ゴミ箱の中のメモ帳

まだ見ぬ息子たちへ綴る手記

乱読のセレンディピティ 外山 滋比古(著)

なんだかよくわからない。以前にも著者の「思考の整理学」を読んだがそれと同じ感想だ。

前書は確かに最近の教育問題を指摘しているが、それであれば「頭にガツンと一撃」の方が具体的かつわかりやすく書かれている。

どうも著者の話は具体性に欠け、例示も出来ないような内容が絵空事として書かれているように感じてしまう。

 

乱読のセレンディピティ

乱読のセレンディピティ

 

 

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前書はベストセラーとなり、ロングセラーにもなっているようだがコレは小飼弾も指摘している問題点かと思う。

本のことをよく知らない人は、ベストセラーとは優れた本のことだと思っています。ところがこれは誤解です。確かに優れた本がベストセラーになることも10年に1度程度はあります。しかし、逆もまた真なりは成り立たない。なぜなら現代におけるベストセラーとは、本を普段買わない人がたまたま購入に至った本のことだからです。



本を読んだら、自分を読めより引用

 

コレと同じようにたまたま普段本を読まない人が私のように推薦されたり、単に書店の推薦文を読んで購入しただけではないだろうか。そしてそうして売れたのであれば、「ベストセラー」のように宣伝されて更に売れる。

普段本を読まない人というのは人に薦めることの出来るタイトルの絶対数が少ないのであるから、その少ない中から選ばざるを得ない。そうなるとベストセラーがベストセラーを生む。

日本では特に「長いものには巻かれろ」という風潮から「ベストセラー」と書かれていれば「自分も読んで置かなければまずい」として買う人が多い。そしてそんな人は普段本を読まないのだから、結局その本は売れただけで読まれたわけではない。

最近でも日本ではピケティの21世紀の資本が数十万部売れたようだが、どれだけの人数が読んだのだろうか。少なくとも私の周りでは読んだ人間は居ない。

私もざっと読んでみたが、コレを理解できる人間が日本にそんなに居るとも思えない。例えばデリバティブが何か、都市銀行と信用金庫の違い、BIS規制とはなにか、こんなことも理解できている人が少ない。いや、そもそもに銀行口座の普通預金当座預金の違いすら理解している人も少ないのではないだろうか。そんな人間が読んで理解できるわけのない書籍だ。しかも日本ではそんな人たちがFXやら証券取引を行っているのだから笑うに笑えない。

ハリーポッターも同じく多量に売れたが、これも売れただけで読んでいる人は少なく、今ではブックオフで数刷セットで100円で売っているという有り様だ。日本人とはそんなものだ。

 

本書はそのように前書が売れたので著者名で使命買している人間が多いかと思うが本当に意味がわからなかった。ただの爺のエッセイとして売りだせば意味も理解できたが、「読書術」とされれば全く意味がわからないというものだ。

まぁとにかく意味がわからなかった。