ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

採用の超プロが教える伸ばす社長つぶす社長 安田 佳生(著)

前出の2冊「採用の超プロが教えるできる人できない人」「採用の超プロが教える仕事の選び方人生の選び方」に続いて3作目。本書で「採用の超プロが教える」シリーズは完結している。

本書は著者の安田佳生さんがコンサルタントとして関わった会社を見てきた中で、「どのような経営者が会社を潰すのか」ということをテーマに書かれている書籍になる。

P2.
会社を伸ばしている社長の特徴は、必ずしも同じではありませんが、会社を潰してしまった社長の特徴は、だいたい共通するのです。

この共通している点を解説しつつ、実際に関わって倒産してしまった会社を例に出し細かに解説されている。経営視点の雲の上の話ではなく、「あぁ、こんな社長いるな」という身近にも感じるほどの視点での解説になる。
会社を潰してしまった社長の特徴は経営視点の問題ではなく、会社組織全体での人間関係や、自身の振る舞い、考え方という、人間自身の問題になっていることが多いようだ。


このシリーズを読み終わっての総括は、「すばらしい」の一言。自分は経営者では無いので本シリーズに書かれている内容を実践することの難しさはわかっていないが、これらの内容を実践できている会社があれば社員からしても「働きやすい会社」になるかと思う。
前から書いている通り現在私が働いている会社は来月で解散することになったのだが、このシリーズを弊社社長に読ませることができたとしたらもっと違う結果になっていたかと思う。是非とも経営者以外の職業人にも読んでいただきたいシリーズになる。
まだ著者の読んでいない書籍は数冊残っているが、これほどに一人の著者の書籍を読んだのは生まれて初めてだ。書籍間で重複している内容がないため連続で読んだが全て為になった。

P26-27.
「俺より仕事の出来るやつを採ってくれ」。ときどきそう依頼してくる社長がいる。
そんなとき私は、「社長以上の人材は採れませんよ」と言う。これはなにもクライアントにお世辞を言っているわけではない。
なかには自分の能力が高いと言われたと勘違いして喜ぶ社長もいるが、お世辞どころか、過度な期待を抱きがちな社長に釘を指しているのである。
私が言っているのは、社長より能力のある人材は、社長にはついてこないし、社長も使いこなせない、ということだ。

これは真に感じる。

まず、自分より優秀な人がいるのであれば社長を交代したほうがいい。そう言いつつも自分が社長に居座り続けるというのは「社長をしていたい社長」なのであって、そうなのであればトップに立ち続けられるように自分より優れた人物を会社に入れてはならない。

経営も含めて社長より優秀だと思えることがあれば、私も他に転職するか起業するかと思う。社長からしても自分より優秀な社員から異見されることがあれば疎ましく思い解雇するのではないだろうか。そうでもしないと自分の威厳を維持できず、他の社員からの不評も買うことになってしまう。

さらにこう続いている。

P27.
社員は社長より給料が少なく、会社の株も持っていない。それなのに社長より優秀な人が部下に収まっているわけがない、というごく当たり前の理論だ。
だが、このあたり前のことがわかっていない社長は多い。
「わが社に足りないのは人材だけだ」とか「うちの社員のレベルが低くて困っているんだ」という社長は、こうした大前提をわかっていないことを自ら暴露しているようなものだ。
社員のレベルが低いというのは、社長自らのレベルが低いという事にほかならない。

正しく思う。前著にも書かれていたかもしれないが、社長より優秀な社員がいるのであれば自分よりも給料を上にするべきだ。創業者長であれば「自分が創業したから偉い」と思われているかもしれないがそうではない。たしかにその社長が創業したからその会社があり、そこで働く社員がいる。だがしかし、会社は社員がいるから成り立っているのであり社員がいなければ維持できない。その社員がいるから社長がいるのだ。
そういう優秀な人間がいるからこそ会社が利益を上げ続けられているのであるから、社長より会社への貢献は大きい。そうなると社長より仕事に対する対価を貰うべきである。

P46.
ところが「つぶす社長」は、なんとかしてリスクを負わないで良い人材を採ろうと考えてしまう。将来、会社の核になる人材をハローワークで探そうとしている社長など、その典型である。

安田佳生さんは本当にすごく思う。これも非常に感じていた。

私は趣味でもプログラミングをしているのでコンピュータソフトウェアのコミュニティなんかにも参加している。そういったコミュニティのイベントがあると参加することがあるのだが、集客方法によりイベントのレベルが天と地ほどに違いがある。

