ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

長崎の企業が全国に進出するのは難しいと思う理由

これは反論が多いかもしれないが私の経験からは真になる。もちろんリンガーハットやジャパネットを代表として全国展開し、上場している企業もいくつかある。だがそういった企業ではなく、現在の長崎にある中小企業が全国に、世界に進出するのは難しいと思える話になる。
書かないでもわかってほしいが、もちろんこれらの内容は私個人の考えになる。私が長崎で経験してきたことからの「考え」になる。全体の共通認識でもないし、これから進出した企業があったとしても、「出来ない」ではなく「難しい」と言う事であるし、そもそも私の考えや経験が正しいとも全てだとも考えてない。だが、大阪と長崎で働いて来た人間の認識として残しておきたい。

以下に「長崎人」と書くのは「私が長崎に来て出会った数少ない人々」として解釈して欲しい。

長崎を識らずして江戸を語るなかれ (平凡社新書)

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長崎人はいい加減だ。 怒り出さないで最後まで読んで欲しい。

時間にだらしないな長崎人

まず長崎人は時間にだらしな過ぎる。これは私だけの認識ではなく本人たちも自覚している。「長崎人は時間にだらしな過ぎる」と言う事を何度も口にしたことがあるが、そうすると「長崎には長崎時間というものがある」と言い返してくる。その「長崎時間」とは「時間を守らないと言う事」だ。これは私の周囲の人間だけの感覚ではなく、長崎国際観光コンベンション協会のコラムにも「長崎時間をご存知ですか?」として紹介されるほどの長崎人全体の共通認識となっている。
こういった時間感覚があることを恥じるのではなく、その時間感覚があることを言い訳に時間を守らないこをと当然とする。時間を守らないことを全く恥じようとしないのだ。だがこれも文化とするのであれば、文化が通用する地元だけで私的な場面のみでこの文化を守ればいいが。仕事についても当たり前のように「長崎時間」を厳守してくる。

約束の時間に集まらないのは当たり前、約束の時間に資料が届かないのが当たり前、その資料を催促しなければ届かないこともザラにある。

言ったことをやらない長崎人

時間を守らないのであれば、そもそも「言ったことをやらない」となる。これを自覚して欲しい。例えば同乗して打ち合わせに向かう際に「○○時に集合」と言っておいても平気で遅れてくる。遅れてきたことに反省はない。それが当たり前なのだ。だがこれは「時間にだらしない」だけではない。「○○時に集合」と同意したことを履行していないのだ。要するに「言ったことをやっていない」。「○○時に資料を送る」と言ってもその時間に送らない。数日待っても来ないこともザラにあり、催促すると「今送ろうとしてた」や「忘れてた」と平然と言う。

「今送ろうとしてた」のが事実であったとしても、既に時間から遅れているのだ。その催促をしたことを「うるさい」、「しつこい」とも言い出す。いやしつこくない。時間通りに送られてこないから催促したのであって、たとえ今送っていたとしてもそれは催促して当然なのだ。また「忘れてた」などもっとたちが悪い。
時間にだらしないがゆえに「いつ送ってもいい」という意識が発生してしまうのかよく忘れる。これは長崎人ではないために本当のところはわからないが、私の認識ではそうなる。

自分だけが長崎時間な長崎人

さらにたちが悪いのがこれだ。自分は「長崎時間」を盾に平然と時間に遅れるのだが人が遅れるのは許さない。自分がたまたま集合時間に集まっていれば集合時間に遅れた人に文句を言うし、資料の送付が遅れてきた場合には「これで自分の作業まで遅れる」と怒り出す。自分が人にしていることを棚に上げ、自分がされる側に回るのは許さないのだ。

最もたちが悪いと思ったのは、「電車は正確に来なければならない、時刻表に書いてあるんだから」と言っていた人が、自分が遅れて船に乗れなかった際に「長崎人が遅れて来ることは当たり前なのだから、船もちょっとは待てばいい。定刻通りに出発するな。」とスタッフに文句を言っていた時は唖然としてしまった。到着時間は厳守しろというが、出発は余裕を見ろと言っているのだ。

勝手な行動をする長崎人

取引先ならば何度も時間を伝えて履行頂く以外の努力はできないが、自社スタッフであれば上司だろうが社長だろうが無理矢理にでも時間通りに行動させてきた。だが、時間間隔が芯からずれているので、時間より前に集めた日には勝手にどこかに行ってしまう。時間通りにそこにいる必要があるから1時間も前に集合させたのだが、1時間も時間があると思えば勝手にどこかに行ってしまうのだ。その時間に集まれないから1時間前に集めたのだが、ここで自由に行動させると1時間後に集まる保証はない。集まらない可能性のほうが高い。

