有限の先に無い無限
あなたは「無限」をどう理解しているだろうか。
アジア圏、特に日本で教えられる命数法では「無量大数()」が最大となっている。それ以上を無限と勘違いしている人も居るようだが、そんな馬鹿なことはない。数百桁の計算など昨今のコンピュータでは当たり前に処理している。それが無限なら計算も永遠(無限)に終わらないだろう。
では、無限が68桁やらそこらで無いとすると、無限とは何桁なのだろうか。あなたは何桁と考えているだろうか?
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どうだろうか。
例えば現在見つかっている最大の素数は[10^{17425170}]桁だ。ゼロが1740万個以上付く。新書の文字数を10万文字とすると、新書の文字を全てゼロに置き換えても174冊以上になるほどの桁数だ。
これでもまだまだ有限だ。今後は更に大きな素数が見つけられるし、例えば身近な計算でもこれ以上に大きな数字を作ることが出来る。
例えば「9の9乗」はと小さな数字であることはわかるが、でははどれくらいの数字だろうか。単純にすると、だ。少し考えてみてほしい。
正解ということではないが、凡その大きさとしてはとされている。3億7000万桁だ。先の素数よりも大きく、新書で言っても3700冊もゼロを書き続けなければならない。
この膨大な数でも無限には程遠い。なんてったってそれでもに比べると小さく、に比べると誤差とも言えるほど小さな数だ。
所詮そのように数字で表すことが出来る数というのは、人間でも扱うことの出来る有限な数値でしか無い。
だが、そのように人間が扱っている数字というのは世の中に存在するべくして存在している数字ではない。
単純に考えると、地球の原子の数というのは「無限に近い」と考える人も居るだろう。「無限の宇宙」とも言うが、宇宙は果たして無限なのだろうか。
考えてみよう。例えば人間の体の細胞数は「」程度と言われている。指数表記でなければ案外小さな数で40兆個以下だ。だが一つの細胞は膨大な数の原子で出来ている。それを地球規模と考えるといかにも無限に思えるだろう。
人間の体重は高々60キロやらだ。だが地球の質量はkgもある。
だが地球の原子数というのは高々程度だ。地球でこの程度であっても、宇宙全体の原子数を考えると無限に感じるかも知れないが、これも高々程度だ。全然無限ではない。最大の素数よりもずば抜けて小さく、無量大数よりも少々大きいくらいでしか無い。
「無限の宇宙」とは言うが全然無限ではない。現在の人間からすれば小さな数字でも有るだろう。
では無限とは実際にどこまで大きな数字なのであろうか。
ギネスブックでも認められている世界最大の数字というのがグラハム数であるが、その大きさというのは「大きすぎてわからない」のである。先には指数表記で9を3つ使うだけでチビるほど巨大な数字を作り出すことが出来ることがわかったが、その指数を使っても表せないほど巨大な数字がグラハム数になる。
グラハム数がどれほど大きな数字かという例として、「宇宙の全ての原子をインクに変えても、グラハム数を表記することは出来ない」と言うものがある。これは事実であり、宇宙の全ての原子一つで一桁を表せるとしても、グラハム数には到底足りないのである。
だがそれほど巨大な、現在の人知を超えた大きさの数字であったとしても有限だ。
であれば、無限とはどこに有るのだろうか。
結局に無限とは「有限の先にはない」。
簡単に考えてみよう。
「有限の先に無限が有る」とすると、無限の一つ手前までは有限であることになる。ある有限の数に1を加えれば無限になるのであれば(n+1)が無限ということになる。であれば、(無限-1)は有限であり、無限は無限でなくなる。ということは有限の先に無限は有るわけではなく、有限の先はいくらでも有限が続くことになる。
これは少々意味がわからないかも知れないが、結局に、有限である人間は無限を理解することが出来ないのだ。
例えば素数は無限に有ることが証明されているので、先の素数よりも大きな素数は有限が続く限りいくらでも見つかる。数値が無限に続くということは、それに関連する素数も無限に存在するのだ。
例えばグラハム数にしても有限であるが、素数はそのグラハム数個よりも多いのだ。
無限であるのだから。