ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

図解やさしくわかる強迫性障害 原井 宏明(著), 岡嶋 美代(著)

これはいい本だ。先に書いた3冊の中で最もわかりやすく、更に細かく、正しい内容が書かれている。OCDについて知りたければ本書を読めばいい。

前書きの最初にいきなり「OCDが好き」と書かれているので違和感を持ったが、それは10年以上OCDの患者を見てきた行動療法士としての意見であった。いきなりそこで本を置く方もいるかもしれないが、是非ともそこで辞めずに本書を読み続けて欲しい。そうすればその考えについても理解できるはずだ。

図解やさしくわかる強迫性障害

図解やさしくわかる強迫性障害


私が本書の中で最も気になったのが「OCDはADHDなどと同じく、現代の環境の変化が生み出したもの」という考え方だ。これには非常に納得できた。ADHDが狩猟時代の名残であるように、OCDもその名残になる。常にリスクがある生活から全くリスクのない現代になることでそのリスクを身近なもののリスクにあてがう必要が出てきた。その理由からADHD(ADD)の患者はOCDも併発しやすいのだ。

本書はOCDの行動、治療、医学知識それぞれについてまんべんなく解説されており、それらについて正しい知識をつけることが出来る。先の書籍と違い偏った知識もないので本書だけを読んでおいて特に誤ることはない。


タイトルからは最も偏った簡単な知識かと思い最後に読んだがタイトルからは内容はわからないものだ。名は体を表さない。

これはいい本だ。


だがしかし、これまでに4冊OCDの書籍を読んだがどれも医学的な話が薄い。あったとしても同じ内容が数ページほどだ。資料を読むと医学的な内容も多く書かれているが、どうもそれが書かれた書籍が少ない。ADHDやADDのような知名度が無いためか、それとも「あまり問題がある行動」だと思われていないのだろうか。

たしかにOCDは当事者が焦る一方で周りから見ていれば特に困らない。そうすれば周りが読むのは「行動」だけでいいという結果だろうか。これは寂しい。