ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

50社の面接に落ちたからって何が問題なんだ

今までに就職や面接についていくつか記事を書いてきた。その中で繰り返し書いてきたことは「働けないのはお前の能力不足」と言うこと。だが今回は少々毛色の違う話。

私のところに相談に来た人間がいる。「企業に50社近く応募したが全て落とされた。もう今後働ける自信がない。」ということでかなり落ち込んで疲弊している。

これについては一言しか無い。「馬鹿ですか」と。


これは確かに今までに書いた「お前の能力が低いから働けない」という理由しか無い。そのことに気が付かずに50社も受ける根性がすごい。50社も応募し面接している時間があれば自分の能力を上げる勉強をしろと。


だがここで一つ問題がある。50社の不合格になったことの何が問題なのかと。これは能力不足から起きた結果であり何も落ち込むことはない。

例えば考えて欲しい。簡単には営業だ。手当たりしだいに50店の飛び込み営業をしても、その中から仕事が取れることはあるだろうか。取れることもあるかもしれないが、取れないこともざらにあるだろう。だからといって落ち込んでいて何か意味があるのか。

これは同じことだ。企業50社に手当たりしだいに自分を売り込んでいるのだ。自分という商品は高い。年間で数百万円の支出になる。出来損ないのものを買えば損害が何千万と出ることがある。企業は購入に慎重だ。

一万円のウォーターサーバでも飛び込み営業でどれほど売れるだろうか。50店の営業に失敗したからと言って落ち込んでいたら仕事にならない。そもそもそんな規模で落ち込むような人間を営業として雇おうと思うだろうか。そういったことが問題なのだ。そういうことに気がつける人間かどうかということが問題なのだ。


例えば以前に書いた「未経験なプログラマ」なんかがこの話に当てはまるだろう。

プログラマとして働きたい!!職務では未経験だが雇って欲しい!!」と本当に思っている人間が全くの知識がないままプログラマとして応募するだろうか。やる気があるのであれば応募前から勉強しているはずだ。少なくとも、応募から面接の間まででも勉強しているはずだ。そんなこともしないで応募してくる奴などやる気があるはずがなく、仕事も出来るはずがない。


またこれも以前に書いているが、私が中古パソコン屋で働いていた時には数多くの面接をした。いわゆる「パソコンオタク」の様な人間も数多くきた。確かにDOS/Vマガジンのようなものを読み勉強はしているだろう。そいつらは「インターネットがやりたい」と店に来るような「客よりは」知識がある。

だがそんな中途半端な知識は店は求めていない。店が求めているのは「販売能力」や「説明能力」、「修理能力」や「仕入れ能力」だ。中古パソコン屋は、「最新パーツについて詳しい」という知識は求めていない。「インターネットがやりたい」と言ってくる人間に対して、ニーズを聞き出し、適切な商品を販売し、次にもまた来てもらえるように販売する能力が必要なのだ。

私は当時技術責任者と言う肩書であったが、そのようないわゆるパソコンオタクと言われるような人間は技術についてもわかっていない。最新CPUのクロックや新機能の説明は出来ても、その技術がどのような利点があり、具体的にどのように役に立つのか、果ては計算速度が具体的にどのように早くなるのかと言う事はわかっていない。ベンチマークの結果を見てどちらが早いかと語る程度のものだ。

CPUに対して命令セットやパイプラインがどのように代わり、それでどのように計算が変わるのかという知識を持っていなければ企業への大量販売の説明にはならない。企業が求めているスキルと、あなたが持っているスキルがマッチしていなければ意味がない。

だから私は以前にも書いたように、「メモリが何かもわからない」と言うような人間を雇った。そいつは「知り合いと起業するので経営の勉強がしたい。2年ほど働きたい。」とアルバイトに応募してきた。目的がはっきりとしている。経営が勉強したいということはアルバイトのマネジメントもやってくれるだろう。パソコンの知識を得たいということはきちんと勉強してくれるだろうという判断だ。

このように企業はあなたの小手先の経験ではなく全体を見ているのだ。面接に合格したいのであれば、企業が、採用担当者が、面接官がどのように考えて人を雇おうとしているのかということを考えそれを売り出さなければならない。


先の営業であれば50社など中途半端な数を上げず、書類選考で落とされまくり300社落ちてから営業職に応募し、笑顔で「300社落ちました」と平然と言え。この方が営業職には向いていると判断されるだろう。


そして「落とされた」と言っている時点であなたには企業で働く素質がない。「落とされた」のではなく「採用されなかった」のだ。もし面接官に「50社も落とされました」と言っているのであれば、これはその50社への「攻撃」だ。そのような自分の不備を棚に上げて選考して下さった会社に対して攻撃している人間を採用したら、自社の攻撃をどのようにされるかわからない。そんな人間を雇いはしない。


このようなこともわからない能力の低い人間だから就職できないということに代わりはない。

結局、就職の出来ない人間は自分の能力が足りないだけということ。