ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

読書の初め方

読書を始めるのは難しい。これは私も経験している。

私が定期的に読書を始めたので1年前からになる。それまでも本を読むことはあっても、本当に興味のある本のみたまに読むという程度であった。高校に入り自分で本を買うまで家に「本棚」がなく自宅に本を読んでいる人など居なかった。と言うは以前に書いた。

本を読むというのは本当に環境次第だ。私は自宅に本がなかったので「本を読む」と言う考えすらなかったのだ。本を読む方に「本を読み始めた理由」を聞くと、多くの方が「子供の頃から家に本があったから自然に読み始めた」と言う。これは環境だ。幼少期の環境で本を読むかどうかの習慣の大多数が決まってしまう。

例えば不良と言うイメージがある西村賢太さえも、「幼少期に姉が本をよく読んでいたのでその影響で本を読み始めた」と話している。どのような人間も結局環境に左右されるのだ。

読書力 (岩波新書)

読書力 (岩波新書)


私も1年前から読書を始めた時は非常に苦労した。読みたいと思えないのだ。読まないといけないとは思うのだが読みたいと思えない。だが「週に四冊読む」と決めてなんとなく読み続けた。そうすると現在では「本を読む」と言う習慣が出来て暇があれば本を読むようになった。

私はまず、「本を買う趣味」を作りまずはとにかく家に「本がある」環境を作った。

そうすれば後は簡単で、週に四冊とにかく手に取り読み進めればいいのだ。読んだ本の中に興味がある著者がいればまとめて買ってそれを読めばいい。そうして本を読み続けた。私はビジネス経験者の本が好きなようで「私、社長ではなくなりました。」の安田佳生にハマりすべての書籍を購入して連続で読んだ。

読書をしていないとこういった趣味趣向がわからないのでとにかく色々な本を読んで自分が好きなものを探すしか無い。「実用書を読みたい」などといきなり「制限」を作ってはいけない。そうするとそれが面白くないと感じた途端に読書もしなくなってしまう。

読書は習慣にならなければその魅力がわからない。是非とも習慣化してほしい。


これから読書を始めようとする方におすすめは小学生や中学生向けのレーベルになる。

「小学生や中学生向け」と言う言葉に抵抗を覚える方もいるかもしれないが、普段から本を読んでいない方にはこれらの本を読むのも難しい。具体的なレーベルでは「岩波ジュニア新書」や「ちくまプリマー新書」だ。岩波ジュニアはその名の通りかなり低年齢向けの書籍が多いが、ちくまプリマーは私もよく読むレーベルだ。

例えばちくまぷりマーの最近では「1秒って誰が決めるの?」や「いのちと重金属」なんかは非常に面白い。レーベル名も「ジュニア」とは違い「プリマー」ということで「入門書」とされているので読書を始める紳士淑女の皆さんにも抵抗は少ないだろう。

この「学生向け(入門者向け)」というのは「内容が簡単」というわけではなく(まれに誰が読むんだよ、と言う書籍も出るが)、漢字にふりがなが振ってあったり、前提知識が必要な内容は書籍内で完結して説明されていたりという、「必要な情報が完結している」と言う意味に近い。例えば読書を今から始める方には何の前提知識もないので、時間や宇宙の本を読む際に「プランク時間」や「相対性理論」が字面だけで現れてもそれが何かわからないだろう。だが、それらの入門者用の書籍ではたいていの単語がその本の中で解説されている。

読書を始めようとする人の多くがそのような前提となる最低限の知識を持っていないにも係わらず一般的な新書を読もうとする。新書は「入門書」と名乗っているもの以外はタイトルに関連する内容の知識は最低限持っているものとして話が展開されていくので、入門者はそこで話が理解できずに挫折してしまう。「親切でない」と感じてしまう。入門書であっても「入門対象」以外については前提知識があるものとして話が進むので結局は幅広い知識が要求される。

それは「親切ではない」のではなく、あなたの選び方が間違っているのだ。入門書ではないのだからいちいち説明してページ数を増やさないことが一般読者への「親切」となっているのだ。

