ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

ベンチャーズ☆ハイ 渡邊健太郎 (著)

これはひどい。一言で言うと「面白くない」。

奥付を読み、奥付周辺を見た時に「この作品は、事実を元に物語を構成したフィクションです」という記述があったので「事実を元にした」と言うところに興味をもち購入した。だが先の通り全く面白くなかった。「事実」の信憑性も全くない。

本書を読むにあたりまず1ページ目で「読むのを辞めよう」と考えたほどになる。文章が下手な上に、何の説明も無く新しい登場人物が出てくる。その登場人物は唐突に出てくるため、どのような関連の人なのかがわからない。

そしてつい先月の発売にも関わらず時代背景の説明が何もない。時代背景がない割に2000年以前だと思われる話から始まっている。コンピュータを当時から使っている読者には内容から時代背景がわかるかと思うが、普通に「パソコン」と言って使っているユーザからすると中盤までは時代すら把握するのが難しいかと思う。

このように人物にしろ、時代背景にしろ、内容にしろ説明が何もなく文章のつながりもなく話がドンドンと展開されていく。月に20冊ほどは本を読む私ですら本書を読み解くのは難しかった。読み始めで読むのが戸惑われるのは「テイクダウン」以来になる。

ベンチャーズ☆ハイ

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本という都合上読者は文章を読みそれを解釈し想像するしか無い。その文章が下手で説明もなければ読者は内容に入り込むことはできないかと思う。著者が経営者なので小説家のように文章がうまくないのは仕方がないかもしれない。それは編集者や校正者の仕事だ。

出版社が「クレイシア出版」と言う聞いたことがない出版社であったため調べてみると、本書の出来に納得してしまった。クレイシア出版の第一弾が本書とのことだ。新しい会社が悪いというわけではないが、だからこそ編集や校正が出来ていないのかと納得できてしまった。


そして文章の下手さだけではなく内容もひどいと感じる。最後まで読んでみても物語上関係のない話がドンドンと出てきている。ページを増すために入れたのか、それとも「事実を元にした」と言うところから体験を入れたかったのかはわからないが、関係のない話がどんどん出てきて、それを解決しないまま次々に展開している。そして落ちの部分は数ページで終わってしまうのだ。前置きが長すぎる。


さらに内容の信憑性が薄い。フィクションと書いているので文句を言うつもりはないが、「事実を元にした」と言う点に置いてどうしても検証してしまう。フィクションにするのであれば「事実を元にした」という言葉はいらなかったかと思う。その言葉が本書のハードルを上げてしまっている。

例えば冒頭に4億円を持って逃げるという話がある。4億円の入ったリュックを持ち上げることができなかったとあるが、この話を読んでいて違和感しか感じられなかった。

その4億円はジュラルミンアタッシュケース4つに入っているとの記述がある。表現が薄いので1億円を一つのアタッシュケースに入れて4等分していると考えると、一つのアタッシュケースの重さが計算できる。

1万円札1枚は1.02グラムなので、約1グラムとして計算して1万枚で10キログラムになる。100万円の束単位で封があるので封の分の重さも増えるが微々たるものなので無視するものとする。
1万円札の大きさは横160mm、縦76mm、厚0.01mmなので、100万円の束で厚さが1センチになる。その100万円の束が100個で1億円になるのでぴったりのアタッシュケースに入れるとなると、横320mm、縦380mm、厚100mmとする。アタッシュケースの重さが2キログラムとすれば、1億円入のアタッシュケースは12キログラム。4つで48キロになる。

片手に24キロであればビクともしないほど重いはずがない。しかもそれをリュックに入れても持ち上げられないとあるが、リュックにれるとアタッシュケースの重さが軽減されるので40キロ程度になる。小学校高学年程度の重さである。これをおんぶできない親はいない。

この部分がフィクションなのか事実に基づく部分なのかはわからないが、ココまで計算しなくてもちょっとした知識さえあれば考えるまでもなく想定できる内容になる。フィクション部分であったとしても、お金儲けの内容であればお金の部分だけでもシビアに設定しなければ内容自体に面白みがなくなってしまう。

この重さだけではなく、内容全体でお金についてずさんな数字で扱われているとしか思えなかった。


なぜか久しぶりに本についてココまで批判的な感情を抱いてしまった。本書は私のブログのように読みづらいと考えてもらえば想像しやすいと思う。


ベンチャーズ☆ハイ

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仕事のアイデアはみんなドラえもんが教えてくれた

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