MDR-1Rを購入したので感想
今まで10年程、SONYのMDR-CD780というヘッドフォンを3台ほど使い回して使ってきた。このヘッドフォンは使った人にしかわからないと思うが装着感がすばらしい。装着感。そう、それはフィット感。
そのフィット感はイヤーパッド内のウレタンフォームで実現されているのだが、10年の月日というのは残酷で、成人式の裏若きエイトフォーから三十路の脇汗パッドへ、三十路のドクターシーラボから四十路のドモホルンリンクルへと突入させる期間。
人間でもそのような変化が起こる10年と言う期間ではウレタンは劣化し、色が腐り、柔軟性も変化し、ベトつき始め、しまいには匂いと変な汁が出始める。このヘッドフォンを装着し続けたせいで耳の中が臭くなってしまった。これは加齢ではなく腐ったウレタンのせいだと信じてやまない。
イヤーパッドは取り外せるため洗うなどの対策はしてきたのだが、それでも10年経つため限界が来たようで買い直すことにした。
- 出版社/メーカー: ソニー
- 発売日: 2012/10/27
- メディア: エレクトロニクス
- 購入: 1人 クリック: 4回
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条件
条件としては、
- SONY製
- 密閉型ヘッドフォン
- ケーブルが取り外せる
- 低音の強調が無く原音の再現性が高い
- 長時間つけ続けていても疲れない
というものになる。
各々の条件の説明をすると以下のようになる。
SONY製
つまりそういうこと。
密閉型ヘッドフォン
MDR-CD780は開放型(オープンエア)になるのだが、開放型は耳にミラクルフィットしていても外部の音が結構入ってくる(遮音性がない)。私宅にはセキセイインコが2羽いるのだが、こいつらが非常にうるさい。マジでうるさい。うるさすぎるため、自宅で作業する時はほとんど常にヘッドフォンで音楽を聞きながら作業をしている。
開放型ヘッドフォンで外音が聞こえなくなるまで音量を上げると耳に悪影響があるのではないかと思うくらいまで音量を上げる必要があるため、極力小さい音でも外音が聞こえなくなるように密閉型というのを条件にした。
ケーブルが取り外せる
MDR-CD780もそうなのだが、ヘッドフォン本体からケーブルが取り外せないと不便極まりない。ケーブル一体型の機種を使っている方はなんで不便に思わないのか悩むくらいにケーブルが取り外せないと不便に思う。
着脱式であれば、ケーブルは常にPCやCDプレーヤの本体に接続したままでヘッドフォンでケーブルを挿し替えるだけで音源を変更することが出来るし、ヘッドフォンを使わない時は本体だけで片付けておける。ヘッドフォンにケーブルをくるくる巻きつけたりするのは面倒くさいし片付けるのにも邪魔になる。その上ケーブルの根本をクネクネすると断線の元にもなるしいいことは全くない。
さらに重要なのが、ケーブルを踏んでしまってもケーブルが千切れることがない。PCは机の下に寝かして置いているのでヘッドフォンをつなぐ際は床にケーブルが這うのだが、これを椅子で踏んでしまっている状態がよくある。その状態で立ち上がったりするとケーブルが引っ張られて一体型だと接続部にかなりの負担がかかってしまう。最悪千切れてしまう。だがケーブルの取り外しが行える機種はケーブルがヘッドフォンから外れるだけでなんの問題もない。
ケーブルの取り外しが出来ると、接続機器にあった長さのケーブルを使えるので邪魔にならないように配置も出来る。ケーブルが取り外せない機種はホント邪魔。
しかもケーブルが取り外せる機種はケーブルが片出しになるのでその面でも利便性が上がる。なぜかONKYOは着脱式でも特殊ケーブルで両出しという変態仕様なのは知らない。
低音の強調が無く原音の再現性が高い
ヘッドフォン売場で視聴しながら選んでいるバカをみると、「これはいい音」というバカな発言をしているバカは低音をバカに強調しているバカなメーカを選んでいるが、そんなバカは置いておいて私はバカじゃないので、そんなバカな音ではなく原音を再現する機種がいい。
ほんとに思うのは、「この曲いい曲」とか行ってる奴が原音再現のないヘッドフォンを使っているとバカとしか思えない。その状態でいい曲と感じたのかもしれないが、低音を強調して聞いてしまっていては作曲者や演奏者の意図とは違った曲になってしまっている。低音で潰れて音がかき消されてしまっている。そういった低音強調ヘッドフォンと原音再現の高いヘッドフォンで聞き比べると全く違う曲のように感じることもある。
そうなるとモニタリング向けになるのだが、MDR-CD900ST等のモニタリング向けではどうして他の条件が満たせない。なのでモニタリング向け以外のものでも極力原音再現に向けている機種がいい。
低音強調のBOSEは論外として、SONY以外でも音響メーカのDENONやONKYOもいいのだが、どうしても家電メーカでは無いので選択肢が少なくなってしまう。Audio-Technicaは嫌な思い出しか無いので選ばない。シャリメーカーでも作ってろってこった。
スピーカを見ても、低音部の再現のためにウーファーやスーパーウーファーを設置している人はいるけど、中音以上はフルレンジとか、良くても箱の中にスコーカーとツイーターが入っているものを設置している程度。スーパーツイーターを別に設置しているのなんてほとんど見ない。なんでだ。
ってか、PCやスマートフォンでMP3を聞いて「いい音」もへったくれもないよね。
長時間つけ続けていても疲れない
上にも書いてある通り、自宅での作業中はほとんど常に装着しているので10時間以上装着していても疲れないものがいい。モニタリング向けのものは密閉度を上げるためにヘッドバンドのテンションが高いので長時間つけるのはしんどい。
このような条件から探すとかなり絞られる。ケーブルの着脱式で探しただけでMDR-1RかMDR-XB920かに絞られた。
MDR-XB920はXBシリーズなので低音強調が入っているので選択肢に入らないが、MDR-1Rは調べてみるとなかなかいい。キャッチコピーも「胸を打つ、いい音。」。シンプルで素晴らしい。
ただしMDR-1Rの仕様を見ると、再生周波数帯域が"4-80,000Hz"となっている。ホントかよ。SA-CDまではいかないが、SA-CDを聞くのにも耐えうる機種という事か?
