ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

ウソをつく力: 人はなぜウソをつくのか 赤塚 行雄(著)

言葉を話せる前の赤子ならまだしも、小学校にあがっても嘘をついたことがない人はいないだろう。いや、そんな「幼稚」な嘘は置いておいたとして、社会人になってから嘘をついたことがない人はいないだろう。断言できる。いない。

私は今までに「私は素直」、「嘘は嫌い」等と嘘を吐いてる人たちを多々見てきた。自分で「私は嘘を吐く」と分かっている人よりも、「私は嘘を吐かない」と考えている人たちが質が悪い。

たとえば「〇〇をしよう」と考えたにもかかわらず実行しなかったことはないだろうか?「明日は5時に起きよう」と考えたことでもいい。それらは全て確実に実行されただろうか?実行されなかったことは全て嘘だ。

これをウソと考えずに日々過ごしている人たちが怖い。それらは全て「ウソ」だと言う事を恥じ、ウソを吐かないように過ごして欲しい。

待ち合せに遅刻したとしても、それは「時刻を守る」と言う事に対しての嘘だ。

人はこのように日常生活から嘘にまみれて生活をしている。この「嘘」に対して、「人間は、ウソをつくことができる生物である。」と「人間らしいウソ」について書かれたのが本書になる。


最近の書籍は「内容が薄い」と感じる。本が売れないという現在から「数打ち当たる」戦法で多数の書籍を出し、さらには「読みやすい」、「考えずに読める」内容として中身のない書籍が乱発されていると感じる。最近の書籍を10冊読むよりも、同じテーマに書かれた昔の書籍を1冊読んだほうが素晴らしい内容になる。

「超」整理法は発売から20年以上が経過しているが現在も売れ続けていることや、この書籍の内容を噛み砕いた書籍が何冊も出ていることを考えるとわかりやすいかと思う。現在の整理術を扱った書籍100冊を読むよりも、超整理法の方がよっぽど興味深く、役に立つ内容がかかれた書籍はない。

それを証拠に最近の書籍はすぐに絶版になり増刷されないものばかりだ。10年後にも増刷が続いている書籍は現在の本に1%もあるのだろうか。


本書はその増刷が続いている書籍の一つだ。

本書の巻末に「本書は、1990年に児童向けに刊行された『どんぐりブックス 人はなぜウソをつくのか』(ポプラ社刊)を、内容はほとんどそのままに、新書かのために編集しなおした作品です。」と書かれている。驚いた。

この書籍が児童向け?28歳になった私が非常に興味深く読めている。面白い。1990年といえば私が5歳になる。児童向けと言っても5歳では小さすぎるが、本書は私が高校生の頃であったとしても理解が難しかったであろう。

ゆとり教育」を見直すという教育に切り替わりつつあるが、それに合わせて簡潔化した書籍も全て見直し、「ゆとり書籍」から脱却することが大事ではないだろうか。そうすれば書籍から学ぶことも多くなり、ゆとり教育を受けた世代の人間たちにも新たな教育が行えるようになるだろう。


現在の書籍を考えると「本を読まなくなる」と言うのもうなずける。たまたま本を読んだとしても書店に並んでいる9割近くの書籍が薄っぺらい内容の書籍となっている。そんな状態であれば、運がよくない限りは「本は役に立たない」と感じて次の書籍を手に取らないかと思う。

かく言う私も最近は「最近の書籍」を読むようにしているが、本を読みだした当時は1980年から2000年までの新書を買いあさって読んでいた。それほどに昔の書籍は興味深く、また現在としても役に立つ知識がつくものばかりだ。
だが最近の書籍は「はやりモノ」として、発売から数年も役に立たないものばかりになる。インターネットやコンピュータの内容を扱った書籍が新書にも進出しているが、だれが3年前のTwitterの書籍を読もうと思うのであろうか。

出版社としても「数打ち当たる」ではなく、「狙い撃ち」で出版するという事も考えて欲しい。


閑話休題

本書を読んであまりにも最近の書籍への不満が爆発したためそれた話題を書き続けたが、本書を読んだ感想としても「最近の書籍が薄っぺらい」と思うようになった。本書もタイトルとして「〇〇力」の派生のような「はやりモノ」のタイトルとなっていることが哀しい。このタイトルでは内容に沿っておらず、原題の「人はなぜウソをつくのか」の方がしっくりくる。

私もタイトルに騙されて購入した口だが、それ程に最近の書籍は内容がないため「タイトル」のみをみて書籍を買うことが多くなった。書店では1ページも開かずに、タイトルを見て10冊ほど選び購入する。


本書はこんなことを考えさせてくれるほどにいい書籍になる。もちろん内容も面白いが、「本を読むのは面白い」と思い出し直させてくれた書籍になる。

文庫 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学 (草思社文庫)

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嘘の見抜き方 (新潮新書)

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顔は口ほどに嘘をつく

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