ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

私がスマートフォンを持たない理由

私はスマートフォンを持っていないし持つつもりもない。

正確には「現在」は持っていない。が、過去には使っていたことがある。

現在の携帯電話(いわゆるガラケー)は非常に高機能だ。電卓もついていればストップウォッチもついている、OCRで漢字の判定も出来ればボイスレコーダも付いている。インターネット機能についてもフルブラウザも付いているし、RSSリーダ(アグリゲータ)やTwitterクライアントも付いている。必要な機能は全て付いていると考えてもいい。
しかもそれらの機能は携帯電話と親和的に作れており融合しているので、アプリ間で操作が大きく変わることは殆ど無い。(Twitterクライアントのみ別の場合が多いが)

私が過去にスマートフォンを使っていたのは10年近く前の話だ。W-ZERO3が発売されてすぐに購入した。当時国内の携帯電話はまだ機能が少なく、NOKIAの端末も日本に入ってきていなかったためスマートフォンに移動した。当時は「スマートフォン」という名前すら無かったと思う。それからX01HTX01Tなどいくつかのスマートフォンを使い続けていた。スマートフォンを使っていたのはWindowsMobileが全盛の頃になる。NOKIAが日本に入ってきてからはNOKIA端末が高機能なこともありスマートフォンからNOKIA端末に移動した。
現在はどのような携帯電話でも上に書いたような機能を持っているため、スマートフォンでもNOKIA端末でもなくガラケーが最適になる。

iPhoneAndroidスマートフォンは使ったことはあるが所持したことがない。所持するには不便が多すぎるからだ。


まず私がスマートフォンを使わない(嫌いな)理由をいくつか上げてみる。

でかい

いや本当にでかい。あれだけ大きな物を毎日手元に持ち歩くのは嫌になる。私も過去にスマートフォンを使っていたことがあるが、非常に邪魔であり、普段からポケットに入れて持ち歩く気にはなれなかったので、カバンに入れて持ち歩いていた。そうすると、着信があればカバンから取り出す必要があり非常に不便になる。

最近のスマートフォンは厚みが薄くなってきているが、厚みの問題ではない、横幅の問題が大きい。多少長くてもポケットに入れて違和感はないが、横幅があるとポケットの占有率が大きくなり、「スマートフォン専用」のポケットになってしまう。最近のスマートフォンは「大きい」ことを宣伝しているが、でかくして何が嬉しいのか悩んでしまう。
携帯電話は小さいことが邪魔にならず喜ばれていたのに、スマートフォンは真逆で邪魔になることが喜ばれている。そうであればタブレットでいいかと思うのだが、そうではないようだ。理解に苦しむ。

また、メーカの努力でせっかく薄く、小さく作ってくれているのに、カバーをつけて大きくしてしまっている人たちも理解に苦しむ。特にiPhoneユーザは「iPhoneはデザインがいい」や「薄くて軽い」とAndroid端末と比べているようだが、その「いいデザイン」を分けのわからないカバーで包み隠してしまい、「薄くて軽い」ことをカバーをつけて厚みを増やしている。対衝撃カバーのようなものは、iPhoneの厚みを2倍ほどにするものもある。iPhoneは「カバーをつけたほうが持ちやすい」という人もいるが、それなら「いいデザイン」ではない。

本体が高い

ガラケーも定価で考えると高いが、スマートフォンはものすごく高い。スマートフォンは安い端末でも5万円、高い端末だと10万円近くしてしまう。ノートPCが4万円以下でも販売されているのに、スマートフォンはノートPCよりも高い。若い人達から「ノートPCは高くて買えない」と聞くが、スマートフォンにはそれ以上の額を払っている。「実質無料」等という言葉に本当に騙されているのだろうか?
しかもスマートフォンはOSバージョンやアプリケーションの要求スペックから2年や3年程度で買い直しが必要になる。

また故障時の修理料金も高い。画面割れや水没等といくつかのランクで修理費用理由がされているが、画面割れでも数万円の費用がかかってしまう。画面は大きくガラス製のため割れやすくもなっている。

利用料が高い

本体が高い上に通信量が高い。パケット通信費定額プランへの加入は必須のため、最低でも6,000円ほどの費用がかかる。年間72,000円も最低の維持費にかかってしまう。一人暮らしであれば、いい部屋の1か月分の家賃になる。2年間契約をすると144,000円。私からすると信じられない額になる。

