ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

アジャイルサムライ-達人開発者への道- Jonathan Rasmusson(著)

アジャイル型ソフトウェア開発」と数年ほど前から騒がれてはいるが、本書はその「アジャイル」についての解説書になる。

本書や、「アジャイルソフトウェアの12の原則」の原則に書かれている内容には、日頃からソフトウェア開発を行なっている方々に目新しい物はないかと思う。

だがその当然な考え方についていかに普段からそれらについて考えることが出来ていないか、顧客についてではなく「ソフトウェア開発手法」に凝り固まっているか、という「当たり前のことが出来ていない自分やプロジェクト」に気づくことが出来るだろう。


是非とも本書を読み、その当たり前の大切さを知ってほしい。本書はその「当たり前」が、なぜ必要で、なぜ当たり前で、なぜ実践する必要があるのかがわかるかと思う。本書で解説されている「アジャイル」は、大企業のプロジェクトのような大きなものだけではなく、「個人開発」と言われるような少人数や、単身で開発しているアプリケーションの開発モデルにも有用になる。

それほど、当たり前な、原理原則なのだ。

アジャイルサムライ−達人開発者への道−

アジャイルサムライ−達人開発者への道−


本書の冒頭に「日本の読者の皆さんへ」という、著者からのメッセージがある。これが素晴らしい。これを読んだだけでも本書を読んだ価値があると感じている。
私はこのメッセージを読み、著者の考えに共感し、本書の大事さに気づくことが出来た。まさにそのとおりだ。

少々長いが全文引用する。

P.vii

日本の読者の皆さんへ

君がこの本を手に取ったことに祝福を。おめでとう。というのも、君にはすごく大事な2つのことが備わってるってことだからだ。

1. 君ば学ぶことが心から好きだ。
2. 君はソフトウェアのことを大切に思っている。

このどちらもが大切なんだ。君が学びたいという気持ちを抱かなければ、私との旅がこうして幕を開けようとすることもなかった。君がソフトウェアのことなんて気にしない人物だったら、私達の世界は今よりも暮らしづらいものになっていただろう。
なぜなら世界はソフトウェアを必要としているわけだから。世界はソフトウェアを作ることを手助けする人を必要としてるんだ。そう、君みたいなね。私たちが、君みたいに才気煥発で、頭が良くて、思慮深い、情熱にあふれた人たちをもっと引きつけられるようにするには、もっと成果を上げるソフトウェアの作り方が必要なんだ。わくわくするような。毎朝目を覚ますたび、今日一日またソフトウェアを作ることが楽しみで仕方がないようなやつがね。
そのために私は本書を書いた。もっとうまくソフトウェアを届けるやり方を探し求め、分かちあい、見出していこう(でもあんまり深刻に受け止めすぎないで。楽しみながらやっていこう)。
君の探していることが、本書を読んで見つけられることを願っている。もし見つからなかったとしても、探し続けることを止めないでほしい。

2011年4月26日
ジョナサン・ラスマセン


是非ともソフトウェア開発に苦しみを覚えるのではなく、プログラミングを楽しんでほしい。本書に書かれた内容を実践するならば、プログラマも楽しく、そして顧客も満足するソフトウェアが完成するはずだ。

わかりやすいアジャイル開発の教科書

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アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

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アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント

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アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣

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