ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

まともな人 養老孟司(著)

養老孟司の書籍はあまり読んだことがないが、読むたびに文章のうまさにしびれる。

本書は中央公論の「鎌倉傘貼り日記」の連載を収録したものになるが、本書以外にも収録書籍があるので、興味のある方は順番に読むと理解しやすいかと思う。

養老孟司というと「バカの壁」が有名かもしれないが、それ以外の書籍ももちろん面白い。養老孟司の書籍を読むとどれも同じ内容に感じられるかもしれないが、それは同じ内容なのではなく、「ベースの考えが曲がらないから」と言う事になる。

曲がらないがゆえ、同じ考えを元に話が構成されるのだ。

まともな人 (中公新書)

まともな人 (中公新書)


だが本書の内容は少々重複が目立つ。これは雑誌の連載という事で、一回単位で読者が新しい可能性があるために同じ説明を書く必要があるためだ。だが書籍は最初から最後まで読まなければいけないという事は無いので、自分の判断で読み飛ばせばよいだけになる。、

本書は雑誌の連載の為に時事問題についてが半分以上となっているが、10年以上たった現在でも、その当時を生きていた人間からは振り返りつつ考えなおすきっかけとなった。

小泉元首相は鳴り物入りで首相となり何かと騒がれたが結局のところは問題をぐちゃぐちゃにかき混ぜただけだ。問題を増やしはしても解決はしていない。今となっては小泉元首相のことを考えることはないかもしれないが、是非とも本書から考えなおし、同じ事を繰り返さないように考えていくべきなのだ。


「過去を知っても意味がない」と言う人がいる。私も昔は同じ考えだった。最近は歴史好きの若者が増えているという事だが、その人達もエンターテイメントとして歴史を知るだけで「それについて考える」と言う事をしない。

だが、過去を知り、それを教訓に生きていくという事は非常に大事だ。

あなたが友達と話していると急に叩かれたとする。あなたは叩かれると思っていなかったのでなんの抵抗も出来なかった。だが、それを経験することで、次にその友達と合うときは叩かれることを警戒し、いざその場面に立った時に防ぐことができる。

これが過去から学ぶということだ。結局方式や技術は変わっても、戦争は同じような理由から始まっている。歴史を知り、それを繰り返さないようにする為に過去を学ぶことが大事なのだ。


過去を経験し、未来を知ろう。