CEOと名乗る無能
私の周りにも「CEOの山口です」といかにも無能な挨拶をする人がいる(あなたのことではありませんよ。決して無能なあなたの名を示したわけではありません)。
自分をCEOと名乗る人は「CEO」とは何のことかわかっているのだろうか?そう名乗る理由をわかっているのだろうか?いや、わかっていればそう名乗らないはずだ。意味もわからない単語を並べて相手を煙に巻き、自分の権威を無理やり誇示しようとしているだけではないだろうか。
CEOと名乗っている人は、「社長」、「会長」、「代表取締役」の違いも説明できないのではないだろうか?それらと「CEO」はさらに異なるものになる。大体の人は「CEO」=「社長」と考えているかと思う。「大体の人」はもちろん問題ない。CEOと名乗っている本人がそれを理解していないから無能なのだ。
もし自分が本当に理解していたとしても、相手にそれが伝わらない単語を選択して発するのは無能である。会話は相手に理解してもらわなければ意味がない。
特に、CEOと名乗っているのはいわゆるIT屋の社長ではないだろうか。IT屋はわけのわからない単語を並べて客を煙に巻き、そこから威圧感で契約に持ち込むというが、そのCEOというのもまさにその一環ではないだろうか?
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「CEO」はまだしも、「社長」が何かわかっているだろうか。「会長」も同じだ。簡単に説明すると社長とは「肩書」であり、会社法上はなんの意味もない。会社法上は取締役、代表取締役が役員として存在し、さらに代表取締役は一人とは限らないため便宜上「社長」という肩書を与えているに過ぎない。だからこそ代表取締役に社長がいることも会長がいることも、果ては副社長であることもある。
そしてそのCEO(Chief Executive Officer)は主にアメリカ(州法に応じて違うが)で使われている用語であるが、翻訳は「最高経営責任者」であるようだ。この翻訳名称から「会社で一番偉い」と勘違いしている無能が多くいるようだ。だがこれは完全な勘違いで、CEOはBoard(Board of Directors、日本で言う取締役会)によって選任され、Director(日本で言うところの取締役)の指揮のもとに経営に責任を負うという執行役の名称である。
取締役会の選任により任命されるため、もちろん取締役会の判断で解任も行える。アメリカでもFacebook等の一部の企業でPresident(日本で言うところの社長、代表取締役)がCEOを兼任することはあるが、それは会社の私物化につながる行為のため望ましくないとされている。イギリスではCE(Chief Executive、経営責任者)と取締役会長(日本で言うところの代表取締役)は別人であること等が法律で定められている程の望ましくないことである。
だがこれも理解していないのか「CEO兼社長」や「代表取締役社長兼CEO」という「私物化」を自ら自慢しているような肩書を自分から恥ずかしげもなくどうどうと公開している無能が大勢いる。IT屋のWebサイトを見れば堂々と挨拶しているCEOが拝見できる。
CEOと名乗ることがいかに恥ずかしいことかはわかってもらえるかと思う。意味を理解していないからこそ、意味を知ろうとしないまま使っていることがいかに無能かがわかっただろう。
CEOと名乗っているにも関わらず、COOやCFO、CTOを置いていないIT屋もいる。経営の責任者がいるにも関わらず、執行責任者も財務責任者も技術責任者もいない。なら何のために責任者を名乗るのであろうか。他を社長が兼任するのであればそもそも「社長」だけでいい。
私の取引先の会社にCTOが置かれている会社があったため、そのCTOに「そのシステムにはバグがあるので、このパッチを当てたほうがいい」と連絡したところ、「私では判断できないのでCEOに確認する」と言われたことがある。
なんの為の責任者なのか。システムのパッチ当ては経営責任者ではなく技術責任者の対応範囲ではないだろうか?技術の範囲で自分で判断できないのであればそれは責任者などではない単なる窓口だ。
CEOやCTOはそもそもに外部から見た際の担当者がわかりやすいと言うメリットがある。だからこそ私も無能なCEOではなく技術がわかるであろうCTOに連絡したのだ。だがCTOでは技術の対応が出来ないとなっては外部からの連絡としても役に立っていない。
全ては、自らCEOと名乗るような無能な社長のいる会社だから起こる結果であろう。
大半の人がこの仕組みを理解していないのはわかるが、その理解されていない仕組みを名乗ってなんの意味があるのであろうか。海外の会社との取引の際に役職を表すのであれば別だが、日本人相手にCEOと名乗る意味がどのような理由としてあるのだろうか。
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