ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

メモは忘れるためにする

今までに勉強法記事にも書いてきたが、どうも世間では「メモ」と言うものを勘違いしているのではないだろうか。

もちろん勉強では「メモを取る」ではなく「ノートを取る」と考えているかも知れないが、それは同じものだ。

是非とも考えなおして欲しいので何度も書いているが、今回は「メモを取る意味」についてだけまとめて読みやすくしたつもりだ。

 

100円ノート『超』メモ術

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まず多くの人はメモを取ることに対して「覚えておくため」としている。そして勉強をしてノートにとっている方はさらに発展して「覚えるために書く」と考えている人も居る。

だがそれは大きな勘違いだ。勉強に関してメモを取る(ノートを取る)ことは逆効果でしか無い。

 

まずそもそも何故メモを取るか考えてみてほしい。

メモを取る第一の目的は「それを覚えておかなくてもいいようにする」ことだ。

例えば買い物メモにしろ、学校での板書を書き写すのにしろ、それをその場で記憶しておけば済むが、覚えておけないからメモをする。いや、覚えておきたくないからメモをする。

買い物メモであれば毎日買うものを覚えていては大変だ。だからこそメモしておけば覚えておかなくてもスーパーでそれを見れば済むようにメモをする。板書にしても、授業中に覚えれば良いものを、覚えようとすると漏れが有るかも知れないと、その場で覚えることを放棄してメモをする。

簡単に言えば、今現在に記憶を放棄し、後から参照すれば済むようにメモをするのだ。そして更に言えば、「忘れるためにメモをする」のだ。

 

メモをしたらそれを忘れてしまっても問題ない。忘れてしまっても記録しているのだから参照できる。そう安心するためにメモし、そして、そう安心したことで記憶を放棄してしまう。

その場でメモするものがなければ忘れないように覚えようとするだろう。そしてそうしたものは実際として覚えることが出来る。覚えようとすれば覚えられるものを、その場でそれを放棄してメモをする。

記憶であればもしかしたら忘れてしまうかも知れない。メモをすれば安心である。その恐怖心がメモをすることを望むのだろう。

 

メモをすることは決して悪ではない。「覚えるためにメモする」、「忘れないようにメモする」と言う行為は誤りであり、「忘れれるためにメモをする」と言う行為が正しいのだ。

買い物メモなどは良い例で、わざわざ毎日の買物を覚えておく必要はないだろう。そんな記憶しておく必要のないものまで無理して覚えておく必要はない。そんなものはぱっぱとメモして忘れてしまえば良く、必要なときに思い出せばよいのだ。

メモをすればその安心感でそれを忘れる。それは幸せなことだ。メモをすれば忘れて良くて、メモをすれば忘れられる。願ったりかなったりだ。


学校の授業中にノートを取ることを考えると、それは勉強にとって逆効果だ。授業というのはそれを説明する行為である。教科書を参照しながら、それが何故そうなるかを説明する作業だ。概要は教科書に書かれているが、それを補足する行為だ。

ということは、黒板に書かれていることなど所詮は教科書に書かれた途中経過でしか無く、大事なのはその途中経過になる理屈だ。それを聞いて置かなければ授業などに出る必要はなく教科書を読んでいるのと変わらない。

授業中にノートを取ると、ノートをとることに必死で教師の話など聞いていない。私も講師をしていたので経験があるが、情報処理の説明をしている時に話を聞かずに一生懸命にノートに書いている人が大勢居るのだ。

私の板書などメモする価値はない。単に私の話している、説明している内容を補足するものだ。その補足だけをメモしても後からわかるものではないし、そもそも重要なのは私の話である。

その際にはこの説明をし、私の話中はノートをとること、パソコンを触ることを禁止した。それでも癖なのかノートをとる人が居るので、ノートPCはモニタを畳み、ノートは閉じさせた。そして、後で調べるワードなどのメモ用に小さなメモ用紙を配布し、強制的にそれ以外にメモを取らせないようにした。そうすれば記述できる量が限定されるので、丸写しなどできなくなる。

と、このように生徒、講師の経験則としても授業中にメモをとることは逆効果でしか無い。

もしこの内容を疑うのであれば、ぜひ授業中にこの話を思い出してほしい。そうすればノートを撮ることに必死で話など聞いていないことに気がつくだろう。授業はノートなどには一切書かず、話を聞いていることが最も勉強になり記憶できるのだ。

「ノートを取ってあとからそれを勉強に使う」と言う人も居るが、それもコレまでの記事に書いたように使われない。結局教科書を読み勉強する。教科書の内容を移して勉強しようにも、それは覚える行為ではなく書き写す行為なので記憶されない。

ノートに書けばそれは「ノートに書いている」と言う安心感が生まれる。そしてその安心感故に覚えることは出来ない。

 

メモは忘れるためにする。そして、メモをしたら忘れる。

この2つのことさえ理解していればメモのとり方も変わるだろう。