Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか 角 征典 (翻訳)
開発者向けに書かれた多くの「業務効率改善」書籍は、業務効率を改善するための開発ツールや開発手法、フレームワーク、ライブラリについて書かれているが、本書はそれらについては全く触れられておらず、「業務効率」を最も左右する環境を「人」と定義し、その人との付き合い方、管理の仕方について書かれている。
本書を読み理解したところで、個々人のプログラミングの「開発効率」が上がるわけではないが、チーム全員の「業務効率」が上がることは間違いないと感じる。チームの効率が上がれば、必然的に個々人の効率も上がる。具体的な人との付き合い方について多く書かれているわけはないが、チームとして作業を行う中で、「他人の重要性」がまず説明されており、その重要度からどのように接する必要があるかということを、著者の経験を交えて書かれている。
具体的な開発事例ではなく、チームとの関係性についてかかれているため、プログラミング以外のデザイナや、営業チームにも読む価値があると感じる。
Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか
- 作者: Brian W. Fitzpatrick,Ben Collins-Sussman,及川卓也,角征典
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2013/07/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書はGoogleのプログラマ、リーダーである著者が長年に渡り講演を行ってきた内容について記した書籍である。それらの講演を続ける中でも修正を繰り返してきたようなので、本書も完成形ではない。本書の内容に否定的な意見をとる方もいるだろう。だが、あなたが否定的な意見をとったところで、その他のメンバーには最適解なのかもしれない。ようするに、あなたはチームの一員であるが、チームはあなたを中心とはしていない。他のメンバーが望むべき要望があるとすれば、あなたに批判的な意見があるとしても、それを受け入れることを考えなければならない。それがチームなのだ。あなた一人が別行動をすればチームは破綻してしまう。これに心当たりがあれば心して読んでほしい。
また、「現在はチームで作業をしていない」という方には更におすすめできる。なぜチームで作業していないのだろうか?「世間を驚かそうと秘密裏に開発している」、「他人なんて信用出来ないし自分一人で十分」、「自分は天才だから他の馬鹿を交えると効率が悪くなる」、理由は様々だろう。だが、それらはすべてチームで作業することのメリットを捨てていることになる。自ら効率が悪い道に進んでいるのだ。本書にはその危険性が書かれている。
また、フリーソフトウェアコミュニティに参加してみたいものの、参加する敷居が高いと思っている方にも、参加する第一歩を踏み出すための勇気が湧いてくるかもしれない。本書を読めば、フリーソフトウェアコミュニティがいかに開発者や協力者を必要としているかも実感できるはずだ。
このように、どのような立場の人であれ何かの作業を行っている人には参考にできるかと思う。
また、関係はないが、著者はSubversionの開発者のようなので、本書にはSubversionの開発事例を持ちだしている箇所や、失敗事例を持ちだしている部分もある。Subversionが大好きな人も、開発者の考えがしれていいかもしれない。
P45.
新しいものを設計するのであれば、ミーティングに5人以上参加させてはいけない。意思決定者がいない限り、部屋に5人以上いたら決まるものも決まらない。たとえば、友達5人と6つの観光地に行くとする。誰かが行き先を決めない限り、ずっと道路の片隅で議論を続けることになるだろう。
これがチームワークの例としていい文章に思えた。どんな作業にも、適切な人選と人数がある。それを見誤れば、どれだけ優秀な人材が集まったとしても効率を欠き、誤った判断がされるかもしれない。
この会議の例については、前出の「へんな会社」のつくり方でも触れられている。会議や打ち合わせについて、人数や人選はかなり重要な項目になるということが、多数の会社の意見からわかった。
Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか
- 作者: Brian W. Fitzpatrick,Ben Collins-Sussman,及川卓也,角征典
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- 作者: Jono Bacon,渋川よしき
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