万年筆を洗った
私は半年に1回ほど万年筆を洗う。あまり洗うのは良くないかもしれないが、結構頻繁に使うのでインクカスなどを取るためにも洗うほうがいいと勝手に思っている。まぁ、単に潔癖なため洗いたいというのが主な理由になる。
ということで先日も洗ったので記事にしてみる。
今回洗ったのはこの半年間に主に使っていたもの。他にもプラチナのハーフなどが何本かあるが、これは以前から使っていなかったので前回洗った際にそのままインクを入れずに保管している。それらは親父から貰った万年筆になるがどうも使い道がない。
パイロット万年筆 エラボー ブラック 細字軟(SF) FE-25SR-BSF
- 出版社/メーカー: ?パイロットコーポレーション
- メディア:
- クリック: 2回
- この商品を含むブログを見る
ということで私の洗う手順。かなり荒い洗い方と思われるかもしれないが、私からすると万年筆は実用品なので必要以上に丁寧に扱わない。
まず画像のように洗面器にぬるま湯を入れてその中にパーツ分けした万年筆を全て放り込む。後術するように私はコンバータが嫌いでカートリッジを再利用しているのでカートリッジもゆすいで突っ込んでおく。ペン先がザラザラとぶつかるが、水中で金属に影響があるほどの衝撃はないので気にしない。少々擦り傷が付く程度だ。
カートリッジ式の万年筆はキャップと首軸(ペン先)と同軸に分けて洗えるが、コンバータ一体式のものは水につけると尾栓の部分にも水が入る可能性があるので水の中に入れることが出来ない。なのでコップに首軸の半分程度のぬるま湯を入れたコップの中に差し込んでおく。差し込む前にコンバータをシコシコして大まかにインクを吐き出しておく。
1日程度何度かぬるま湯を補充して放置する。そしてその後は濯ぎながら水を切りタオルに並べる。そしてまた1日程度放置。万年筆を洗うと数日使えなくなるのが辛い。私は面倒臭いので一気に洗うが、2回程度に分けて洗うとこの不便はない。今回は画像のとおりにPILOTのカクノを主に洗っている。
ちなみにヘリテイジ92などのキャップは水につけると水がなかなか抜けないので分解して水分を取る必要がある。分解は簡単だが、少しでも心配な方は水につけないほうがいい。マツヤ万年筆病院の人に聞くところによると、キャップ内の汚れは月に一度ほど濡らした綿棒で副程度でいいということだった。私のような洗い方は私以外にはあまりおすすめできない。
そして1日程度放置して乾いたらインクの補充。画像にあるのがインク補充の道具だ。注射器とインク瓶と空のカートリッジ。インク瓶から注射器でインクを吸い、注射器でカートリッジに補充する。これは洗った時だけではなく、インクが切れた時に繰り返すので大体週に1度か2度やっているので慣れたものだ。注射器は100円均一の化粧品コーナーにだいたい売られている。化粧水なんかを作るとき計量や小瓶に移す時に使うもののようだ。
このように注射器で補充していけばカートリッジ容量でインクが使えるようになる。パイロットではCON-70以外はコンバータはカートリッジより容量が少ないし、他のメーカは大体コンバータの容量は少ない。一度CON-50を試してみたことがあるが容量が少ないために毎日インクを補充する必要があり非常に面倒だった。写真では片手でやっているが、これは撮影のためで実際は両手で支えながらやっている。
コンバータ一体式の万年筆はもちろん注射器では補充を行えない。なので仕方なくインク便から吸入する必要がある。私はこれが嫌いだ。
理由は単純で、まずはインク瓶にペン先を突っ込むということはペン先の汚れをインク瓶に移すことになってしまう。紙に書くと紙の繊維はペン先に付着するし、筆記中の埃や汚れなどペン先には様々な汚れがある。これを全てインク瓶に移し、補充する度に汚れを蓄積していくことになる。インク瓶に汚れが貯まるだけであればいいが、この溜まった汚れをコンバータの吸引力でコンバータシリンダ内に吸入する。吸入すると筆記時にはペン芯を通過してペン先に出て行く。だがこのペン芯の溝は細いので吸入時のような圧力がなければ詰まる可能性もある。
さらにさらに、汚れの問題だけではなく、コンバータを使うと多量のインクを捨てることになってしまう。コンバータでインクを吸入すると画像のようにペン芯やニブに多量のインクが付く。特にペン芯の溝には多量にインクが残る。吸入後にこのインクを拭き取ると多量のインクを捨てることになり、さらにインクを拭き取る布も無駄になる。
確かに注射器で補充しても注射器は汚れるが、これはカートリッジをまとめて補充するために何本も補充した後に1回の洗浄になるが、コンバータでは一本一本にインクと布が無駄になってしまう。汚れよりもこちらのムダのほうが気になってしまう。私はヘリテイジ92を利用しているのだが、この万年筆のためにどれほどのインクを捨ててきたかが気になってしまう。
と、これが私の万年筆の洗浄方法。カートリッジの再利用はパイロットのカートリッジはふにゃふにゃのために少々耐久性が劣るかもしれない。パーカーのカートリッジは画像の通り30年以上前のものを利用しているが全然使える。パイロットがこのフニャフニャのカートリッジにしたのはなにか理由があるのだろうか。インクが出ない時にぷにゅぷにゅ押すのには便利だがそれ以外に理由はあるのだろうか。
ちなみにパイロットのカートリッジは黒いインクを入れているとこのように少し変色して取れなくなるのですぐにわかる。これはいと出来ではないだろうけど、インクを詰め替える見としては何色が入っていたかがすぐにわかって便利だ。
いやぁ、万年筆はいいものだ。