ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

売上目標は立てるな! 岩渕 龍正(著)

本書は「売上目標は立てるな!」ということについて書かれた書籍ではない。従業員のモチベーションを維持する方法、従業員のモチベーションを上げる方法、従業員との関係性を良くする方法、辞めない従業員を作る方法の書籍になる。

最近は立て続けに「タイトル詐欺」な書籍を読んでいる。だがどれも面白い。タイトルから想像した内容とは違うが、気になって手に取る価値があるほどに面白い。本書は非常に参考になった。私は社長ではないし、上司でもない。だが、今後起業した時のことを考えると、本書の内容を丸々実践したいと思えた。
起業し法人を起ち上げ、コンサルタントを頼むことがあれば是非著者に頼みたい。それ程に著者の考えが素晴らしく同感できた。

是非とも本書に半年早く出会い、当時の社長に読ませたかった。私が退職を考えた理由、会社が解散になった理由の全てが本書に詰まっている。

本書は経営者だけではなく部下を持つ上司全員に読んで欲しい。いや読まなければならない。それ程に部下を扱う上で重要なエッセンスが詰まっている。

売上目標は立てるな!  20人までの組織をまとめるリアルマネジメント

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本書は従業員や部下に対する接し方、付き合い方、扱い方が書かれているが、これらは全て人付き合いにも応用できると感じた。従業員だろうと部下だろうと全ては人付き合い。人付き合いがうまくいかなければそれは業務に直結する。だからこそ、うまく付き合っていくことが大事なのだ。

友達に対しても自分の意見や考え方、行動を全て押し付けてはうまくいかない。相手のことを知り、相手の意見を聞き、相手のことを考えて行動していかなければ「友達」として付き合っていくことができない。本書はこのような内容にも応用できるほど基本的なことが書かれている。
だが、その基本的なことを理解していない方や、理解は出来ていても実践できない人が多いと感じる。だからこそ本書を読みその重要性を再認識して欲しい。本書で得た知識はきっと、あなたの今後の人生を充実したものに、豊かにしてくれるはずだ。

P14.
そもそも、怒られてやる気になる人がいるでしょうか?私があってきた何千人ものクライアントのスタッフのうち、「怒られるとやる気になるから、もっと怒って欲しい」と言った人は、ただの一人もいませんでした。
怒ってもいいことは何一つとして起こりません。怒ることはマイナスしか生まないのです。そう何度言っても、わかって頂けない社長がこれまでにも数多くいました。

この文章から、これについての理由が事細かにされており、その理由もきちんと説明されており、この行為の矛盾点についても書かれている。

だが、あえて私の経験を書かせていただくと、私の身の回りにもこのような上司はたくさんいた。私自身は怒られるようなことをして来なかったのか直接怒られたことはないが、周りの人間に怒られている人は多くいた。だが傍から見ていても思うほどに、それらは「悪影響」しかないと感じていた。

上司が部下に怒る際は「叱る」や「注意」ではなく「怒る」。理由や改善方法を伝えるのではなく感情が赴くままに罵詈雑言を並べ追い立てる。部下はそれに萎縮し謝ることしかできない。いや、謝ることしかさせてもらえない。
これが続けば部下は上司に恐れを感じ、「怒られる」ことを報告したがらない。そうなれば報告すべき内容を伝えたくないがために隠蔽しようとする。それがつもり大きな問題になる。また、「怒られたくない」が為の仕事になり「怒られない」為に業務を行うようになる。言い訳を常に考えて業務を行うようになる。このようにどんどん効率が悪くなり負の連鎖に繋がっていく。

これは社会人であれば経験しているはずだ。経営者であっても中小であれば大企業の担当者に同じようなことをされているかもしれない。それがいかに問題のある方法かを経験しているにもかかわらず行なっている。本書はこの行為を行わないようにする方法も書かれている。

少々極端な例もあるがきっと参考になるはずだ。

P136.
まず基本的な考え方から説明しましょう。行動科学マネジメントの石田淳さんもおっしゃっているように、成果を出せない人の多くはやる気がないわけではなく、何をしていいのかがわからないのです。こうすれば成果が出るということを知れば、そうした行動を取る人も一定割合いるのです。

これも経験した。私もしばらく理解が出来なかったのだが、世の中には「頭の悪い人」がいるのだ。これは悪口でも何でもなく、人には得手不得手がある。その不得手な行為をするのにたいして、まさしく「何をすればいいかわからない」のだ。以前の職場にまったく本を読まない部下がおり、「〇〇のドキュメントを読んでおいて」というと、一字一句逃さず読み、全ての単語の意味を調べるのだ。5分ほどで把握して欲しい内容でも1時間以上かけないと読めない。
これは普段から本を読まないために文章の理解力がなく、書かれていることの重要性を判断できないのだ。重要な部分にわからない単語があれば調べればいいのだが、どうでもいい単語の意味を調べ、その単語の意味を調べている間にわからない単語があればそれを調べ続ける。だからこそ元の文章を読む何十倍もの文章を読む必要があり、またそれについて結局理解ができない。

だからこそその部下には文章の読み方を教えた。どれだけ長い文章でも重要なのは数行であったりする。その数行のための前置きや背景が書かれているがそんなことは関係ないのだ。文章の読み方、重要度の考え方を何度か説明すれば、とりあえず全体を読み、重要だと思う箇所のみを調べるようなった。

このように、どんな簡単だと思うことであっても「やり方がわからない」、「どうすればいいかわからない」人がいるのだ。能力が劣っているわけではなく、それがわからないから「行えない」のだ。


引用は特に気に入った部分のみしたが、他の部分も非常に素晴らしい。是非とも人付き合いが苦手な人にも読んで欲しい。

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