県内での取引にも難儀する

このように、時間感覚がずれているゆえに、時間通りに作業をすることなんてできない。私は長崎ではいくつかのWebサイト制作会社や測量会社に関わったのだが、どこもひどい状態だった。Webサイト制作会社を例に出すと、まず「納期」なんてあってないものだ。

自社内でもこのように時間間隔のズレがあるのに、取引先が加わるとさらにズレに拍車がかかる。Webサイトを制作するにあたってはまず資料を頂く必要があるのだが、それが来ない。待てど暮らせど1週間待とうがこない。基本的には催促しなければ資料は来ないのだ。だが、2日や3日遅れることは当たり前の感覚なので、資料送付予定の当日や翌日に請求するとあからさまに嫌な顔をされる。「送るつもりで用意してたのに疑っているのか」の様な感覚なのだ。1週間ほど経って催促すると「ああ、忘れてたよ。ありがとう」のような感謝をされる。そして2日以内に送ると言われて、4日後くらいに資料が届く。

もちろん資料を貰う前に契約をしているのでスケジュールも既に決まっている。務めていた会社では1ヶ月の納期を貰うようにしていたのだが、この時点で既に納期を半分以上過ぎている。打ち合わせは契約前からしており、資料を用意してもらうようには先から伝えているので契約から3日ほどで資料を貰えるようにしているのだが、この時点でスケジュールの半分を過ぎることになる。だが、それを見越しての1ヶ月のスケジュールなのでサイトは数日で作成して確認依頼を出す。そうすると、そもそも資料の準備からしていなかった様な客であるために、サイトの作りに文句を言う。打ち合わせをする段階でデザインを提出するようにしているので、すでにデザインの承認を得ているのだが、ここで初めてデザインを見たように文句を言い出す。
「デザインは資料が適用されてからしか判断出来ない」等という客もいるが、そうなのであれば最初からそれに同意してはならない。そういった面でも自分の思い通りになると思っている点もだらしない。

さらに、納期を守るためにすぐに修正して確認依頼を出してもその返答に1週間ほどはかかる。そうすると、納期は既に超えてしまっている。契約書には「遅延がある場合の追加費用」について書いてあるのでそれの請求をしようとするとキレだしたりもする。実際にこれで何度か取引を辞めた企業もある。納期に1ヶ月かかるというと「もっと速くならないか。すぐにでも欲しい」と大概は催促されるのだが、自分の資料送付がそれより速く来ることはないのだ。本当に取引が難儀する。

長崎県内の取引ならこれはなんとか成り立たないこともないのかもしれないが、県外の「時間を守ることが当然」の企業とは取引ができないのは明らかになる。私が務めていた会社でも私が在籍していた短期間で何度も取引が破談になることがあった。他県出身の私が入り、上司でも社長でもしつこく言っていたにも関わらずこの状態であれば、他の企業がどのような状態なのか心配になる。

時間を意識している人が長崎から出ていく

この様な事情から、長崎で生まれた人たちは「長崎時間」を軸に育つことになり、それが当たり前になってしまう。また、それに疑問を持つ人たちもいるかと思うが、そういった人達は長崎では「優秀」と言われる人たちになるので県外に出て行ってしまい、長崎には「長崎時間」を持つ人が残ってしまう悪循環が起こる。
私が長崎に来ていくつかの会社のスタートアップに関われたのも、周りからは「優秀」と言われたのもこの「時間間隔」以外にはないかと思う。Webに関する知識も私が知るプログラマたちからすれば下の下で比較対象にはなれないほど低い。だが、この時間感覚があるゆえにマネージメントなどを任され、退職したとしても取引先から誘ってもらえる。そうやって長崎では生活してきた。

長崎では大手の会社の役員から声をかけて頂いたことがある。「大阪では大阪人が営業しないと成功しない」と大阪進出の音頭を取るようにも頼まれたことがある。だがそれは違う。大阪人でないとダメなのではなく、大阪はさらに「時間に厳しい」ので長崎の考えが通用しないだけである。



このような事情から、長崎の企業は県外の企業と取引は難しいと考えている。すくなくとも、時間間隔をきちんと守り、言ったことをやる人間がいなければ取引は成立しない。そのような人間が極僅かな長崎の企業は全国進出に手が回らず県外への進出は難しいと考える。特に国際的な取引となると、相手の国の時間まで意識しないとならなくなるが、「長崎時間」にそれを組み込めるとは私は思わない。

だが逆に長崎人にはチャンスになる。この「時間間隔」さえ身に付けてしまえば重宝される人間になれる(これは私が大阪の人間であるから重宝され、長崎人が同じ事を言うと疎まれる可能性があるかもしれない)。

頑張れ長崎人。

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