ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

20代の起業論 榊原 健太郎(著)

面白い。起業を考えている方は是非とも読んで欲しい。

注意としては、本書は「起業するための本」ではない。起業しようとしている方々の後押しをしてくれる本になる。「起業がいかに素晴らしいか」という内容ではなく「起業する環境がいかに素晴らしいか」という内容になる。起業を考えていない方が本書を読んでも感想はないかもしれない。

私も起業を考えているが、本書を読み「起業は難しくない」、「起業をサポートしてくれる環境がこんなにある」ということを知り、さらに起業に向けて考えることが出来た。

タイトルには「20代の」とあるが、特に「20代が最適」や、「20代を前提」とした内容はなく、著者が若い人々(20代)の人たちにも起業を難しく考えてほしくないという現れになるかと思う。私も本書はタイトルから気になり手に取ったが、そのように若い人達にも「起業」という選択肢があるということを知ってほしい。

20代の起業論―――成功するアイデアとリーダーシップのつくり方

20代の起業論―――成功するアイデアとリーダーシップのつくり方


起業する事業の考えるべき注意点も書かれているが、私はそこは読み飛ばした。そんな事よりも、起業する際の考え方や意気込みを知りたかった。

本書は非常に簡単に平易な文章で書かれているため、250ページほどのページ数になるが1時間で読むことが出来た。新書を読むのに1時間半ほどかかるため、かなり平易な文章でページあたりの文章量も少ないかと思う。それほど簡単に読める本なので、難しく考えずに読んで欲しい。

はじめに1ページ目.
インキュベーター」(incubator)とは、もともと「卵から雛をかえす装置」という意味の言葉で、起業家や起業家の卵たちを支援する人のことを言います。
IT系を中心に、商業間もないベンチャー企業(最近はスタートアップと呼ぶのが流行りです)に元手となるお金を投資し、事業のノウハウを提供したり、事業を支援してくれる専門家を紹介するなどのサポートをしています。

私は今までにいくつかの公営のインキュベート施設にお世話になったことがあるが、それはインキュベートでは無かったと本書を読んで思った。

それらは部屋を安く貸してくれる以外のメリットはなく、隔週の業務報告は全く意味をなしていなかった。収支報告をしても重箱の隅をつつくような見当違いの質問をして「指摘点」としてカウントし、そのカウント数を上に報告するだけであった。弁護士を紹介してくれる精度があったが、それを利用しようとすると複数の書類を用意する必要があり、それを施設が審査し、上が審査し、適正と認められたら紹介してくれると言う事であった。速くても2ヶ月以上かかる。
事業所として使う部屋は市価の1/3かそれ以下で貸してもらうことが出来たが、報告書の準備などに非常に時間がかかり、見当違いの指摘をされるのが無駄な時間になりインキュベート施設を出たほどになる。

この経験から「インキュベート施設は役に立たない」と考えていたが、著者のような民営のインキュベート施設はそもそもが「それぞれの起業が上げた利益がインキュベータの利益」になるため、そのような「邪魔な行動」はしてこず、最大限のサポートをしてもらえると感じた。インキュベート施設を借りようとしている方は、公営よりも民営の利用を考えたほうがいいかと思う。少なくとも私の経験では公営のインキュベートは「起業の利益」ではなく「自分のノルマ」しか考えていない。

P31.
「起業家に社会人経験は必要ですか」
とよく聞かれます。
ビジネススキルが学べたり、信用や人脈が得られるといったメリットもありますが、僕は、「不条理」の体験が必須という理由で、数年の社会人経験はあったほうがいいと考えています。
「不条理」を知ることのメリットはいくつもあります。

私も社会に出てすぐに気づいたのは「社会の不条理」になる。明らかに客先に非がある場合でも資本関係が上であれば、下がその責任をかぶる必要がある。上司は責任を取るためにいると考えていたが、責任を部下になすりつけ上司は昇進する。コンペとはなばかりの出来レース。色々なことを経験した。
学生で起業するとこのような不条理を知らず「理想論」で考えてしまうかもしれない。私も初めて就職した時は理想に胸をふくらませた。だがすぐにその不条理な世の中を体験した。

不条理を経験していれば、「世の中が不条理である」ことを前提として考え行動することが出来る。学生での起業が悪いことではないが、この不条理を知らずに行動していては「世の中の不条理」に頭を抱え、悩み、絶望を感じるかもしれない。だからこそ、より学生の起業には著者のようなインキュベータの存在が大事なのかもしれない。

P148-149.
ところで、こうやってアイデアを公開すると「パクられてもいいんですか?」と言われたりもしますが、気にしません。
コワーキングスペースで仕事をすると、周囲にアイデアがバレるから嫌だ」と言う人もいますが、バレたりパクられてダメになるようなアイデアやサービス、そしてそのように考える起業家そもそも成功する確率が低いです。オープンにすると、周りの人がどんどんアイデアをくれたりブラッシュアップをしてくれるので、隠すよりも確実にいいものができます。

これは私も感じている。私の身の回りでも「今あるものを作っている」といって、何を作っているのかを秘密にする人たちばかりだ。そのような人たちは、「パクられる事に恐怖を感じ」、「競合に恐れ」、「自信がない」のかと思う。
パクられたとしても、それは心から自分で考えているものとは違うはずだ。それが優れているのであれば問題ない。競合に負けることを恐れているのであれば、そもそもそれは成り立たない。その発想が優れていれば、すぐに似たようなモノが出来る。それはすぐに競合に成りうるはずだ。その考えに自信がないから人に言えないのだ。「馬鹿にされたらどうしよう」、「考えが間違っているのかもしれない」、「完成させることがきでないかもしれない」と思っているから人に伝えられないのだ。人に伝えれば、それに共感する人はあなたを蹴落とすのではなく、あなたをサポートしてくれるはずだ。

是非とも自分の考えを世の中に発表し、人々の意見を聞いた上でそれを作り始めるべきだ。作ってから人の意見を聞いていたのでは遅い。作る前に聞くからこそ意味があるのだ。

さらには、「人に隠して進めているアイデア」は完成されることが少ない。人に発表していないがゆえに、自分が飽きてそれでやめてしまうのだ。人に話していれば、「あれはどうなってるの」などと質問され、それを完成させる必要にも迫られる。私はこれを逆に利用し、「やる」と決めたものはどんどん人に話して「やる必要性」を上昇させている。人に話しているのにやらないことは恥ずかしい。言ったことをやらないことは人に迷惑をかけてしまう。


このブログにもアイデアをどんどん書いていきたい。

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