刑務所の中の中学校
教育は素晴らしい。
私も学生時代は学校には行っていたものの、勉強はしてこなかった。理由は単純で、父親に「学校の勉強なんてなんの役にも立たない」と小さい頃から教えられていたからだ。
私の反骨精神により、その言葉を聞きながらも学校には行っていた。それが功を奏して日本語の読み書きには大きな不自由はしていないが、社会に出てからはわからないことだらけ。
ふとしたきっかけで25才くらいから本を読むようになり、今年の目標は毎日一冊読むことであると言えるくらいには成長できた。もちろん、本を読むだけではなく、本の内容を理解し、良いと思ったことは実践する努力もしている。
そんな学校にいっている私ではなく、小学校や中学校に行かなかった、行けなかった人のために日本に唯一、松本刑務所内に中学校がある。義務教育を受けることができなかった人に読み書きや勉強を教え、中学校卒業資格を与えるための施設だ。
一般の中学校ではないので、夏休みや冬休みはなく、休憩時間も工場労働が基準になっているようで短い。生徒は工場労働は免除されるものの、学校が終わっても毎日自習時間の3時間を勉強に費やす。
現在の対象は未成年だけではなく、70歳以上の方も過去にはこの中学校を卒業している。門戸は広い。
書籍の内容はこの中学校の教師を35年弱していた著者による体験記と、この中学校が存在する意義、どれだけの人たちを厚生に導いてきたかと言う内容になる。
もちろん内容も面白いが、私が本当に気に入ったのは、勉強の大切さ、勉強の意味、勉強の楽しさを生徒が理解し、卒業し、その後の人生に影響を与えていると言うこと。著者である教師が良かった可能性も大いにあるが、人が人に影響を与えるこの社会で、教師も犯罪者に影響を与えることができると言う可能性が示されている。
私も、インターネットから社会の役に耐えるように尽くそう。
- 作者:宮口 幸治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/07/12
- メディア: 新書