ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

おまかせとかおすすめとかイキってんじゃねーよ

私は長くはないが数年ほど料理人(調理人)として働いていた。その時にイキった客に「おまかせ」とか「おすすめ」と言ってくるのがいるが、本人としてはかっこいいと思うのかもしれないけど、店側からするとうざいし、面倒だし、調子こいてるとしか思わないし、端から見ててもアホにしか見えないからやめておいたほうがいいよと言う話。

ジョブズの料理人  寿司職人、スティーブ・ジョブズとシリコンバレーとの26年

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そもそもそう注文するアホの心境がわからない。その店に入っておいて、どのような理由があって「おまかせ」や「おすすめ」と頼むのだろうか。その店に入った時点で、その店に存在するメニューの中の何かが食べたいのであろうから「本心から何でもいいから食べたい」ということではない。肉を食べたくない時に焼肉店には入らないし、生魚を食べれない奴が寿司屋には入らない。

私もたまにそう注文してくるバカに対応しなければいけないことがあったが、そんな注文をされたら「何を食べたいのかインタビュー」して聞き出さなければならない。本当に「何でもいい」のであれば目を瞑ってメニューをパラパラして指をさして決めればいい。それが嫌なら隣の席の人の食べ物と同じものを頼めばいい。それが「何でもいい」ということだ。


だがそう頼む客は「空気と私の感情を察して私の食べたいものを持ってこい」という意気込みで「おまかせ」と言ってくるので非常に面倒くさい。何を注文したらいいかわからない、何を食べたいかわからない客のために、魚や肉、野菜とメインを変えたコースを予算に合わせて用意しているわけだから、それから選べばいい。だいたいの店ではメインのコース料理は基本的に10の選択肢もないはずだ。1万円、2万円、3万円等と予算でも分けているので、てめぇの財布を開いて入ってる金で買える物を頼めばいい。

「店側のおすすめを食べたい」と本心から思っているのであれば、2番めに高くて肉の多いのを選んで酒を飲みまくれ。これが店側に都合がいい、店側のおすすめの利益の高いものだ。


なんで店側がお前らの食べたいものを察さなければならないんだ。察して欲しいならキャバクラにでも行って来い。お前が食べたいものを出前で頼んでくれる。そんな気の利くおねえちゃんのいる店に言ってくれ。

料理人は常にやることがあるんだ。お前一人の料理を作っているわけじゃなくて他のお客さんの料理も作っている。天ぷらなんて10秒で色が変わってしまう。お前にインタビューしてる時間も常に料理を作り続けなければならいんだ。他のお客さんに出来たての温かい料理を食べてもらうために動き続けなければならないんだ。次の料理の仕込みをやらなければならないんだ。


本心から注文を任せて聞き出して欲しいのなら、1万円や2万円の飯屋では無理。そんな安い店ではなく、来店単位で料理人と給仕が専属で付く店に行ってくれ。そうすれば心置きなくスタッフがインタビューしてくれる。そのインタビューしている時間もサービス料の名目で金が発生するんだから店側も儲かり、客も任せられて満足だろう。


と、ほか弁で店員におすすめを聞いていたバカを見て思った。

料理人 (ハヤカワ文庫 NV 11)

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真夜中の料理人 (講談社文庫)

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地獄の料理人

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