放射性物質の正体 山田 克哉(著)
先に読んだ「元素はどうしてできたのか」から一歩踏み込み、その中から放射線について取り出したような書籍になる。先の記事にも書いたように、放射線を理解するにはまず原子についての理解が必要になるため本書の半分程度をかけて原子について説明されている。少々重複する箇所もあるが、アプローチが違うために本書の前には前書を先に読むことをオススメする。
本書は「放射性物質の正体」としているように、きちんと「放射能」と「放射線」が分けて説明されており、それらの違いについてもきちんと説明されている。いや、それらについてきちんと分離するための書籍である。
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本書は「放射能」と騒いでいる人たちにそれを紹介しようと書かれた書籍になるかと思う。それ故に核融合の放射能について言及しているので少々誤解が生まれるかも知れない。だがしかし、前書を読んでもらえばわかると思うが自然界でも核融合はおき、放射線は発生しているということは前提知識として必要である。世間で楽しまれている「温泉」にしても、それが放射性物質の核融合で起きた熱を利用しているもの(放射線泉)もあるのだ。
そのように正しい知識を持った上で本書を読めば、放射線がどのようなものか、放射性物質がどのようなものかそれが理解できるだろう。
原子力に反対するのであれば最低でも本書の内容を理解し、それからその放射線が人体にどのような影響を与えるのかというのを更に学び、石油問題や、発電所の建設コストの問題なども全て網羅して学んだ上で反対して欲しい。
いや、そもそもに電力すらも体に悪影響があるわけだから「電力」自体の知識も備えて置かなければならない。放射線にしても核融合にしても結局は全て電磁気力の問題だ。であれば根本的に電気というもの自体を反対すべきなのだ。
何度も書くが、反原発派という人たちは原子力や放射線というものがなにかわかっていない人が多い。「半減期」というのも、それで放射線が出尽くしていると考えている人もいるほどだ。読んで字のごとく「半分になる期間」であるのに、それすらもわからずに「半減期が○○年ある」と言いふらす。
半減期というものをきちんと理解していれば、半減期が長いほどに放射線が弱いことや、半減期が短いものほど危ないということが理解できるだろう。本書内にもそれらが簡単に紹介されているため、是非とも本書を読み正しい知識を付けて欲しい。
本書を読めば半減期の長い物質の話など問題にしないし、「半減期」と言う言葉すらも利用しなくなるのではないだろうか。
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