ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

自転車の思い出

昔からの知り合いからたまに「自転車のことで聞きたいことがあるんだけど」と連絡がある。

何故かここ数年は自転車が流行っているようで、長崎でも自転車乗りをよく見かける。シティサイクルに乗ってる人はあまり見かけないので、ローディーの方が見かける頻度が多いかもしれない。

コナミスポーツクラブでも自転車トレーニングの教室をやっていて、結構人気があるようで先着順とされているほどだ。

自転車“道交法

自転車“道交法"BOOK (エイムック 2789)


だが私は流行りだしたであろう数年前に自転車に乗るのを辞めている。もったいないが自転車はもう放置しているのでサビサビだ。誰か欲しい人がいれば上げたのだが、誰も欲しい人が見つらなかった。

私がロードレーサーに乗り始めたのは高校生の時だ。今現在では15年も前になるだろうか。現在は既にのらなくなっているので、乗らなくなったのを5年と考えると10年位乗っていただろうか。


まぁこの記事は昔話だ。私が自転車に乗り始めた頃、楽しかった頃、そして乗るのをやめたまでの思い出話だ。

私が自転車に乗り始めた理由は以前にも書いているかもしれないが、「ランニングがおもしろくなかった」からになる。別に自転車に乗ることに魅力を感じたわけでもないし、自転車に乗ることがかっこいいと思ったわけではない。最近のローディーは完全に後者に当てはまるようだが、私はそんな理由でないことを強調しておきたい。

当時は大阪に居たので自転車は多くあり、そもそもに自転車が流行っていたわではないので私以外にロードレーサーに載っている人はおらず、周りから見ればむしろかっこ悪かったかもしれない。だが私はそんな目的ではないのでもちろん気にすることはなかった。


なぜランニングが面白くなかったかというと、3時間ほど走ったとしても30キロほどしか移動できない。日頃から3時間も走ることはないが、休みの日は暇で色々と運動していたのでそれくらいにはなるだろう。

実際に何時間か走るときでも、30分程度しか走らない時でも、コースは基本的に変わらない。一周1.5kmの公園の外周を走るか、長時間走ろうと思うときは公園から山に入り、4km程度を周回する程度の変化だ。多少道を変えることがあっても、周回は何も変化がなく面白くない。そもそもなぜそんな面白くないことをしないといけないのかもわからない。そして、大阪ということもあり道路には車が走り排気ガスで満載な道を走るしかなかった。何度も言うが、こんなことをしても面白くはなかった。

たまに大阪に帰った時にその道を走るが、長崎で走り慣れていると排気ガスが辛い。長崎に比べると何十倍もの人がランニングしているが、よくもまぁ耐えられるものだ。


と、言うことで、より高速に走ることの出来る自転車に目をつけたのが始まりだ。

自転車なら時速40kmで走れば3時間で120kmも移動が出来る。そしてランニングなんかよりも疲れることはないだろうと考えた。ランニングより疲れなければより長時間走ることも出来るだろう。

120kmも走れば琵琶湖に行ける。琵琶湖はいいもんだ。

そんな考えから購入したのが当時はロードレーサーで最も安かったジャイアントのOCR-3だ。近所のアサヒサイクルで注文し、いくつかのアクセサリーを入れて8万円はしなかったと思う。


いやぁ、自転車は素晴らしかった。どこにでも行けた。琵琶湖に行くどころか、琵琶湖の一周でも、福井に行くことできる。こんな便利で運動になるものはない。

運動と言ってもランニングに比べるとアホほど楽であったが、楽であることよりも楽しかった。平日はランニング、休日は自転車という習慣になっていた。

これを何年か続けていたので色々なところに行った。同じ琵琶湖に行くのでも道を変えて色々な方法で行った。何度も迷子になり琵琶湖にたどり着けずに夜になることもあったがそれはそれで楽しかった。

