ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

ぐっとくる? 安田 佳生(著)

この書籍は安田佳生さんの著書の中では珍しく、自分の考えを次々と書き綴っているのではなく、安田佳生さん自身が行なってきたコンサルタントの成功例と失敗例を交えて自身の考えを綴っている書籍になる。なので、他の書籍とは違い自身の考えは半分程度になっているかと思う。

かといって安田佳生さんの考え方が書かれていないというわけではなく、自身が行ったコンサルティングを例にしている為、他の書籍に比べるとコンサルタントの考えが深く書かれており、大きな視点でいえば他の書籍よりも経営者の方々には参考になるかと思う。

特に零細企業や中小企業の経営者の方々へのメッセージも込められているため、そういった方々には是非とも読んでいただきたい。そういった企業で働いている方にも読んでいただき、問題に気づけば是非上司に提案して欲しい。

他の書籍と違い会社改革という大きな点ではなく、営業車のペインティングやパッケージデザイン等の小さな点からの改革についても触れられており、どのような企業の方にもまずは実行しやすい内容となっている。

ぐっとくる?

ぐっとくる?


タイトルになっている「ぐっとくる」という言葉は他の著書でも度々出てくる言葉で、安田佳生さんの目指すべき企業の指針であるが、その「ぐっとくる」企業についてはあまり触れられておらず、コンサルティングについてが主な内容になる。

こんなことを言っては失礼になるかと思うが、他書と違い安田佳生さんの考えだけではなく根拠や結果も記述されているので、はじめて安田佳生さんの本を読まれる方には向いているかと思う。他の書籍は「考え」が中心となっており根拠や結果の説明が少ないため、安田佳生さんの凄さをわかっていない方にはいきなりだと拒否反応が出てしまうかもしれない。

P16.
「不況だからモノが売れない」
色々な商品やサービスに対して、ついついこんな言葉を口にしてしまいがちだ。
だが、不況だから売れないのではない。そこから思考をスタートさせなければならない。
景気が良くなるから売れるのではない。売れるから景気が良くなるのだ。そして。景気を良くするのは政治家ではなく経営者、そしてビジネスマンの仕事である。

これは本当にこう思っていた。テレビや雑誌などで「不況、不況」というから消費者がそれを強く思い込んでしまい、「貯蓄」に向かわせていただけに思う。実際にモノは売れていたし、売れないものは現在でも売れていない。テレビが売れないというのも不況だから売れないのではなく、地デジ化の際に一斉に買い換えさせたから売れないのだ。先日「2年前に比べてテレビの販売台数が激減」というニュースを見た。視聴者に「不況」という事を植え付けたかったのかもしれないがあほすぎる。今は今で、アベノミクスがどうのこうのとかいって必死に好景気をアピールしている。

テレビは危機感を植えつけることで消費者の気を引きたいのかもしれないが、内容があほすぎて見ていて情けない。(一人暮らしを始めてから8年くらいテレビを見ていないので、ニュース以外のテレビ番組はほとんど知らないが。)

P24.
日本の自動車メーカーで働く中国の現地スタッフは、「なぜバンパーの裏側まで磨かなくてはならないのか」と首をひねるそうだ。見えないところをなぜ磨く必要があるのか。
そんなことは答えようながない。見えようが、見えなかろうが、徹底的にピッカピカに磨き上げるのだ。

これは日本人の資質というか、誇らしく思える点だ。私は不景気だの、モノが売れないだの言っている奴を見るとあほとしか思えない。お前らが国産の物を買っていないのにモノが売れるわけがない。

いくら国内メーカのものを購入しても、生産が中国であれば原材料の殆どは中国国内から調達される。そして、その工場で働いている中国人に賃金が支払われる。中国人に賃金が支払われると、中国人は中国国内で金銭を消費する。もっといえば、その工場がメーカの所有物で合ったとしても工場の材料も建築にかかる人件費も全て中国の利益になる。

そうなれば国内メーカはそれを販売した売上の上前しか利益がない。その利益から企業を維持し、人件費を払い、新規開発を行わなければならない。利益が薄いのでどうしても賃金も安くなる。そうすれば社員の購入できるものも限られてくる。これが不景気というものに向かわせているのではないだろうか。まさに自分で自分の首を締めているだけだ。

それを証拠に中国国内の企業は莫大な利益を上げ、世界第一の経済大国になっている。これは日本を含め他国企業の利益が回ってきているからだ。

別に中国製品が悪いとは思っていない。それで満足できる人は使っていればいい。だが、日本の製品の素晴らしさを知らずに使っているのは無残にも思える。

P32.
いや、きっと買わないだろう。欲しくない人はそれがいくらであろうとも買わない。
つまり、どんなに値段を下げたとしても、欲しくないものは売れないのである。

まさにこれが言いたい。メルセデスの車体のプレス金型が1万円で売っていたとしてもほとんどの人は買わないだろう。車体のプレス金型の制作には数億円の費用がかかるが、いらない人からしたらそれはいらないものなのだ。たとえ1万円でも買わない。

だが、それを必要としている車メーカは数億円かけたとしても製造を行う。不景気だから売れないのではなく、売れるものを作っていないから売れないのだ。


私は景気というものがなにかわかっていないので的はずれに考えているかもしれないが、安田佳生さんの考えは経営者としての考えでもあるので参考になるかと思う。

ぜひ国産を買って欲しい。きっと国産製品のすばらしさに気がつけるはずだ。

ぐっとくる?

ぐっとくる?


小さな勝ち組企業が選んだブランド戦略  人が人を呼ぶブランディング実践企業8の実例

小さな勝ち組企業が選んだブランド戦略 人が人を呼ぶブランディング実践企業8の実例