ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

採用の超プロが教える仕事の選び方人生の選び方 安田 佳生(著)

前出の「採用の超プロが教えるできる人できない人」の続編という事で、安田佳生さんの著書として2冊目になる。

タイトルからは少々わかりづらいかもしれないが、高校生や大学生などのこれから仕事につこうと考えている学生や、求職中の方々をターゲットに書かれている書籍になる。だが、仕事を選ぶという事の考え方が主な内容になるため、転職を考えている方や、転職を考えていないまでも現在の仕事を疑問に思っている方にも向いている書籍になる。

そしてなにより、そんなことを何も考えずに毎日もくもくと働いている方に是非読んで欲しい書籍になる。

安田佳生さんは採用する側の人間になり、また、コンサルタントとして企業に人材選びを提供する側の人間になるのだが、そのような立場の人間から「働くという事」、「仕事はこう考えて選べ」、「こういった選択肢も考えろ」というメッセージが込められている。

採用する側の人間からすれば、それらを書いてしまうと(俗に言う)優秀な人間が応募してこなくなるかと考えるかもしれないが、そうならない理由や、逆にそうなってもいいと考えている理由が書かれている。

採用の超プロが教える仕事の選び方 人生の選び方

採用の超プロが教える仕事の選び方 人生の選び方


本書は安田佳生さんの2冊目の著書になるのだが「はじめに」にこのように書かれている。

P2.
一冊目の本とは中身もずいぶん異なりますが、実は正直に言うと、私は一冊目にこの本を出したかったのです。ではなぜこの本を最初に出さなかったのかと言えば、それは私に実績がなかったからというのが、本当のところです。

前書の「採用の超プロが教えるできる人できない人」は採用する側の立場から書かれているが、本書は採用される側の立場の考え方を書かれている。安田佳生さんは後者を先に伝えたかったようだ。

だが、文章にあるようにいきなりそのような本を書いても著書という実績がないため宣伝しづらく売りにくい。そうなれば先に売れそうな本を出しておきそれが売れたら続編という形で売れない可能性のある本を出版するほうが出版社としても都合が良かったのかもしれない。その証拠に本書の帯や宣伝には、「ベストセラー待望の続編」という宣伝がされている。

ただしこれは非難することではない。出版社は売れない本を出版するわけには行かない。そう考えると前書が売れ、続編という扱いでも本書を出版して頂けたことに感謝したい。出版から10年が経過しているが、私は本書を読めて嬉しく思う。

P21.
職務経歴書において「営業を五年やっていまいした」ということが意味するものは、私に言わせれば「営業ならできます」ではない。「私は営業には向いていませんでした」ということである。

この考えはなかった。言われて気づいた。

先からの記事に書いているが、私は現在働いている会社から解雇されるため次の仕事を考えなければならない。そして、自分に少しでもできるということが「プログラミング」であり、今までの仕事の中で楽しかったと思えるのが「プログラマ」という仕事であったため、次の仕事も「プログラマ」しかないと思い込んでしまっていた。

だが本書を読み、「プログラマ」しか選択しがないから「プログラマ」を再考するのではなく、「プログラマ」に憧れ、「プログラマ」として働きたいから「プログラマ」になりたいと考えなおした。

確かに私のプログラマとしてのレベルは同年齢の職業人からしたら低いかと思う。だがやりたい。やろうとした結果ダメなら他の選択肢も考えればいい。とりあえず「プログラマ」を目指したいと思う。

P26.
悔いとは、「できなかった」という結果に対して抱く感情ではない。悔いとは、「やらなかった」というプロセスに対して抱く感情だ。

10年ほど前に同じようなことを言われたことがある。

当時私は高校生で三重野瞳という歌手が好きだった。その歌手はラジオ大阪V-Stationというアニメや声優がまとまって入っている時間帯にラジオをやっていた。私は三重野のラジオを聞く中で他の声優にも興味を持ち、三重野が参加しないイベントにも参加するようになった。
三重野が参加するイベントには迷わず参加するのだが、三重野が参加しないイベントには参加するか悩むことが多々あった。

当時はそのVステーションのWebサイトにチャットエリアがあり、他のリスナーとチャットを行なうことができた。その中でそういったイベントの参加についても会話をすることがあり、私はそのイベントに参加するか悩んでいることを話し、他のメンバはイベントに参加するか尋ねた。そうすると次の言葉が返って来た。

「参加せずに後悔するより、参加して後悔したほうがいい」

この言葉が出た会話の流れは細かく覚えていないのだが、私は次のようにこの言葉を捉えた。

「イベントに参加してつまらなかった所で多少の金銭がかかったことやその時間で他の事ができたという事くらいの後悔しか無い。だが、参加しなかったことで後悔したことはどうやっても取り返すことができない。終わってから参加したらよかったと思ってもそれはもうどうすることもできない。」

こう自分の中で解釈することで、次からのイベントには参加に悩むようであれば積極的に参加するようにした。参加して大きく後悔したことはない。

だが、結局参加出来なかったことに後悔していることはある。三重野瞳主演の舞台「MISTAKE 1/2+1/2=2」を見に行くことが出来なかったのだが、これには今でも後悔が残る。本当に見に行きたい。もし他のキャストでも再演することになったとしたら迷わず見に行く。それくらい見たいと思っている。たとえ台本の販売でもしてくれたら購入したい。

P44.
だが、現実的には過去の実績で未来が決まるわけではない。逆である。未来の実績が、過去に対する評価を決定しているのだ。

これも気づいていなかった。著者の例として次の行動が上げられている。

著者がアメリカの大学に留学したのは、日本ではいじめられっ子で成績も悪く、日本には受験できる大学がなかったためアメリカに渡ったのだが、現在では「フットワークが軽い」などと賞賛されているとのこと。これが失敗していれば褒められることはなかった。

確かにそうだ、過去の行動は現在の評価があるから評価される。これは私も見に覚えが多々ある。

著者も株式会社ワイキューブが絶好調の時期であったためこのような称賛にあったのであろうが、会社が倒産してしまった現在ではバッシングの的になっているかと思う。これが今までにも何度か書いたワイキューブの散財のほとんどが批判の対象になっている理由になるのかと思う。

会社が成長している際にはその取り込みが成長要因だと評価され、倒産してしまえば無駄な取り組みという評価に代わってしまう。その場その場の結果を見た評価ではなく、現在とそれまでを比べた評価となる。

P122.
その方策の一番は、やはりできる人材を増やしていくことだろう。会社というのは入れ物である。つまり、そこにいる人が自分の給料以上に稼いだものが会社の利益になる。こうした基本的な会社の仕組みを考えれば、できる人がたくさんいるほうが、仕組みをさらに強固なものにできることがわかる。

この著者の考えは素晴らしいと思う。会社は社員が働く場に過ぎず、経営者はその社員が働く場を提供しなければならないのだ。


本書は丸1日以上寝ていない状態で読んだためあまり頭に入って来なかった部分があるかもしれないのでもう一度読みたい。同じ書籍を2度以上読むことは殆ど無いのだが、それほどに興味深い内容であった。そのような状態で読んだことが悔やまれる。

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採用の超プロが教えるできる人できない人

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私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日

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