長崎に来てからも自転車は持ってきたので色々なところに行った。海が近いので海沿いに色々なところに行った。


だが私はそんな楽しかった自転車をやめた。

理由は単純で、周りを見ていてバカらしくなったからだ。自転車が流行りだしたからか色々なローディーを見かけるようになった。この長崎でもだ。

そいつらは交通ルールを無視して車や歩行者など周囲の迷惑しかかけていなかった。私はそんな奴らと一緒に思われたくない。

確かに自転車に乗り道路を走るということは認められた権利だ。だがその権利を行使するのであれば法やルールを守らなければならない。それを守らない奴が多すぎる。

もちろん自転車は軽車両なので車道を走らなければならない。だが、普段は車道を走っているローディーでも車道の信号を無視する場合や、信号を守らず左折したい場合などに歩道に入るなどしている。車道を走ったり歩道を走ったりと自分の都合のいいように走りまくる。そして車道を走るときでも一車線道路や車線がない道路なら左側、二車線以上の道路なら第一車線を走る必要があるが、一車線道路でも真ん中や右側を走り、二車線以上の道路でも第一車線がとろければ二車線目に入り込む。そしてなによりも二段階右折もしない。これはマナーではなく法律違反だ。

もしそれらのマナーが現状とマッチしていないというのであれば、ロードレーサーになんて乗らないでシティーサイクルで歩道を走ればいい。「車道を走るのが法律だ」と権利を主張するのにその法律を守らない馬鹿は話にならない。もちろん私は自転車に乗り始めた時点でこれらの法律について勉強した。二段階右折を理解している方でも、原付きと自転車の二段階右折の扱いの違いをきちんと理解している人がどれほどいるのだろうか。

こんな当たり前のルール、法律を知らない人間のせいで運転手や歩行者にはローディーは疎まれる。


そして私が自転車で走っていると同じローディーから声をかけられることも多くあった。

だがそのような人たちは、私が乗っているOCR-3を馬鹿にしたい、自分の自転車を自慢したいような人たちばかりであった。

10kgを超えているのは自転車じゃないだの、9段変速が最低水準だの、SORAは操作しづらいだの、自転車の本質とはなんだろうと思わせてくれる人たちばかりだった。

オツムがおいかれになられた人の中には、「ネジをチタンに変えて○グラム軽くした」と言ってくる馬鹿も居た。

10グラムの差なんてどうでもいい。服を変えても、携帯電話を持ち運ばなくても、水を半分の容量にするだけでも、その100倍以上の変化は簡単に起こせる。そして何よりもそんなものを変えてどうしたいのか。軽くしたいのであればお前が痩せるのが最も手っ取り早い。

自転車は軽いほうが確かに乗りやすいかもしれないし、重量が軽い分ペダルをこぐ力が軽くなるかもしれない。

だがなぜじゃあ自転車にのっているのか。レースに出ているような人なら速度の問題が、500キロを1日で走る人であれば多少の軽量化は意味があるかもしれないが、1日に100キロも走らない、道路を走っているお前がなんのために軽量化するのか。運動のために自転車にのっているのであれば自転車は重いほうがいい。軽量化して楽してどうするのか。

「自転車に乗るのが楽しい」というのであれば、軽量化などしていないで、そのお金や手間をかけて遠くまで走りに行け。金が余っているのであれば1ヶ月仕事を休んで日本一周でもすれば良い。とにかくその金と手間でより長く自転車に乗っていられるようにしろと。

そんな人たちと話していても、この長崎でも1日に200km以上走るという人は居なかった。多くは30kmやその程度だ。ただ市街地の道路を走っているだけだという。その程度なら私は中学生の頃にシティーサイクルで高架横を走り続けていた。

市街地ではスピードが出せないし、むしろ出すと危ない。そんな人たちが自転車を軽くして早くして何の意味があるのか。


私はOCR-3で何万キロも走ってきたが、タイヤやチェーン、ブレーキシュー、ワイヤーなどの消耗品以外はノーマルだ。それでもそんな奴らよりは長距離を速く走れるだろう。自転車なんてハードウェアよりもそれに乗る人間次第だ。その怠けた人間がどれだけいいものに乗ろうと使いこなせないだろう。

まぁ結局、そんな人たちは自転車に乗っているのが好きなのではなく、自転車が、自転車に乗ることがかっこいいと思い、それに乗っている自分を見てほしくて自転車に金をかけて改造し、街中を走るのではないだろうか。長崎なら市街地なんかにおらずちょっと走ればすぐ海沿いの道に出ることが出来る。絶景だ。

そしてその人たちはかっこよさを求めているだけなのでかっこ良く走ることを目的とする。よって、交通ルールや法律を守らないのではないだろうか。



そんなバカたちを見て、接して、私は自転車に乗るのが馬鹿らしくなった。自分は自分なのだが、ルールを守らない人間たちと同じに思われるのはゴメンだ。


そしてランニングに戻ってしまった。長崎は海沿いを走ると周回でも毎回に景色が違い気が紛れる。


自転車は楽しかった。