ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

家族八景 筒井 康隆(著)

筒井康隆井筒和幸、ましてやファンファン大佐の違いもよくわからないが知り合いに薦められて借りたの読んだ。当人も中古で購入したのか書籍が非常に臭くて小口どころか喉まで紙が変色しきっている。昭和58年の29刷ということなので私よりも年上なのでコレくらい劣化していても仕方ないだろう。私はこれ以上に日々溝に捨てる人生を送って劣化している。

内容としてはテレパス(人の心を読む能力)がある主人公が、お手伝いに行く各家庭の家族の心をその能力で読みながら引っ掻き回すというものだ。最初はその能力を人に知られないようにと行動していたのに途中からは意図的にひっかき回そうとしている。人の成長というのもまさにそういうものだろう。そういった点で本書は中々人というものの描写が素晴らしい。

家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)


だがまぁよくもまぁジジイがこんな内容の本を書けるなと思う。40年近く前なので当時はジジイではなかったのだろうが、作家というものには感心する。AKBのおっさんこと秋元康あずきちゃんの原作を書いている事を考えると、作家というのはどのようにしてそれを考えているのかというのが非常に興味のあるところだ。



主人公の火田七瀬が気になって仕方がない。過去にも書いたようにフィクションを読むとどうもその続きが気になる。あのあと七瀬はどのような人生を送ったのだろうか。どのように生きていくのか気になってしまう。

だが本書は七瀬シリーズと言われる3部作の第一部になるので、残りの二部で続きが読めるということだ。読もう。



そして本作は人気があるようでドラマにもなっているようだ。最近にも新しくドラマになったようなので調べてみると、木南晴夏という人が七瀬役を演じたようだ。おかしい。本作の最後では20歳になった七瀬は大人っぽい美人であるということだが、木南晴夏はどう見てもそうは見えない。不細工とは言わないが、決して美人ではないだろう。

そして宣伝ビデオを見てみたが、どうも設定がおかしい。私が見た宣伝では家屋の設定は昭和風である。そして、「お手伝い、女中」と言う設定自体が昭和中ころまでのものだろう。だが七瀬の格好はいかにも現代風だ。違和感を感じざるを得ない。「原作破壊」と言う言葉を聞いたことがあるが、これだろう。「家族八景が原作である」として見るのではなく、設定を活かしたドラマであると考えるべきか。

良さそうであればDVDを購入しようかと思ったがやめておこう。



とりあえず近々に続編を読もう。

七瀬ふたたび (新潮文庫)

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エディプスの恋人 (新潮文庫)

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