理由など無い。

いや、そもそも志望をしていない。「話を聞きませんか」とオファーが来たのでそのオファーに答えて話を聞こうと思っただけなので、その会社に対する興味もまだない。その話を聞いて、良いと思えば志望するつもりだったのだ。

そして最後の最後まで企業からの説明はなかった。質問に対して答えたり、こっちの話をする一方だ。そして面談は1時間弱で終了。


面談からしばらくするとpaizaからのメールが届いた。

なんと「選考結果のお知らせ」。あれ、私はカジュアル面談で話を聞こうと思っただけで、その会社に応募したつもりはない。応募したつもりがないのに選考されても困る。会社についてあまり話を聞いていないので、選考に合格しても進むつもりはない。

だがご安心、選考に落ちた。理由としては「技術不足」ということ。

あれれ。おかしいぞー。今までの開発経験については聞かれたが、技術についての話はしていない。例えば今までの開発経験は職務経験に則って聞かれただけなので、プロジェクト外や現在の開発経験などは話していない。そして、その開発についての技術関連の話もしていない。どのようにして技術力を判断したのか。

そもそもその会社はpaizaランクCから応募可能で私はランクAだ。私で技術不足となれば、Bが解けない人間など何が出来るというのであろうか。これは私が自分に能力があると言っているわけではない。上に書いた通り、ランクAの問題が解けて8割程度の人間に入れるレベルだと私は思っている。Bが解けないとなるとプログラミングを出来るのかと疑えるレベルになる。


一方的に応募したことになり、不合格とされたことは少々癪に思える。ランクAで落ちるということはランクSが急激に難しくなるのかと思いランクSの問題を1問解いてみたがこれまた簡単に解くことが出来た。

簡単にと言っても、そのアルゴリズムがサッと思い浮かばなかったためにアルゴリズムを調べたが、そのアルゴリズムは自分で実装した。これはそのアルゴリズムを知っているかどうかの誤差の範囲であるかと思う。想定解答時間は120分だが1時間ほどで解けた。

ということで私はランクS相当だ。そのランクS相当の人間に対して技術不足とは最低限ランクSの人間以外は合格できる可能性はない。そもそもに、そのランクSで技術不足となればpaizaで判断できる内容ではない。paizaのレベルが低すぎるのだ。ランクSをランクDに置き直し、技術を判断できるレベルに持っていかなければスキルチェックとして機能しない。


という謎があった。ランクについてのレベルが低すぎる謎。そして、カジュアル面談が嘘ばかりという謎、勝手に選考されるという謎。

だが私がランクSを取れるということは、私はプログラマとして上位2%の人間なのだ。いや、そもそもにpaizaがその上位2%の人間だけを対象としているのかもしれない。なぜなら、ランクSの問題の正解率が平均して50%を超えている。世間的に見て(paiza基準)上位2%しか解けない問題を、paizaの中の人々は50%以上正解している。一番受験者数が多い問題であればなんと75%が正解しているのだ。

上位2%のスーパープログラマがpaizaの中では75%も占めている。これでは私がpaizaの中で低レベルなことは致し方ない。なぜなら私はプログラマとして下層の人間だと実感しているが、私の周りにはスーパープログラマだらけなのだ。これはpaizaの求人から応募して合格できる自身はない。


グッバイpaiza。