コミュニティのホームページにしか記載をしていないイベントはかなり高度の内容を扱い、参加者もそれがわかるほどの高度な知識を持った参加者が集まる。だが、いろいろなホームページなどで参加を呼びかけたイベントはレベルが下がる。発表のレベルはもちろん、参加者のレベルが著しく下がる。

この理由は簡単で、前者であればそのコミュニティやイベントに興味がある人だけが自分で調べて参加の意思を表明し参加するものになるため、能動的に学習する意思のあるものしか集まってこない。だがいろいろな所で募集をすると、「とりあえず参加してみよう」や「暇だしいってみるか」といった興味本位の人たちや、最悪なのが上司から「こんなイベントがあるから行って来い」と、本人は全く興味もなく参加してくる。そういう人達は「とりあえず参加しとけばいいや」くらいの意識であるためレベルが低く、さらには入りたい人が入れず邪魔になることすらある。

ハローワークも同じで、興味もない業界に対して「給与が高い」「近い」「とりあえずどこかに応募しなければならない」といった理由で、何をしているのかもわかっていない会社に応募すると言ったことが多々ある。私は職業訓練の運営をしていたことがあるが、「ハローワークなんかじゃなくて自分でWebサイトを回って探せ」としつこく言ったほどだ。

当時働いていた会社で実験したことだが「自社のWebサイトにのみ求人を掲載する場合」と「ハローワークに求人を出した場合」で応募してくる人材を比較したことがあるが、後者が圧倒的にレベルが低い。前者は自分で働きたいと思う会社を探して応募して頂けるのであるが、後者は適当にハローワークの端末で探しているとしか思えない人が応募してくる。面接してみると「プログラミングはしたことは無いので働きながら勉強させて欲しい。」と言われて怒ってしまったほど。

P122.
しかし真面目な人にはこれが理解できない。要するに「サボれない」のである。
たとえば、会社で昼寝をすることは悪いことなのだろうか。私は、自分の会社で昼間から寝ている社員がいようともまったく気にしない。おおいにサボればいいのだ。そして成果を上げればいいのだ。
真面目さは「サボらない」という行為に対して持つべきものではない。真面目さは「目標達成」という結果に対して持つべきものだ。
真面目な人は「サボらない」のではなく、「サボれない」のだ。

本当に同感できる。

前職では創業時に会社に雇用して頂き、2年で社員が10人ほどになったため自分の下にいる人間もできたのだが、それらには「眠たいなら寝ろ」と何度も言った。「寝ろ」と命令したこともあった。

眠たい状態で業務を行なっても作業が進まない。効率が悪いどころかミスが多発して余計に時間がかかってしまうこともある。それが客先に迷惑をかけることになったのでは取り返しがつかない。
だからこそ眠たかったら寝て体調のいい状態で作業をすべきなのである。そうすれば、眠たい状態での作業より大げさではなく10倍以上効率がいい。しかも、眠たい状態で作業すれば作業も苦に感じてしまう。

「眠たくて寝てる」状態がサボっているというのであれば、すでに「眠たい」という状態がサボっていると言える。真面目なのであれば毎日8時間就寝して業務中に眠たくならないようにすべきである。それをしていないにも関わらず、業務中に眠たくなり眠たいながらに頑張って作業しているのが真面目とはバカにしか思えない。

体調が悪いのに会社に出社するのが賛美される感があるが、体調が悪ければ休むべきだ。体調が悪いのに効率よく作業できるわけ無く、悪化すれば数日間休むことになってしまう。それであれば少々体調が悪い状態でも休めばいい。その為の有給休暇である。会社からしても「過労で倒れた」などとなれば悪評がついてしまう。

これを言うと「お前みたいに程度の低い仕事をしているわけではないので休めない」や「私がいなければ会社に影響がある」、「その日に締め切りがあれば休めない」などと反発する人がいるが、1日休むことでスケジュールが守れないようなスケジュールを組んでいることや、締め切り当日まで業務ができていないのが問題であり、一人が休んだだけで会社に影響があるような仕組みが間違っている。いつ事故に巻き込まれるかもわからない日常に、一人が一日休んだだけで問題があるのが問題なのである。

結果が全てとは言わないが、10分寝てリフレッシュできるのであれば10分寝て後の数時間を気持よくしたほうが効率がいい。そういったことも考えられない社員が問題で、それに気づけない上司が無能なのだ。そして、それを許せない経営者が足を引っ張っている。


このように本当に参考になり、自分が考えていた内容もズバリと書かれており、自分の考えが間違っていないという事も実感できた。安田佳生さんの全ての著書を読んでみたい。

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