なので入門者の方は是非ともちくまプリマー新書から読み始めてほしい。平易な文でそれだけで読み進められるはずだ。


私も本を読み始めた頃には1冊に2時間や3時間かかることはザラにあった。だが今は新書なら1時間程度で読めるし、文庫のライトなものなら30分位でも読めるだろう。それは読むのが早くなったのではなく、読み方を覚え、読む方法を覚えたからになる。いわゆる「飛ばし読み」だ。これについては別の記事にする。

この読書法については半年でも本を読んでいたら簡単に身につく。


ちくまプリマー新書もその読書法を身につけやすい本で、最初は2時間ほどかかるかもしれないがすぐに1時間程度で読めるようになるはずだ。そうしたら30分ほどで読めるようになる日も近い。読書の練習をするのなら、書店に行ってちくまプリマー新書の本をあるだけ50冊ほど買ってくればいい。タイトルを選ばずに50冊だ。もし50冊以上あるならそこで50冊だけ絞れば良い。

読書の入門系の本もこのような買い方を進めているかと思うが、これはきちんとした根拠があるのだ。例えば一冊づつ買っていては、買うタイミングによっては「今はお金がない」などと言い訳して買わなかったり、「これは買う価値があるのか」と考えてしまう。買うか考えることも、タイミングを選ばないように一気に買うのだ。そうすれば「買ったから読まないと」と言う意識も働く。


本当にお金がないのなら新品でなくて中古でもいい。中古なら1冊100円から200円程度で多くが売られているので50冊でも1万円ほどで買えるだろう。だが私は新品をオススメする。

ある程度の費用を払っているから「身につけよう」と言う心理もあるものだ。例えばあなたが水泳教室に通い始めたとする。コースのセット料金で5000円なら1回行って「向かない」と思ったらそれ以後に行くのをやめてしまうかもしれない。だが5万円支払っていたら「もったいないから行こう」と言う意識が働くはずだ。そもそもに5万円支払う時に覚悟して挑み始めるはずだ。

このように自分のお金を出すということは「心持ち」を大きく買える。

だから「買う」のであって図書館を利用することはおすすめしない。先の「本は1日10冊読め」のように1日10冊や20冊を読むのであれば図書館の利用も致し方ないが、それは1年で何千冊も本を読む場合限定だ。1年で数百冊なら十分に買える。中古ならそれでも10万円しない。

図書館で読むというのは「無料講座」に通おうとしているものだ。無料なら「ちょっとした理由」でやめてしまうかもしれない。「眠いからやめよう」と言う理由ですらやめてしまうかもしれない。お金を出さないそのようなものだ。


そして手元に置いておくというのは以後に参照できる事にもなる。図書館であれば借りて読んでも、また読みたいと思ったらまた借りに行かなければならない、その時にその本があるかはわからない。そして、もしあったとしてもまた返却しなければならない。これは本を読まない方には不便と感じないかもしれないが、実際に読書を始めると以前に読んだ本を参照したくなることは多々ある。これが出来ないのは痛い。

私もこの感想文自体を過去の本を参照する時に「いつ読んだか」と「簡単な感想」を書くことであとで検索しやすいようにという目的がある。読書入門系の本の中には「感想文をつけろ」とあるがあれにも意味はあるのだ。だが、長々と内容を書くことはおすすめしない。「感想を書く」ということを強制してしまっては、「感想を書くための読書」となってしまう。そうなったら読書の意味はない。小学生なんかの「読書感想文の宿題」と同じになってしまう。

読みたいから読むのではなく、読まされるということになるのだ。


このように本を読み進めるうちに面白いと思う著者、ジャンルがあればそれを10冊単位で増やしていけばいい。最初は1冊づつ買うのではなくて10冊程度増やしていけば読みたい本のストックは増えていく。

そうこうしているうちに多くの知識が蓄えられていくだろう。そうなれば知識が広がっているために一般的な新書の読書を始めても問題なく読み進められるはずだ。新書は面白いよほんと。


これは私の考える読書法だが、私が信用ならないという方は読書入門系の本を読めばいい。それ自体が入門でもあり読書にもつながる。金庫の鍵は金庫の中的な方法になるが、それも一つの手だ。

だから、新書を読みなさい

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