電池がすぐなくなる

私がAndroidスマートフォンを使ってみて驚いたのは電池が持たなさすぎる。ほとんど未使用でも毎日充電しなければならない。移動中に使っていると半日も持たない。スマートフォンユーザに聞くと、事務所や家につくとすぐに充電する癖が付いているとのこと。
これを不便だとは思わないのだろうか?これがノートPCだったら、音楽プレーヤだったらと考えて欲しい。明らかに「不便」というクレームが入るかと思う。だがスマートフォンユーザはこれに麻痺しているのか不満に思わないようだ。
私が現在使っているPHSであれば、1日に30分ほど電話してメールをたまにしても1週間は電池が持つ。休日置きに充電する頻度でいい。

電池がすぐになくなるのでモバイルバッテリを持ち歩いている人たちをよく見るが、スマートフォン本体より大きなモバイルバッテリを持ち歩いている。スマートフォン単体でも邪魔なのに、モバイルバッテリまで持ち歩くのは苦痛になる。ポケットだけでは持ち歩けず、カバンが必須になってしまう。

そもそも、社用のスマートフォンならまだしも、私物のスマートフォンを会社で充電するという考えからずれてきてしまっているのかもしれない。

電話しづらい

スマートフォンと言う名前なのに電話がしづらい。電話したい人の名前を呼び出すのも、着信履歴や発信履歴から電話もしづらい。ガラケーによくあるショートカットダイヤルの設定もできないので、毎回発信先を探す必要がある。まず、電話機なのに電話をするのに「電話アプリ」を立ち上げる必要があることからも不便がある。
そもそもスマートフォンは通話時に端末を耳につけてはならない。通話時には規定値以上の高周波が発信されるという事でスマートフォンは耳につけて通話してはならないと説明書にきちんと書いてある。私は耳が悪いので、スピーカを耳につけて密閉しなければ音が聞きづらい。

高機能電話ではなく、電話機能付きPDAだとしか思えない。

メールしづらい

スマートフォンはメールを見るのには向いていると思う。画面が大きいので文章を読むのには便利だ。だが、メールを作成しづらい。いくら画面が大きくても、ハードウェアキーボードではなくソフトウェアキーボードが立ち上がるので、画面の半分程がキーボードに汚染される。予測候補も入れば画面の半分以上がキーボードエリアになり、文字が見づらい。これであれば低解像度のPHSよりも一覧性が悪い。
しかも、入力した文章を確認するためにキーボードを畳み、修正するためにキーボードが表示させるなど、操作する度に手間が多い。

操作しづらい

電話とメールの操作性の悪さを書いたが、主機能がそのような操作性の悪さなので、全体的に操作性が悪い。

メールにも関連するが、文字のコピーも非常に不便になる。最近のスマートフォンはパネルに静電容量パネルを使っているため、細かい選択ができない。それ故、コピーしようと思った部分をロングタップしても見当違いな場所が選択される。かつ、その後に選択範囲を修正しようとしてもスムースに思った箇所を選択させてくれない。

他にも操作する度に不便に思える箇所が多々出てくる。わざわざ不便な端末を使いたくはない。

防水でも仕方がない

スマートフォンは防水でも仕方がない。「雨の日にポケットに入れたままでも故障しない」というようなものでは役に立つが、その雨の中では操作ができない。静電容量パネルは水に反応するので、濡れた状態では操作ができないのだ。水滴によって勝手に操作されてしまう可能性があるので、画面が濡れたままで電源を入れるのは危ない。そもそもロックが解除できない可能性もある。

防水なのであれば雨の中でも操作したい。雨だからこそ、予定が遅れることや待ち合わせ場所の変更の為に電話したい。だがそれがしづらいのだ。



このように私はスマートフォンを使う気になれない。私が使う気になれないというだけで使いたい人は使えばいいと思う。

だが一点腑に落ちないことがある。私がスマートフォンを使っていた頃はよく「そんなもん何が便利か」や「そんなでかいもの持ち歩きたくない」、「ノートPCを持ち歩いた方が便利」等と私が書いたことをそのまま私が言われてきた。だが、その人達も今はスマートフォンを使っている。私は誰にスマートフォンを薦めたわけではないのに使っているだけで批判された。自分が批判していたこと、批判していたものを使っている人たちの考えを聞きたい。

なぜスマートフォンでなければならないのか。高い金を払ってそれを使う価値があるのか。


アップルvs.グーグル (ソフトバンク新書)

アップルvs.グーグル (ソフトバンク新書)

クラウドの未来─超集中と超分散の世界 (講談社現代新書)

クラウドの未来─超集中と超分散の世界 (講談社現代新書)