ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか 保木 邦仁(著), 渡辺 明(著)

以前に「コンピュータVSプロ棋士」を購入した際に一緒に購入していたが中々読まずに居た。時間が開いたために前書の内容をあまり覚えては居ないが、前書と比べると本書は「将棋ソフト開発の裏側」と言う面が少し強いかと思う。

著者の一人である保木邦仁は将棋に全幅探索を組み込んだボナンザの開発者であり、私は将棋ソフトの歴史には詳しくないがボナンザが全幅探索を組み込んだ最初のソフトウェアだと言う。今現在では将棋ソフトウェアでも前幅探索は当たり前となっているが、その当時は全幅探索を採用しているソフトウェアはなく、なぜ著者はその全幅探索をなぜ将棋ソフトに組み込んだかという理由など、ボナンザを開発するきっかけや、どのように開発してきたかというのは将棋好きの人にも面白い考えかも知れない。

私は将棋は好きではないのだが(もっぱらチェス)、そういった考えを知りたかったゆえに本書を読んだが楽しく読めた。前書と同じく、将棋好きやプログラマなど幅広く読める書籍に成るかと想う。


だがやはりプログラマ棋士ということも有り、どうしても一癖ある方たちの書籍ということも有り読んでいて違和感を感じることや、対談に煽っていると感じる部分がある。だがこれはお互いに遠慮せずに本音を話していると考えれば喜んで受け入れるべき内容だろう。

私も昔はオセロ(リバーシ)のAIを考えていたことがあるが、その考え方すらもわからず、とにかく枚数を多く取る、優先度の高い位置を取るというような単純な考えしか出来なかったが、本書を読むことで色々な考えを知れ、将棋だけではなく、オセロにも対応可能な考えが浮かんだ。もちろん今のオセロソフトは強すぎてかなわないレベルにあるため、それよりも弱いソフトを作ってどうするのかと思われるかも知れないが何事も勉強だろう。例えば勉強であればマルバツゲームや五目並べのソフトウェアを作ることすらにも意味がある。

現状より優れたものを作らなければ意味がないというのは全くの嘘で、その個々が作りたいものを作りレベルを上げていけば問題ないのだ。レベルを上げなくても当事者がやりたければそれだけでもいい。

例えば今現在に最優秀と呼ばれるものでも、開発当初は既存のものより劣っていたはずだ。だがその改良を加えることでそこまで成長し、また、新しいものに抜かれるという循環に成る。例えば今現在はボナンザよりも優れた将棋ソフトウェアは数多くあるが、だがそれでも棋士にかなうレベルには届いていない。だからといって将棋ソフトを作り意味がないかというとそうではないというのからもわかってもらえるだろう。

プログラムをするからと言ってプログラミングの本ばかり読むのではなく、こういった幅広い書籍を読むと色々な発見が有り面白い。

閃け!棋士に挑むコンピュータ

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