他にも調べてみると「広帯域HDドライバーユニットが低域から高域まで鮮やかに再現。」という表現もあったので低音強調は少ない製品と判断して購入した。近所の家電屋に5件ほど電話してみたのだがどこにも試聴品がなかったのでキャッチフレーズを信じて買うことにした。
MDR-1シリーズとしてMDR-1RBTとMDR-1RNCがあるようだが、BTは電波は頭が悪くなりそうなので嫌で、NCは音楽を効かなくても多少は鳥の声がカットされるのか悩んだのだが、1Rに比べて90グラムも重くなっているのでヘッドバンドが硬いのではないかと思ってやめた。NCを使っている方、どうなんでしょうか?
ところでSA-CDってどこに行ったんだろう。DVD-Audioも聞かなくなったし、やはり正しい音質よりも低音が重要視されているんだろうか。
購入後レビュー
そんなこんなで「購入した」と言うタイトルから9割以上が購入前の駄文になるが、購入したものを使ってみるとこれがなかなか。
いらない箱
まず、なぜ最近の製品は箱に金をかけているんでしょうか? 昔は数万円のヘッドフォンでも紙箱じゃなくてプラで中が見えるようなものだったかと思うのですが、こんな紙箱にするとデザイン費用とか材料、製造費用が増えるかと思うのですがどうなんでしょうか? 中身を買っているのに箱のために値段が上がるのは本末転倒に思えてなりません。箱なんて販売までの移動や中身を守るためのもので、中身を出したらゴミでしょ。スーパーの袋みたいなもんじゃないんでしょうか。
キャリングポーチ
あと、キャリングポーチってなんなの。ヘッドフォンってポーチに入れて持ち運ぶもんなの。持ち運ぶためにスイーベル機構ってのを採用しているみたいだし、私は世の中についていけていないのかもしれません。老害です。外で音楽聞きたいならSIR-III(CFS-D7)に電池突っ込んで肩に担いで移動しろって思います。冗談抜きで外でヘッドフォンして歩いてる奴危なすぎます。
※http://dailynewsagency.com/2012/03/25/fastest-adopted-gadget-of-the-last-50-years/ より引用
ケーブル
付属のケーブルはかなり短いです。ケーブルの確認はしていなかったのですが、マイクとボリュームコントローラ付のケーブルが付属していますが1.2mの長さしかありません。試供品という事でマイク無しのケーブルも添付されていましたが、こちらも1.2mです。しかもかなり安物臭いケーブルです。CD780の付属ケーブルが5m近くあったのでそのイメージでした。
1.2mじゃどこにも繋がらないため、CD780のケーブルを使いまわしましたが無事装着出来ました。
ヘッドフォン本体
ケーブルも安物臭ければヘッドフォン本体も安物臭がけっこうします。ヘッドバンドの軸以外は全てプラスチック樹脂で、ハンガーも軸はなく全て樹脂のようです(ハンガーの内側が軽量化のためか抜かれているので芯は無いように見えます)。イヤーパッドの縫い目も結構な粗さです。
装着してみるとフィット感はないものの私の大きな耳でもすっぽり入りいい感じです。ヘッドバンドも固くはなく疲れなさそうで、実際に5時間ほど装着してみましたが痛みや疲れはありませんでした。ただし、密閉型の欠点の蒸れはどうしようもありません。装着感はいい感じです。
音質
最重要の音質は、結構中音が抜かれている感じに思います。高音も結構いい感じに出ています。が、少々低音に強調が入っているように感じます。不自然なほどの強調ではなく、今のこの低音強調時代に歩み寄った感じがある程度の強調で、気持ち悪いほどではありません。メタルとしてRammstein, Arch Enemy, Puya、ロックとしてPapa Roach, The Offspringを聞いて見ましたが気持よく聞けます。UnderworldのRezなんかは最高です。(10年落ちの)CD780でも隠れていた音が出ている感じです。
ただし、この低音を持ち上げているせいかドライバーの揺れが大きく、イヤーパッドも薄くさらにヘッドバンドも柔らかいのが影響し、ハンガーカバーも大きく共振します。大きめの音では装着に違和感を感じるほどになります。
まぁ、色々と文句をたれましたが満足しています。定価は24,800円であるため定価品質では無いように感じますが、ヤマダ電気では19,800円で取り寄せができますのでその値段であれば相応に感じます。
結果
言うほど悪くない。これはいいもの。
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SONY MONITOR HEADPHONES MDR-CD900ST
- 出版社/メーカー: ソニー(SONY)
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SONY ステレオヘッドホン レッド MDR-XB920/R
- 出版社/メーカー: ソニー
- 発売日: 2013/04/20
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