ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

確率について

世間の人間は大多にして確率について勘違いをしているのではないだろうか。確率は小学校だか中学校で習うような基本的な考え方であるし、掛け算や足し算で行える非常に簡単な計算で求められるものだ。そしてその当時に習った数学の中では中々よく実生活の中でも使うものになるだろう。

以前こんな問題を見たことがある。是非とも考えて欲しい。

コインを投げ表が出るか裏が出るかという賭けを行っている人間がいる。コインの表と裏が出る確率は共に1/2である。現在の所2回連続で表が出ている。次に表が出る確率を求めよ。

非常にシンプルなものだろう。何も悩むところが見つからない。だが問題として成り立っているのだから、悩むところが有り、それを悩む人が要るのだろう。

そう思い調べてみるとやはり悩んでいる人が要るようだ。次に表が出る確率を1/8や1/6と考える人が要るようだ。確率を習いたての人間であればこのような勘違いをするのかも知れないが、大の大人が実生活でも確率を考えているはずの人間がコレを悩むのは少々ひどいだろう。こんなこともわからないのであればどのように仕事をし、日々考えているのか疑問に思ってしまう。

ハッとめざめる確率

ハッとめざめる確率


この問題の答えは簡単だ。次に表が出る確率は1/2だ。今回に表が出ても、次に表が出る確率も1/2だ。

一応理由も申し添えておこう。この場合、コインは前回の状態を保持しているわけではなく、その影響を受けるわけではない。そもそも問題に「表と裏が出る確率は1/2」と捻くれたいちゃもんをつけてくる人間の対策としても、コインの表が出る確率がわからない人のためにもそれが明示されている。

前回の影響を受けないということは、毎回リセットされているということだ。ということは、10回連続で表が出た状態であっても、次に表が出る確率は1/2となる。何回投げたとしても表が出る確率が1/2なのだ。何度も言うが前回の結果に何の影響は受けない。

このようなことも考えられないのは、以前に書いた「数学的発想」と同じことだろう。なぜか世間では「学校の勉強は役に立たない」というわけのわからない、「自分が学校の勉強も生かせない言い訳」を他人に押し付ける風潮がある。とにかく学校で学んだことは重要だ。あなたが今このブログを読めるのも、学校で文字を学んだからだろう。

そして確率というものを覚えていたとしても、「知識が発想や学びの邪魔をする」のように自分の知識が自分の邪魔をしたのだろう。



例えば問題中に「1/2」とその確率が明示されていないのであれば悩むことも考えられる。それは一般的な確率ではなくベイズ確率の領域になるだろう。

もしかすると、コインに大きな凹凸が有り片面が出る確率が高いのかもしれない。空気抵抗の問題で偏りが出るのかも知れない。意図的に操作されていて親が有利になるようにしているのかも知れない。このように純粋な確率ではなく、不確定な条件が加わるものは簡単にはベイズ確率になる。

簡単にベイズ確率について説明しておくと、例えば目の前の道路を歩く男女を数えるとする。一人目について男女のどちらが通るかはわからないだろう。だが5人連続で女が通れば次にも女が通る可能性が高いことはわかるだろう。なぜならその道路の先には女子大があるのかも知れないし、ケーキ屋があるのかも知れない。このように不確定な条件によって左右されるのがベイズ確率だ。

例えば一般のコイン投げにしても、実際は表と裏が出る確率が1/2であることを期待しているだけでしか無い。実際には両面で重さが違ったり空気抵抗が違うためにその確率は新の1/2ではないはずだ。



だが先のコインの例ではこのようなベイズ確率ではなく、確率が明示されている純粋な確率も問題でしか無い。1/8と答えた方は、表が3回連続で出る確率を条件として考えたのだろうか。1/6と考えた方は不明だが、およそ連続量の計算間違いであろう。

このような確率は日々多く使うものだ。例えばゲームの多くは確率でしか無い。最も単純なのはブラックジャックであろうか。運などはなく単なる確率の問題で計算すれば期待値を考えることが出来る。

ポーカーや麻雀にしても多くのゲームは確率で表すことが出来る。「流れ」のようなわけのわからない事を言う人間もいるが、そんなものはない。あるとすれば、巻き返しなどされる可能性があるという心理的なプレッシャーや、相手を抑えこもうという考えからそれが失敗し有利になるだけの話だ。

単純に確率だけの問題であるのは宝くじだろうか。宝くじを買うことについては否定的ではないが、それを求めるのであればそれも確率というもので考えるべきだ。「どこどこで買うと当たりやすい」、「何月生まれの人が当たりやすい」、「1枚だけ買うほうが当たりやすい」というそもそもの確率を無視した迷信を信じていては損するだけだ。それが事実なのであれば根拠となる確率があるのであるから、その確率を考えて欲しい。そうすれば無駄に買い続けることはないだろう。



確率はあなたの思考の見方になるものだ。日々確率を考えて行動して欲しい。