考えない練習 小池 龍之介(著)
ここ最近読んだ本の中で、ずば抜けて付箋紙を貼った。その数25。途中でこの付箋の多さに気づいたので極力貼らないようにしたのだが、あまりにも参考になる部分が多くこの数になってしまった。
タイトルは「考えない練習」となっているが、内容はタイトルからは想像できないほど多く、最近流行りの自己啓発本とは全く違う視点での自己啓発になるかと思う。著者の小池龍之介は現職の住職で、仏教視点での考え方も取り入れられていて非常にわかりやすい。
参考になる点が多いものの内容がつめこられているわけではなく、「思考」に関連する内容が順々に関連して書かれており、丁寧に、簡潔に、実践できるように解説されている。
P3.
私達が失敗する原因はすべて、余計な考えごと、とりわけネガティブな考え事です。
「さあ頑張ろう」と決めたはずが、心が勝手に「でも失敗したら嫌だしメンドクサイからやーめた」と考え始めてしまったり。忘れたい出来事を心が勝手に「ああ、今日は嫌な一日だったなあ」と何度も考えてしまったり。あるいは10分休憩するつもりが、心が勝手に「このまま1時間さぼっちゃおうかな」と考え始めたり。
こうして並べてみるだけでも、いかに私達の意識が行う思考というものが不自由で、私達の自身の足を引っ張るものであるかがわかることでしょう。考えに邪魔されて、思い通りに生きられなくなるのです。裏を返しますと、心の内で勝手にピコピコと動き続けて私たちを支配する「思考」さえストップできるようになると、自らの心を思ったとおりに操縦しやすくなります。
この内容について同感できたり、興味を持つことが出来れば読む価値はある。なぜそう考えてしまうのか、なぜそれを体は求めるのか、その考えはどのようにして停止させることができるのか、を、著者視点、仏教視点で解説されている。
- 作者: 小池龍之介
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/02/09
- メディア: 単行本
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さらにはそれらの思考の原因から食べ過ぎ、太り気味になるという考えも記述されており、それは納得できる内容であるため、ダイエットを失敗し続けている人や、「ダイエットしたいけどどうすればいいのかな?」という疑問を持っている人にも参考になるかと思う。
その他にも、
- 物事の相手への伝え方がわからない
- 人前で緊張してしまう
- テレビでバラエティを見入ってしまう
- 自分はすぐに言い訳を考えてしまう
- ネガティブな思考が多い
- 対人関係に悩んでいる
- 物持ちで捨てられない
- いらないものまで買ってしまう
- インターネットにはまってしまっている
という人たちにも関連する内容の記載がある。
このリストを見ても、いかに多くの内容が「思考」に関係しているかがわかる。その思考を制御することが出来ればそれらの問題は解決することができ、また、それらを制御できるようになれば新たな問題に直面した際にも解決策を考える事が出来るようになる。
だが逆に、思考の制御というものがいかに難しいことであるかという事も本書では気付かされる。
例えば、本書のタイトルの通り今この瞬間から1分間考えるのをやめて欲しい。
考えるのを止めることはできただろうか?
P4.
しかし問題は、考えるのをストップしようとしてすら「さあ考えるのをやめよう」「あれ?考えてしまっているじゃないか」「やれやれうまくいかないな」「そういえば昨日、料理もうまくいかなかった」「そろそろお腹がすいてきたな」といった具合に、ピコピコと脳内のお喋りは止まらず連鎖し続けることでしょう。
このように考えてしまっていたかと思う。これに対して「考えてても別にいいのではないか」「考えることの何がいけないのか」と思ったとすれば、それも、本書で扱われている「思考」が制御出来ていない証拠になる。
考えるのを止めるというのは、「考えるという事」を理解し、そこから「考えない」という事を理解し、「考えない」ようにしなければならない。
本書はその「考える」ということを解説し、理解させてくれる書籍である。
巻末には脳研究者の池谷裕二との対談もあり、その中で小池の考え方に対して池谷も同意するなど、科学的に見ても矛盾しない内容になっている。
- 作者: 小池龍之介
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- 作者: 小池龍之介
- 出版社/メーカー: 小学館
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